
【住まいを考える】元デザインディレクター目線 家づくりの始め方
家を建てることが決まったとき、いろんな夢や妄想がひろがる一方で、最初に感じたのは
「何から始めたらいいんだろう?」という戸惑いでした。
当時の私は(もちろん今も)、ただの施主。
でも同時に、デザイン等のディレクターとして企画やプロジェクトに関わっていた経験が、思わぬところで力を貸してくれました。
今日はそんな「ディレクター目線の家づくり」について、体験ベースでお話ししたいと思います。
これから家づくりやリフォーム、新しく住まいを考える方にとって、初期の “困った” を解くヒントになれば嬉しいです。
「なんか好き!」をとにかく集めてみる
情報があふれている今、家に関するアイデアはInstagramやPinterest、雑誌、ブログなど、至るところに転がっています。
その中で、自分の感覚に「ピンとくる」「なんか好き!」と感じたものを、まずは遠慮なく、直感的に拾い集めていくことを最初のステップにしました。
・写真(インテリア、家具家電、照明、間取りのヒント)
・記事やコラム
・言葉や考え方
・キーワードだけでもOK
目標は20個以上。多いほうが後で自分の「軸」が見えてきます。
ストック方法はなんでもOK。見返せる形に

集める方法はなんでもOKです。自分がやりやすく、見返しやすいものがおすすめ◎
アナログな私は、ノートを1冊用意して、雑誌の記事をペタペタ貼ったり、良いと思ったアイデアを単語でメモしたりしていました。
併せて、InstagramやPinterestでは、好みのテイストのアカウントをフォローし、いいなと思ったら保存。
時にはスクリーンショットを撮って、写真をフォルダ分けして保存していました。
このように、集めるときのポイントは“見返せる”ということです。
家づくりの打ち合わせは、回数が限られています。
それなのに情報量が多く、気持ちも揺れやすいので、
見返すことで何度も原点に立ち返れる場所があると安心できます。
「伝える」ツールとしても役立つ
家づくりには、営業さん、設計士さん、インテリアコーディネーター、照明プランナー、現場監督、職人さん……と、たくさんのプロが関わってくださいます。
複数の人たちと自分の“思っていること”を共有するのは、ほんと、思っている以上に難しいことです。
「イメージはこんな感じ」ということを、言葉だけではなく、積み重ねてきた写真やメモを見せながら話すと、意思疎通が一気にスムーズになります。
ディレクターの基本「コンセプトの見える化」が鍵になる

ディレクターの仕事の中でも私が特に大切にしていたのは、コンセプトを固めて「見える化」することでした。
基本中の基本、なのですが、これが一番むずかしい。
企画に関わるチームメンバーはもちろん、クライアント、その各階級・各部署の社員の方々、さらに協力会社の方々・・・立場も環境もバラバラな人たち。
そんな全員が「ひとつのわかりやすいコンセプト」を共有できると、ブレずに、心地よく、一層よいものに仕上がっていきます。
家づくりも同じでした。
「この家は、どういう空気感で、どんな暮らしを叶えたいのか」
その軸が自分の中にあること。
それは「コンセプト」と呼べるものだと思います。
そしてさらに、他人にも伝わりやすい「見える化」できるものがあること。
ここで、集めてきた写真やキーワード等が活きてきます。
たとえ迷う瞬間があっても、すぐに戻れる“地図”になります。
おわりに
家づくりは、情報の波に飲まれることもあります。
決断の連続で正直、疲れることもあります。
でも、「好き」を集めて、言葉にして、それがプロの皆さんに伝わって、ようやく形になっていく。
イメージを具現化していくことで、だんだんと“わが家がカタチ”になっていく過程は、
とても大変ではありましたが、ものすごく愛おしい体験でもありました。
もしも今、何から始めたらいいのか迷っているなら、まずは、自分自身の「なんか好き!」を集めるところから始めてみてはいかがでしょうか。
理想の家への最初の一歩になるかもしれません。
《この記事を書いたのは・・・マスダユキ》
子供がいてもすっきりインテリアを楽しめる家づくりを発信中。2児の母。