かわいいだけでは済まない?初めての「保護猫」との暮らし

2019/11/07
  • 子育て・マインド分野を得意とするWEBライター。チャイルドコーチングアドバイザー、ライフコーチもっと見る>>

「保護猫」をペットとして迎え入れる人が増えています。

筆者も、約半年前に一匹の保護猫を迎え入れました。

この記事では、「かわいい」だけでは済まない、保護猫との「リアル」な生活体験談をご紹介します。

↓↓↓「保護猫とは?」下の記事内の説明を参照してください↓↓↓

わが家の猫、「K」について

筆者の家で飼うのは、「K」という名のメス猫。

推定八歳、避妊手術済み。

ノラ猫だった子猫時代にある方に保護され、家猫として育ちました。

わたし達家族の前に飼い主がいたので「元保護猫」といった方が正しいかもしれません。

大切に育てられてきましたが、ご縁があってわが家に来てくれました。

保護前になにがあったのか、しっぽがありません。

あるのは「しっぽがあった痕跡」のみ。

初めからなかったわけではなさそうです。

お互い「手探り」の日々

動物の飼育経験がほぼゼロのわが家。

一緒に暮らし始めた最初の数週間は、お互いに本当に苦労したと思います。

いくつもの「困った」が発生しました。


猫の性格や年齢などにより、何が起こって起こらないのかはそれぞれです。

あくまでも一例でしかありませんが、わたし達家族とKのエピソードをご紹介します。

また、それらがどう変化・収束したのかも併せて見ていきましょう。

夜鳴き・夜の運動会

猫も不安だったのでしょうね。

始めは毎日、夜通し鳴いていました。

おかげでわたしも寝不足の日々。

「鳴き声で家族が起きてしまうと、仕事や学校に支障が出る。だからわたしが夜鳴きに気づいた時点でなんとかしなければ……」そう思うと気が張って、ぐっすり眠れませんでした。

環境的に近隣に鳴き声が響く可能性は低く、ご挨拶も済んでいましたが、やはり近所の方に迷惑がかかっていないかも気がかりでした。

猫が夜行性である事を忘れていたので、深夜や早朝に始まる猛ダッシュ(運動会)は想定外。

駆け回る音で目が覚めるのもしょっちゅうで、不眠に拍車がかかりました。


わたしを悩ませた夜鳴きと運動会は、時間が解決してくれました。

Kの警戒心や不安が取れたのもあるだろうし、わたしが「多少鳴かれても走られても動じない」図々しさを獲得したのもあるかもしれません。

食べてくれない!

環境変化のストレスが原因か、最初はあまりエサを食べてくれなかったK。

食べないから排泄量も少なく、本当に不安でした。

手を替え品を替え、やっと食べてくれるようになり一安心。

しかしお気に入りのエサを買いだめした直後、飽きたのかパタッと食べなくなり、新たなエサを探して、あれやこれやと買い直し。

消費の当てのない、大量の在庫を抱えるに至りました。


食べる量も、環境に慣れるにつれ増えました。

エサ置き場を増やしたのもよかったのだと思います。

再び嗜好が変わるかもしれないので、エサの種類とストックは多めのままです。

使わないのね……

ペットベッドを購入したものの、一度も入ったことがありません。

「試しに置いてみた段ボール箱」の方が居心地がいいようで、毛布を敷いた箱の中でよく丸まっています。

わが家に来た当初は押し入れにいたので、いまだに中が恋しいもよう。

おもちゃも新しいものをいくつか与えましたが、見向きもしてくれず、そのままお蔵入りです。

キャットウォークがない!

