思いっきり泣きたい時に…|元絵本編集者が教える とっておきの「大人が泣ける名作」
絵本大好きママ・こうむらゆうこです。
元児童書・教材編集者で、現在は小学校にて読み聞かせボランティアを行っています。
今回は、大人が泣ける名作絵本をご紹介。大切な人を亡くした時や、深い愛に涙したい時など、大人の心にそっと寄り添ってくれる絵本をチョイスしました。
おもいで星がかがやくとき【NHK出版】
主人公は、大切な人がお星さまになったと聞かされた、ねずみのピナ。ピナはもう一度その人に会うため、お星さまを探す旅をはじめます。
優しく清らかなストーリーは、作者・刀根里依さんの実体験から生まれました。大切な人を失った悲しみに、あたたかく寄り添ってくれます。父親を亡くしたばかりの頃、子どもと読んでみて涙が止まらなくなりました。涙とともに、前向きな気持ちになれるお話です。
大判(225mm×360mm)の絵本ならではの没入感があり、光り輝くように美しいイラストは、見ているだけで穏やかな気持ちになれますよ。
・作/刀根里依
・2017年5月15日 第1刷発行
・32ページ
ロボットとあおいことり【偕成社】
働きづめのロボットは、しんぞうが壊れて、ゴミ捨て場行きになってしまいます。そこへ寒さに震えたあおいことりがやって来たことで、生きる理由を失ったロボットが変わっていって――。
誰かを想う心の尊さ、そして必要とされることの喜びが、じ〜んと心にしみるストーリーです。
「頑張りすぎて、身も心も疲れ果ててしまった」「無力感や孤独感でツラい」そんなネガティブな気持ちをスッと軽くしてくれます。
作者のデイヴィット・ルーカスさんは、「カクレンボ・ジャクソン」(偕成社)でも知られています。訳者の、なかがわちひろさんは「おたすけこびと」(徳間書店)シリーズなど、数多くの創作絵本・翻訳絵本を手掛けています。
・作/デイヴィット・ルーカス
・訳/なかがわちひろ
・2007年12月1日 第1刷発行
100万回生きたねこ【講談社】
主人公は、100万回も死んで、100万回も生きる不思議なねこ。たくさんの飼い主に愛されるも、自分はただの一度も悲しんだことがありません。そんなねこが自由を謳歌すべく、のらねことして生きはじめると――。
ねこの生き様を通して「愛することの大切さ」を感じられる、いわずと知れた名作です。子どもの頃に読んだ方も、ぜひ読み返してみてください。人生経験を積んだ分、共感でき、感動もひとしおです。
作者の佐野洋子さんは、作家のほかエッセイストとしても活躍されていました。NHKのテレビ番組にもなっていたイラストエッセイ「ヨーコさんの“言葉”」(講談社)「今日でなくてもいい」(河出書房新社)など、佐野さん独特の人生観を感じることができます。
・作/佐野洋子
・1977年10月19日 第1刷発行
・31ページ
心にもやもやが残る時、絵本を開いてみると、気持ちがリフレッシュすることもあります。感動したい時にぴったりの3冊、ぜひお試しくださいね。
◆記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLE ライター・こうむらゆうこ
元えほん・教材編集者。本&マンガ好きが高じて出版社へ。低年齢児向けの書籍、ワークやすごろく等を多数編集。ヨーロッパの日本語教室にて、昔話を使った授業アシスタントも経験。現在は、主婦ライターのかたわら、読み聞かせボランティアとしても活動中。