他人事じゃない!ある日突然、私はパニック障害になったvol.3

2020/01/31
  • 暮らしにまつわるあれこれを幅広く執筆するオールラウンダー。とりわけ北欧インテリア・家計・読書が好き。もっと見る>>

こんにちは。
サンキュ!STYLEライターのあやをです。
私は、一年半前にパニック障害を発症しました。
ここでは、vol.1、vol.2に引き続き自身の経験に基づいて「パニック障害」の実態をご紹介します。

「パニック障害」で変わる生活

パニック発作が繰り返し起こるのがパニック障害の特徴ですが、発作を繰り返すと「また発作が起きるのではないか」という不安(予期不安)にかられ、発作が起きる恐れのある場所を避けるようになります。

私の場合は「満員電車、人混み、地下の店、暗い店、狭い店、閉所、高速道路、飛行機、新幹線」などを回避して生活するようになりました。

恐怖の対象を回避する生活は、簡単なことではありませんでした。例えば「地下の店、暗い店、狭い店」を回避しようと思っても、私の住んでいる東京なんて、そんなお店だらけなのです。友人から食事に誘われても「もし狭い店だったらパニック発作が出てしまうかも」と思うと不安になり、だんだん人と会うこと自体を避けるようになりました。

飛行機や新幹線にどうしても乗らなくてはいけないときは、薬を飲んで対処しています。高速道路は、私のパニック障害に対し理解のある夫の運転であれば薬なしでも乗れますが、夫以外の人の運転は、薬を飲まないと乗ることができません。

幸い私は、通勤時間をずらす、会議室では常に出入り口の近くに座るといった対処で仕事は何とかできていますが、パニック障害の患者さんの中には、通勤することが出来ず休職を余儀なくされる方もいます。

「パニック発作」にも波がある

私の場合は、発作が出ていない期間が長ければ長いほど、症状が落ち着く傾向にあります。もちろん、パニックになる場所を避けて生活しているから発作が出ないだけなのですが、それが継続すると予期不安が減るので、そういう時期は電車が多少混んでいても乗れますし、美容院などでも発作が起きにくくなります。

反対に、パニック発作が出やすいときというのは、ひどい発作が起こってしまった直後の数週間〜数ヶ月です。つい先日、久しぶりにひどい発作が起きてしまったのですが、その後は過敏になり、それまで発作が出ていなかったような場所でも発作が起こるようになりました。そのため、ここ最近は混んでいない電車でも気分が悪くなり、各駅で下車しながら通勤する日もあります。

「パニック障害」の本当のつらさ

パニック障害になって一番つらいと感じたのは「理解してもらえない」ということでした。
例えば、会社の研修で座席が予め決められていたことがありました。座席表を見ると、私の席は最前列。私は今、出入り口の近くの席しか座れないので、研修担当者にその旨を説明したのですが、とても怪訝な顔をされました。

「大げさじゃない?」
「気の持ちようだよ」
「私も好きじゃないけど我慢して乗ってるよ」

こんな言葉をかけられたこともあります。
空間(広場)恐怖の対象は、実はパニック障害の人でなくても「何となく不快な場所」であることが多いのです。人混みが好きな人はあまりいませんし、満員電車だって良い気分ではないでしょう。小型の飛行機ってちょっと嫌だよね、と思う人も多いと思います。だからこそ「乗れない」と言うことを「わがまま」と捉えられてしまうことがあります。

パニック障害になる前の私も、もちろん満員電車なんて好きではありませんでした。それでも会社に行くために「我慢して」乗っていました。それができるのが普通です。それが「できない」のがパニック障害なのです。そこをなかなか理解してもらえず、「嫌でもみんな我慢してやっている」と言われてしまうことが、何よりもつらいのです。

でも反対に、家族や一部の知人など私のパニック障害を理解してくれている人と一緒にいるときには「パニックが起きても大丈夫」と思えるので、それによって発作が起こりにくくなることもあります。

おわりに

パニック障害になる人は100人に1~2人と言われているそうです。そして、パニック障害になりやすい特有の性格はないとも言われており、それはつまり「誰でも発症する可能性がある」ということでもあります。

読者の方の中には、パニック障害の方や、身近な人がパニック障害だという方もいるかもしれませんが「聞いたことはあるけど、実際どういう症状なの?」と思っていた方も多かったのではないでしょうか。今回は、そんな方に少しでもパニック障害について知ってもらえるきっかけになったらいいな、と思いこの記事を書きました。

もし、パニック障害で苦しんでいる方がいたら、まず身近にいる人が理解してあげて欲しい。それが、パニック障害の人が生活するうえでどれほど心強いかを、私は身を以て経験したから。

私はパニック障害になって、それまで当たり前にできていた日常生活の一つ一つが、とても困難になりました。でも家族の理解があり、今ではパニック発作とうまく付き合いながら、毎日を過ごしています。そして今後は薬物療法に加え、認知行動療法などにも取り組みながら、焦らずゆっくりと自分の生活を取り戻していけたらと思っています。

この記事によって、一人でも多くの方が、パニック障害のことを理解してくれますように、そして、パニック障害で苦しんでいる方々が少しでも安心して暮らせるようになることを、心から願っています。

*この記事は、参考文典及び筆者の経験に基づいて執筆しています。
*参考文典:磯部潮『パニック障害と過呼吸』幻冬舎新書 2012年

◆記事を書いたのは・・・あやを
インテリアも節約も収納も料理もそこそこな肩書き迷子。強いて言うなら暮らしにまつわるあれこれを幅広く執筆する「暮らし」のオールラウンダー。お金好きが高じてFP2級を取得。暇さえあれば本を読んでいる読書家。定期的におすすめ本を紹介します。

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