「物忘れが増えた…これって加齢?それとも認知症?」40代50代が知っておくべき物忘れの見分け方

2024/08/02
  • 子育て・マインド分野を得意とするWEBライター。チャイルドコーチングアドバイザー、ライフコーチもっと見る>>

在宅介護インストラクター、終活ライフケアプランナーで、サンキュ!STYLEライターの山名美穂です。

40代・50代になって「最近、物忘れが増えた」と感じたことはありませんか。加齢によって物忘れが増えたり、記憶の低下が起こるのは自然な現象ですが、それらが続くと「もしかして認知症?」と心配になることもありますよね。「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」の違いはなんでしょうか。

認知症は「認知能力の衰えで日常生活に支障が出ている」状態を指す

「認知症」というのは、日常生活に欠かせない認知能力が衰えたり低下したりして、生活に支障が出るようになった状態を指します。「認知能力」には、具体的に思考・記憶・会話などがあります。

認知症は、アルツハイマー型認知症・血管性認知症などの脳の病気で発症します。認知症については、下の記事で詳しく書いています。

「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」の違い

クエスチョンマーク付きのかわいい好奇心旺盛な猫
Svetlana Sultanaeva/gettyimages

物忘れは認知症の代表的な症状のひとつですが、もちろん「物忘れ=認知症」ではありません。加齢によって記憶力の低下がすることでも起こります。

では、「加齢による物忘れ」と「認知症による物忘れ」はどのように見分ければいいのでしょうか。

一部を忘れるのが「加齢」、全てを忘れるのが「認知症」

加齢による物忘れと、認知症による物忘れでは「忘れる範囲」が違います。加齢による物忘れでは「体験の一部分」を忘れるのに対し、認知症による物忘れでは「体験そのもの」を忘れてしまいます。

例えば、「夕食を食べたのは覚えているが、なにを食べたかが思い出せない」が加齢によるもの、「夕食を食べたこと自体を忘れている」が認知症の症状です。

ところでみなさん、昨夜の夕食、なにを食べたか思い出せますか?わたしは……なんだったかな……。

ヒントを与えて思い出せれば「加齢による物忘れ」の可能性の方が大きい

加齢による物忘れの場合、「ヒント」を与えれば思い出すことができます。曲名を聞いて、すぐには思い出せなくても、「〇〇のドラマの主題歌だった」「高校時代に流行った」などといったヒントがあれば思い出せます。

認知症による物忘れでは「歌自体」を忘れてしまい、ヒントを与えても思い出せません。「忘れた」というよりも、本人の中で「知らないこと」「なかったこと」になっていると言ったほうがいいかもしれません。

認知症の物忘れは「自覚がない」のが特徴

基本的に、加齢による物忘れでは「物忘れをしている自覚」があり、認知症では「物忘れをしている自覚」がありません。

お財布を「どこに置いたか忘れた」と自覚するのは加齢による物忘れです。認知症であれば、置いたこと自体を覚えておらず「財布がない」と思ったり「盗られた」と主張したりします。

認知症の物忘れでは「何月何日何曜日?」が分からなくなる

認知症による物忘れでは、今日が「何月何日の何曜日か」が分からなくなる「見当識障害」が起こります。見当識障害では、季節や時間、自分がいる場所などが分からないといったことも起こります。

しばしば「今日は何日だっけ?」「今日は何曜日だ?」と分からなくなるわたしは大丈夫でしょうか……。書きながら不安になってきました。

日常生活に支障が出る「認知症による物忘れ」

認知症による物忘れでは、約束そのものを忘れてしまったり、知っている人のことが分からなくなってしまったりと生活に支障が起こります。

物忘れがほとんど進まないなら「加齢」、進行するなら「認知症」の可能性

加齢に伴って物忘れは多くなるものの、そのスピードはとても緩やかであると言えます。一方、認知症では発症すると進行していくのが特徴。

物忘れがどんどん酷くなっているようなら、認知症の疑いがあります。先に書いた通り、認知症の場合本人には「忘れている自覚」がなく、家族など周囲の人が物忘れの進行に気づくことが多いです。

物忘れ以外の「意欲」や「感情」も判別の材料になる

物忘れ以外にも、認知症による物忘れかどうかを判断する材料があります。それは「意欲」や「感情」です。

加齢による物忘れでは、意欲や興味が保たれていて、感情もこれまでと変わりません。認知症では以前は好きだったことに興味がなくなったり、物事に対する意欲がなくなったりします。また、感情面では怒りっぽくなった、人を疑うようになったなどの変化が起こります。

忙しすぎて疲れてない?物忘れは加齢・認知症以外でも起こる

物忘れが増える原因は加齢や認知症だけではありません。水頭症や高次脳機能障害などの病気でも起こります。

また、40代・50代の主婦が物忘れを考えるとき、顧みて欲しいのが「忙しすぎないか?」ということです。主婦の毎日は、家事や育児、仕事などいろんなことを同時進行で行うのが当たり前。やらなくてはいけないことだらけの日々で、つい「忘れてた!」という経験は誰にでもあるはずです。物忘れが増えたら、生活が忙しすぎないか?を振り返り、自分のケアを行ってくださいね。

スマホの使い過ぎも、脳が疲れて物忘れや集中力の低下につながります。情報過多な時代、デジタルアイテムとの付き合い方も、ときどき見直せるといいですね。

40代・50代の「更年期」では、更年期症状として記憶力や集中力の低下が表れることがあります。更年期については、下の記事を参照してください。

物忘れが増えれば、病気ではないかと心配になるのも自然かと思います。不安があれば、もちろん早めの病院受診が望ましいですが、自分の物忘れが上に書いたどれに当てはまるのかチェックしてみてください。

物忘れについては、自分では気づきにくい変化が起こっていないかを家族に聞けるよう、普段から十分なコミュニケーションを取っておけると安心です。また、ご自身の生活を顧みてこころと体を休めることも、40代・50代の女性には必要です。

ところで、わたしが昨夜食べたのは、塩鮭と肉じゃがとお味噌汁と枝豆でした。みなさんも思い出せましたか?

■この記事を書いたのは…山名美穂
在宅介護インストラクター、終活ライフケアプランナー、全米/日本NLP協会認定マスタープラクティショナー、LABプロファイルプラクティショナー
コーチングや心理学NLPの考えをベースに、高齢者や介護、女性のマインドの記事を中心に書いています。
*NLP=神経言語プログラミング。脳とこころの取り扱い説明書とも言われる、実践的心理学です。

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