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【連載】熟れすぎMANGO VOL.123

2017/10/06【 連載 】

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「夫婦」を楽しむちはるのスーパーポジティブY談

語彙力がない

 コンプレックスというのは年を重ねると変わってくるものだ。10代20代の頃は、顔がでかい、おっぱいが小さいだのと、見てくればかりを思い悩んでいたけれど、40代半ばにもなるとそんなことは嘘みたいに気にならなくなった。ここ数年、特に強くコンプレックスを感じるのは「語彙力」ってやつだ。ごいりょく=言葉のボキャブラリー。

 若い時分からお馬鹿キャラに乗っかり、簡単で乱暴なノリやテンポだけの言葉を好んで使っていたせいか、年相応のしっくりと心地いい言葉が出てこない。身に付いていないのだ。自分よりもずっと若い人が、ハッとさせられるような美しい言葉を自然に使いこなすのを聞くと、自身のボキャブラリーの乏しさに情けなくなる。

 先日、知り合いのカフェに行った時のこと、まだ20代もそこそこのウェイトレスさんが伏し目がちに微笑みながら「お茶が入りました」と、目の前にそっと置いてくれた。可憐にコーディネートされたお茶セットを眺めながら、「お茶が入りました」という奥ゆかしい言葉の響きになんだか妙に感動してしまった。

「お茶入れたよー」「ご飯作ったよ!」「お風呂沸かしといた」などなど、「私がやってやった」という恩着せがましさ全開な言葉を当たり前に使っていた私には、目からウロコだった。ましてや、もう15年近くカフェを経営している身なのに、そんなしなやかで美しい言動に気付くことも、伝えることも一切してこなかった。あゝお恥ずかしい。

 いくつになっても初めて知る言葉というのはとてもキラキラと胸に響くものだ。同じような意味を持つものでも言葉によって景色や感情はがらりとカタチを変える。人は言葉を使って思考している。言葉が思考を作り、思考が人生を作るのだと思う。良質な言葉を学びたい!

 遅ればせながらアンテナを大きく広げ、本で読んだり小耳に挟んだキラキラ言葉をこまめに調べ、メモを取るようになった。題して「語彙力ノート」。

 その中から最近覚えた言葉をいくつかご紹介ー。
「香箱を作る」猫が背中を丸めて座る姿の事。
「朝ぼらけ」夜明けの空がほんのりと明るくなった頃。
「坂鳥」早朝に坂を越えて飛んでいく鳥の群れ。
「あやなす」美しい模様を作る。上手く扱う。
「色無き風」秋が深まるにしたがって次第に無色透明になるような寂しい風。

 どうです? 情景が少し色づいて見えませんか?

 SNSなどで簡単に自分の言葉を発信できる昨今。言葉の届け方や受け取り方を見直していく時代かもです。

文/ちはる

ちはる/テレビ、CF、著書の企画、 プロデュースなどで活躍中。12年、14歳年下の旦那くんと再婚。目黒でカフェ「チャム・アパートメント」を経営。

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