他人事じゃない!ある日突然、私はパニック障害になったvol.2

2020/01/26
  • 暮らしにまつわるあれこれを幅広く執筆するオールラウンダー。とりわけ北欧インテリア・家計・読書が好き。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのあやをです。
私は、一年半前にパニック障害を発症しました。
ここでは、vol.1に引き続き自身の経験に基づいて「パニック障害」の実態をご紹介します。

次第に日常を支配していく「パニック障害」

歯医者で初めてのパニック発作を経験した私。最初のうちは、パニックになりそうな場所を避け、どうしても避けられないときにだけ薬を飲むようにすれば、日常生活にさほど支障は出ないだろうと考えていました。

しかしその後しばらくして、歯医者だけでなく、まつエクの施術や美容院など「椅子に座って身動きが取れなくなる状況」でもパニック発作が出るようになりました。

そしてパニック発作の対象がじわじわ増えていくことに不安を覚え始めていたある日、乗っていた電車が突然止まりました。次の駅で非常用ボタンが押されたため一時停車するというアナウンスが流れるのを聞きながら、私は、心臓の鼓動が徐々に速くなっていくのを感じました。

「あれ、これって...」どうしよう、どうしようと焦るほどに呼吸が荒くなっていきます。とその時、電車がゆっくり動き出しました。次の駅まで何とか持ちこたえ、幸いそこが乗り換えの駅だったので、すぐに電車を降りました。息を整え「ああ、よかった...」と発作が出なかったことに安堵しつつ、乗り換え先の地下鉄のホームへ移動しました。

しかし今度はそこで、満員電車の扉が開くのを目にした瞬間、からだが震えだしてしまったのです。人がすし詰め状態の車両を前に、足が全く動きません。それでも、この電車に乗らなければ会社に遅刻してしまうと思い、意を決して乗り込んだのですが、発車ベルが鳴り響いた瞬間「この扉がしまったら逃げられない」という恐怖に襲われ、咄嗟に電車から降りてしまいました。

私、電車もダメなのか...

目の前で閉まるドアを見つめながら涙が出ました。それからというもの「また発作が出るのではないか」という恐怖が私の日常生活を支配していくようになったのです。

「空間(広場)恐怖」の実態

以下に、現在私が「空間(広場)恐怖」を感じる場所をあげます。

・飛行機
・新幹線
・特急電車
・高速道路、トンネル
・人混み、満員電車
・地下
・暗い場所、狭い場所、窓のない場所
・出入り口から離れている席、奥の席
・歯医者、美容院など

全てに共通するのは「逃げ場がない」という恐怖です。「一度乗ってしまったら降りられない」という意味で、一番強い恐怖を感じるのが飛行機や新幹線、特急電車です。高速道路やトンネルも、途中で止まることができないという意味で同様です。満員電車については、奥へ押し込まれてしまうことや身動きがとれないことに対し「逃げ場がない」と感じます。

地下、暗い場所、狭い場所、窓のない場所というのは「閉鎖感」に対する恐怖です。例えば、照明が暗めの飲食店や、窓のない会議室、マンションのゴミ置場などに入ると「閉じ込められる」という感覚に襲われます。

出入り口から離れている席(会議室の最前列)や、奥の席(座敷の一番奥のように、手前の人に立ってもらわないと自分が出られないような席)でも逃げ場を失った感覚になります。歯医者や美容院は、椅子に固定されている状態「=身動きがとれない」ことに対し恐怖を覚えます。

歯医者で最初の発作を起こしてからたった一年半で、私の恐怖の対象はここまで広がりました。そう、「空間(広場)恐怖の対象が拡大していく」というのが、パニック障害の特徴なのです。(このことを「全般化」と呼ぶそうです。)

「パニック発作」って実際どんな感じなの?

これは人によってもかなり差があると思いますので、あくまでも私の場合ですが、まず、恐怖の対象である空間に入った瞬間に「このまま死んでしまうのではないか、このまま私は狂ってしまうのではないか」という恐怖の波が押し寄せます。例えるならば、狭い部屋の中で、四方の壁がどんどんこちらに迫ってくる感じ、このままでは壁に押しつぶされて死んでしまう...という感じでしょうか。そして動悸、冷や汗、めまい、窒息感、からだの震えが止まらなくなり、数分で恐怖が頂点に達します。


「死ぬわけない」そんなことは分かっているんです。飛行機だって新幹線だって、これまで何十回も乗ってきました。冷静なときはそう思えるんです。それでも、いざその瞬間が訪れると恐怖の渦に飲み込まれてしまう。それがパニック障害の怖さだと、私自身は感じています。

他人事じゃない!ある日突然、私はパニック障害になったvol.3に続く…

*この記事は、参考文典及び筆者の経験に基づいて執筆しています。
*参考文典:磯部潮『パニック障害と過呼吸』幻冬舎新書 2012年

◆記事を書いたのは・・・あやを
インテリアも節約も収納も料理もそこそこな肩書き迷子。強いて言うなら暮らしにまつわるあれこれを幅広く執筆する「暮らし」のオールラウンダー。お金好きが高じてFP2級を取得。暇さえあれば本を読んでいる読書家。定期的におすすめ本を紹介します。

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