春はいつから?立春後にやってくる「3つの春」の違いを気象予報士が解説
- 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>
皆さんは、「春」はいつから始まるイメージを持っているでしょうか。
立春が過ぎたら?3月になったら?それとも4月に新学期が始まったら…?
じつは、暦や気象、天文の分野では、それぞれ異なる「春」がやってきます。
今回は、気象予報士・防災士の資格を持つライター・植松愛実が、人に教えたくなる「3つの春」の違いを解説します!
暦の上だけじゃない!立春とともに訪れる「春」
例年2月4日には二十四節気(にじゅうしせっき)という中国の伝統的な暦のひとつ「立春」を迎えます。
日本では二十四ある節気をすべて意識することは少ないものの、なかでも立春は知名度の高い暦ではないでしょうか。
立春をすぎるとよく「暦の上では春ですが…(まだ寒い)」といった表現をするようになりますが、暦どおりやってきているのが「光の春」です。
これはもともとロシアで使われていた言葉ですが、たとえ気温が低くても、この時期になると降りそそぐ太陽光が強まってくることを示しています。
太陽光が強まるということは、すなわち紫外線も強まるということ。
立春の頃から始まる「光の春」は、紫外線対策を始める合図でもあるのです。
じつは明確に決まっていた!気象学における「春」
ニュースでよく「この夏の気温は平年を〇℃上回りました」といったフレーズを聞きますが、このように気象の話をするときの春・夏・秋・冬の期間は明確に決められています。
3・4・5月が春、6・7・8月が夏、9・10・11月が秋、12・1・2月が冬です。
つまり、「今年の春は降水量が多い見通し」と言われたら、3月31日~5月31日の3か月間の平均で見て降水量が多くなりそうだという意味になります。
名実ともに春めく!天文学における「春」
天文学における春は、春分(2024年は3月20日)つまり春のお彼岸から始まります。
春分から春、夏至から夏、秋分から秋、冬至から冬、といった具合です。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、この頃からようやく春本番の気温になる地域が多くなります。
そのため、この時期のことを前述の「光の春」と対比して「気温の春」と呼ぶこともあります。
光・気温…段階的にやってくる春
冬から春になるとき、すべての要素が一度に「春らしく」なるのではなく、まず光が強まり、次に気温が高まり…と時間差で変化がやってきます。
今回は暦・気象・天文の3つの分野に注目して春の始まりを解説しましたが、じつは春の分類には別の見方もあります。
「光の春」、「気温の春」に続いて「音の春」がやってくるという見方です。
「音の春」というのは、ウグイスのさえずりや、雪どけによって流量が増えた川の水がごぼごぼと立てる音、湖に張っていた氷が崩れる音など、聴覚で感じる春のこと。
心浮き立つうれしい音であると同時に川の増水などの危険も知らせる音であり、とくに雪国ではこの春の「音」が古くから大切にされてきました。
皆さんにとってはどの「春」が一番気になるでしょうか。
住む地域やライフスタイルに合わせて春支度をととのえていきましょう。
■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。