心の専門家が大規模災害などの支援時にしないこと
こんにちは!公認心理師・精神保健福祉士・社会福祉士・保育士国家資格を保有している桃田くり子です。
心理・精神分野の国家資格を保有しており、災害時の心のケアのことも勉強しました。
今年の元旦に見舞われた大地震。
新年早々あのようなことになるなんて誰も想像していなかったと思います。
今もなお避難生活を強いられている被災地の方のことを考えると胸が張り裂けそうになります。
今回お伝えするのは心の専門家が災害にあった方たちへどんな支援をするのか、また支援をする際に気を付けること・しないことです。
あまり一般向けではなく馴染みがない言葉も出てくると思いますが、今後ボランティア活動などで被災者の方と関わる際に気を付けてほしいことなどをお伝えします。
サイコロジカルファーストエイド(心理的応急処置)
心の専門家が行う災害時等の心理的支援として【サイコロジカルファーストエイド(心理的応急処置)】というのがあります。
深刻で危機的出来事に見舞われた人に対して行う、人道的、支持的、かつ実際的な支援のことで、基本的な活動原則は「見る」「聴く」「つなぐ」の3つです。
基本ニーズ(食料、水、情報など)を必要とする人、深刻なストレス状況にある人をみて、確認し、求められる基本的ニーズや現在の状況を聞いて確認し、基本ニーズを満たせるよう適切な支援につなげていくことが求められます。
ニーズや心配事に関する話を聞いて確認し、安心して落ち着ける手助けをします。
その際に、もしからしたら意外と感じるかもしれませんが、心の専門家は災害時の話を掘り下げて聞き出したり、危機的出来事を振り返らせたりしないように取り組んでいます。
その理由は次の項で説明します。
心理的デブリーフィング
心理的デブリーフィングとは経験した出来事について語りを促す行為です。
感情の表出を促すこともします。
以前は心理支援として有効とされていたようですが、トラウマティックな記憶の固定化をもたらすため、むしろ危険であることが知られるようになりました。
阪神大震災後の追跡調査では心理的デブリーフィングを経験した人々の方が、※PTSD発症率が高いことが確認されています。
つまり、経験した出来事をむやみやたらに聞き出さない、話を掘り下げないことが大切です。
※PTSDとは…心的外傷後ストレス障害
危うく死ぬ、または重症を負うような外相的出来事を経験したあとに生じる疾患であり、
① 再体験症状(フラッシュバック、悪夢など)
② 回避症状(出来事を連想させる場所や行動を避ける)
③ 認知と感情の否定的変化
④ 慢性過覚醒症状(神経の昂ぶり、不眠など)
を主徴とする。
誰のための支援か
被災者の方と接する時は話を聞いて手助けはするものの、根掘り葉掘り聞いたりはしないこと。
もちろん「話を聞いて欲しい!」という方もいるでしょう。
その場合はその方の話や感情を受け止めつつ、危険だった出来事を振り返させるようなことはしないように聞いてください。
被災地の一日も早い復興を心から望みます。
◆記事を書いたのは・・・桃田くり子
公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士、保育士の国家資格を持っているママ。
以前は医療ソーシャルワーカーとして働き、現在は夫・子ども・義母と二世帯住宅で暮らす主婦。
趣味は節約、投資、サンキュ!を読むこと。お金やこころ穏やかに過ごすコツなど発信中。