知ると絵本が面白くなる! 元出版社員が教える、えほん編集者泣かせのイラスト3選
元児童書・教材編集者の絵本大好きママ・こうむらゆうこです。
今回は、編集者として働いていた私が、えほんや子どもグッズを校正する上で苦労したイラストについて、まとめてみました。
知ると絵本を読むのが面白くなる小ネタ3選と、原画展で着目したいポイントをご紹介します。
にじが出てくるイラスト
皆さんは「にじ」と聞くと、七色を思い浮かべますよね。その色の順番は覚えていますか?
日本での順番は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫。3色や5色とする国もありますが、特に場面設定が外国ではない場合、この並びを正解として扱っています。
カラフルで差し色にしやすい「にじ」は、ほんとうによく出てきます。
ピンクが入っていたり、原色を使いたくない作家さんがユニークな色使いで描いてくれたり、いろんなオンリーワンのにじを見てきました。どれも素敵なので、手直しをお願いするのが、本当に心苦しいんです。
タコ・イカ・昆虫がたくさん登場するイラスト
夏の絵本のモチーフとして欠かせない「海の生き物や昆虫」。その際、編集者が手こずるのが「足の数」チェックです。
「アリの足って、どこから出てた?」「カブトムシのメスって、どんなフォルムだった?」など、時に図鑑を片手に1つ1つを入念にチェックします。
図鑑の場合は、模様のチェックもあり、キャラクターが多いほど修羅場になります。
手書き原稿の先生から、一匹だけ描き直してもらい合成…という場合もありました。元々生き物に詳しい方は、かなり重宝されます!
蛍光カラーが多いイラスト
レモンイエローやパステルグリーンなど「ネオンカラー(蛍光色)」を多用した原稿は、二重の意味で泣きたくなります。
見るとハッとするほど美しいんですが、困ったことに、印刷用インクでは再現できないんです。色の校正に時間がかかる大変さと、原画の良さが読者に届かないこともくやしいんですよね。
そのまま印刷すると暗くどんよりしてしまうので、少しでも明るく見えるよう、とにかく細かくチェックします。印刷所に送る校正紙が朱書きで真っ赤になってしまうこともありました。
画家さん・イラストレーターさんの色使いとその再現は、原画と商品の違いを大きく感じるポイントです。もし原画展に行かれる際は、グリーンやイエロー、ピンクがどんな発色をしているかをチェックすると、より展示を楽しめると思います!
以上、編集者泣かせのイラスト3選でした。みなさんの読書の楽しみが広がれば幸いです。
◆記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLE ライター・こうむらゆうこ
元えほん・教材編集者。本&マンガ好きが高じて出版社へ。低年齢児向けの書籍、ワークやすごろく等を多数編集。ヨーロッパの日本語教室にて、昔話を使った授業アシスタントも経験。現在は、主婦ライターのかたわら、読み聞かせボランティアとしても活動中。