
原画展・美術館を3倍楽しむ!憧れの作家さんの作品を、もっと深く味わうための見どころを紹介!
絵本大好きママ・こうむらゆうこです。
元児童書・教材編集者で、現在は小学校にて読み聞かせボランティアを行っています。
今回は、絵本やマンガなど、生の原稿を間近で感じられる「原画展」の楽しみ方をご紹介。
知っていると原稿を見るのがもっと面白くなるので、ぜひお子さんとチェックしてくださいね。
絵の具?ペン?切り絵?使った画材に注目!
原画展で気になるのは、まず、お気に入りの絵本やキャラクターの絵があるかではないでしょうか。もし推し絵と対面できたら、そこからは、その絵がどんなもので描かれているかに着目してみましょう。
絵の具やペンの場合は、筆運びやグラデーション、陰影のつけかたを追うと、描き手の完成や息遣いを感じられておすすめです。繊細なぼかしが特徴のパステルも見応えがあります。
なかには和紙、フェルトを使った作品もあるでしょう。素材に凹凸があるイラストは、印刷で再現するのが難しいため、味わい深い表現を目に焼き付けるほどの情熱で見て損はありません。
なかには、画材を使い分けた表現も
原画をじっくり見ていると、画材を題材にあわせて使い分ける“技あり”な表現に出会えるときがあります。
例えば、水彩絵の具をベースに、ほわんとしたほっぺにはパステル、毛並みや芝生の細いラインは色鉛筆を使う、といった原稿もありました。描き手の技、こだわりをじっくり探して見てください。
原画ならではの豊かな色彩を感じてみよう
美術品を見て「パンフレットと実物では印象が違うな」と感じたことはないでしょうか。
その理由は、印刷インキではすべての色を再現することができないからです。特に、ネオンカラーやヴィヴィッドな青・緑、メタリックな色合いは、かなり不得手としています。
だからこそ、原画展で味わいたいのは、原画が持つあざやかな“色彩”です。絵本には青空・草原といった舞台や、虹・宝物などがよく登場します。もしかしたら、日本とハワイの海ほどの印象の違いを感じられるかもしれません。
枠外の書き込みにも個性あり
原画には、製本では見えない部分が存在します。それが「塗り足し」と呼ばれる、製本のブレ対策として、仕上がりサイズより大きめに描かれるエリアです。
この「塗り足し」も個性が見えるポイントの一つ。指定サイズぴったりで終わるように仕上げる方もいれば、枠を豪快にはみ出して、背景やキャラクターの続きを描く方もいます。なんだか、描き手の性格まで感じられますよね。
原画展は、キャラクターショーやサイン会とは違った形で、大好きな絵本の世界に浸ることができます。
生の原稿と出会えるせっかくの機会ですので、じっくりとその魅力を味わい、作品や作家の方への愛がもっと深まる時間になると幸いです。
◆記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLE ライター・こうむらゆうこ
元えほん・教材編集者。本&マンガ好きが高じて出版社へ。低年齢児向けの書籍、ワークやすごろく等を多数編集。ヨーロッパの日本語教室にて、昔話を使った授業アシスタントも経験。現在は、主婦ライターのかたわら、読み聞かせボランティアとしても活動中。