残念ですが即座にキャットウォークを設置できる住環境にはありません。

また、八歳という年齢を考えるとキャットタワーの必要性もあまり感じられず……。

でも運動不足は心配。

そこで棚の上のものを撤去して飛び乗れるスペースを作ったり、家具を移動させて高低差を作ったりして、上下運動ができるようにしました。

トイレ問題

使い慣れたトイレを持ってわが家に来たKですが、長時間掃除ができない場合や、トイレの設置場所が人で賑わう間に、尿意や便意を我慢してしまわないか心配でした。

これには100円ショップのカゴとトレイで「仮設トイレ」を作り対応しました。

置いてみるとすぐに使ってくれ、そのまま「ふたつめのトイレ」として常設。

今は時と場合と気分に応じて、ふたつのトイレを使い分けているようです。

本体200円(税抜)で簡単に作れるトイレ。

目の細かい水切りカゴに猫砂を入れ、ペットシーツを敷いたトレイの上に置くだけです。

100円ショップのカゴは小さめなので、体の大きな猫には向きません。

小柄な猫や子猫用と考えてください。

トイレ本体は、月初と月の半ばに分けてひとつずつ丸洗います。

中性洗剤で洗って、塩素系漂白剤で除菌してから乾かして完了です。

首輪とハーネスは必要?

2019年の大型台風をきっかけに、避難所生活や迷子になる事を考えて首輪と猫用ハーネスを購入しました。

購入した首輪は、毛づくろいの際に歯に引っかかるアクシデントが何度か起こったので、現在使用していません。

適応サイズのセーフティバックルの物を買いましたが、Kには合わなかったようです。

猫用ハーネスは種類が少ないですが、あると便利。

体を包むようにホールドし、体が簡単に抜ける事はありません(各商品の使用法に従ってください)。

Kは着用を嫌がらないので、病院に行く時はハーネスをつけてキャリーに入れます。

リードを持っていれば逃走の危険性や不安が減ります。

予想していても「高い」と感じる医療費

覚悟はしていたものの、やはり医療費は高い。

かといって不安な事があるのに、放っておくわけにはいきません。

任意のペット保険加入も考えましたが、納得できるものは見つかりませんでした。


代わりに始めたのが「猫貯金」。

毎月猫の医療費の予算を立ててプールしています。

貯めたお金は、突発的な病気やケガの通院治療時に使用。

事前に想定できるワクチン接種や血液検査は対象外です。

わたしを救ったことば

Kを迎えた直後は、わたしのほうの緊張感もすごくて。

寝不足も続き、正直なところ少し参っていました。


そんなわたしに、ある猫オーナーの方が「時間が経てば猫も慣れるから大丈夫。飼い主は人間なんだから」と言ってくれました。

ハッとしましたね。

「大切にしなくちゃ!」と思うばかりに、生活や思考が猫中心になりすぎていたのだと気づきました。

基本的にはわが家のペースで暮らしていいと考えなおし、肩の荷が下りました。

そこから夜中の「にゃー」に過剰に反応する事もなくなり、いつの間にかKも夜はほとんど鳴かなくなりました。

人間が主導を取って日常生活を運営するからこそ、飼い主が責任を持って猫を飼わなければいけませんね。

なんだかんだでやっぱり!

「かわいい!」予想外の出来事があっても、最終的にはこの一言に尽きます。

Kがわたしを甘えた声で呼ぶのは「一緒に休もう」のメッセージだと思っています。

せわしない生活の中で、Kが膝に乗り身動きが取れない状態で、ただ毛並みの触感を楽しむ時間は、わたしにとっては大切な「休憩」です。

家族も在宅中は猫をなでなで。

子どもにフラストレーションが溜まってみえる時は「Kとゴロゴロしておいで」と休憩を促す事もあります。

一回の触れ合いが五分だけだとしても、わたし達はその度に雑念から解放され、心と頭を整えられる。

「何もしない時間を共有してくれる」、それが猫が人間に与える「癒し」なのだと思います。


保護猫であり、その後も飼い主や家が変わったKの八年間は、決して平たんではなかったはず。

しっぽを失ったのには辛い理由があるのかもしれない。

それでも人間であるわたし達家族を嫌う事なく、一緒に暮らしてくれるのはありがたいです。

大変なだけでも、かわいいだけでもない。「寄り添う」とは何なのかを、Kは日々わたし達に教えてくれるのです。

*この記事は筆者個人の体験談と感想です。

■この記事を書いたのは…山名美穂
サンキュ!STYLEライター。主婦の身近なトピックをマルチジャンルで執筆中。ウェブライティング執筆・掲載実績多数あり。小説も書きます。文章大好き専業主婦。

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