住宅や家財が災害で損害を受けたときの税金の救済措置を税理士が解説

2024/04/02
  • 身近な税金とお金の疑問を解決します。7歳差姉妹を育てながら働く女性税理士・ファイナンシャルプランナー もっと見る>>

税理士・ファイナンシャルプランナーの高田文乃です。
災害に見舞われたとき、税金の救済措置として所得税を軽減できる制度があります。万が一の事態に備えてこのような制度があることを知っておきましょう。
今回は雑損控除と災害減免法について解説します。

雑損控除とは

雑損控除は所得税法における所得控除の一つです。生活に通常必要な資産が災害、盗難、横領によって損害を受けたときに所得税を減額することが出来る制度です。

所得控除額

次のいずれか多い金額を所得から控除することができます。
①(損失額+災害等関連支出金額ー保険金等による補填額)-総所得金額等の10%
②(損失額のうち災害関連支出額ー保険金等による補填額)-5万円

控除を受けられる損害の原因

・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
・火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難、横領(詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません)

災害減免法とは

災害による損失額が住宅又は家財の1/2以上でその年の所得金額が1,000万円以下の場合に税金の軽減又は免除を受けることが出来る制度です。

軽減または免除される所得税額

その年の所得金額が500万円以下の場合・・・全額免除
その年の所得金額が500万円超750万円以下の場合・・・1/2軽減
その年の所得金額が750万円超1,000万円以下の場合・・・1/4軽減

どちらも受けられる場合には有利な方を選択する

雑損控除と災害減免法による軽減免除は両方受けられる場合はどちらか一方を選択して適用することになります。
所得金額が低い場合には税金の全額免除を受けられる災害減免法の適用を受けた方が有利な場合もありますが、雑損控除は控除しきれなかった金額を3年間(特定非常災害として指定された非常災害については5年間)繰越適用することができます。
どちらの制度を適用するにしても確定申告書等に被害の状況や損害額を記載して税務署に提出する必要があります。
また、期限までに申告や納税が間に合わない場合には期限の延や納税猶予の措置を受けることもできますので、まず税務署へ申請を行いましょう。

・記事を書いたのは・・・高田文乃(税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士)
*記事の内容は記載当時の情報です。

計算中

関連するキーワード