思春期の子どもに言ってない?「遊んでないで勉強しなさい!」を避けるべき本当の理由
チャイルドコーチングアドバイザーで、サンキュ!STYLEライターの山名美穂です。
家でのんびりしている思春期の子どもを見ると「遊んでばかりいないで、勉強しなさい」と言いたくなることはありませんか。
分かっているけど、つい言ってしまう「遊んでないで、勉強しなさい」。このことばを避けるべき本当の理由3つを、改めて一緒に確認しましょう。
1.勉強を強制されると子どもはやりたくなくなる
私たち大人も、物事を人から強制・命令されるとやりたくなくなりますよね。子どもにとって「勉強しなさい」は、その強制や命令のことばに他なりません。
本人の中にある「勉強しなくちゃ・しよう」という気持ちや意欲を削ぎ、反発を招きます。また、子どもが勉強にプレッシャーをたくさん感じている場合には、追い詰めてしまう危険性があります。
強く命令すれば、短期的には言うことをきくかもしれません。しかし人を強制的に動かすのには限界があり、長期的にはいい効果はないとご存じですよね。
2.子どもの一日の生活の数時間しか見ないで否定することになる
「遊んでばっかり!」と感じたら、一度「子どもの1日の、どれくらいを見てそう判断しているか」を、立ち止まって考えてみてください。親の目には「遊んでばかり」と映っても、実際に見ているのは家にいる数時間だけ、ということもあります。
子どもの1日のスケジュールを考えてみましょう。朝起きて学校に行き、その後に部活や塾、習い事に行く。睡眠や移動にも時間を使います。子どもの1日の大半はそれらで過ぎていきます。そう考えると「遊んでばかり」とは言いにくくはないですか。
学校や塾で勉強をして、学校生活では他のことも頑張っている。それらを鑑みず、家にいるときだけを見て「遊んでばかり」と判断されたら……?自分が子どもだったらイヤじゃないでしょうか。わたしだったらイヤです。
3.「遊んでないで勉強しなさい」で誰にもいいことが起こらない
「遊んでないで勉強しなさい」ということばで、誰にどのくらいいいことがあるでしょうか。
言われる子どもはイヤですし、親だってそんなこと言いたくないはずです。お互いにネガティブな気持ちになり、さらには子どもの学習意欲も削ぐ。
そのやりとりの後まで険悪な雰囲気を引きずったり、度重なれば子どもからの信頼を失ったりするかもしれません。
それでもなお「遊んでないで勉強しなさい」というのは得策でしょうか?みなさん、すでに答えをお持ちのはずです。
思春期の子どもに言ってもいいこと
思春期の子どもに対して、親が多めに言っていいことは「生活リズム」、とりわけ「睡眠の必要性」についてだと思います。
「睡眠負債」なんてことばをよく耳にするようになりました。睡眠不足が心身の健康に悪影響を与えることも広く知られていますよね。睡眠は人生のすべてにおいて大切です。
睡眠について伝えるときも「遊んでないで寝なさい」「朝起きられないから寝なさい」というのではなく、勉強や学校生活・遊びの全てに関して「睡眠不足によって、あなたが持っている実力を十分に発揮できなくなったら、もったいないよね」といったアプローチで伝えてみてください。
どうしても言うときは「反抗される」ところまでセットで考えてから
それでも「勉強しなさい」と伝えなくてはいけないシーンがあるかもしれません。その場合は「子どもから反発や反抗が起こる」ところまで想定して伝えましょう。
思春期ですから、親のことばを無視したり、いらだった様子を見せることもあるでしょう。勉強だけではなく「~しなさい」と言うときには、好ましくない反応が子どもから返ってくるのが当然と心得ておくと「なんなのその態度は?」という更なる怒りは回避できます。
いい返事が返ってこなくても、親のことばは子どもの耳に届いています。「反抗が見られたらスッと引く」ぐらいにして、イヤな気持ちを持ち越さずに普段の生活に戻りましょう。
■この記事を書いたのは…山名美穂
チャイルドコーチングアドバイザー、全米/日本NLP協会認定マスタープラクティショナー、LABプロファイルプラクティショナー
コーチングや心理学NLPの考えをベースに、子育てや女性のマインドの記事を中心に書いています。
*NLP=神経言語プログラミング。脳とこころの取り扱い説明書とも言われる、実践的心理学です。