子どもを正しく𠮟れてる?注意するのは「ふたつ」だけ

2021/12/30
  • 子育て・マインド分野を得意とするWEBライター。チャイルドコーチングアドバイザー、ライフコーチもっと見る>>

チャイルドコーチングアドバイザーで、サンキュ!STYLEライターの山名美穂です。

子どもへの注意の仕方、叱り方に悩まれることはありますか。注意を行うのは「環境」と「行動」。この、ふたつに対してだけでいいのです。

意識の6段階

心理学NLPでは、人間の意識を6つのレベルに分けます。
*NLPについては、記事最下部でご説明しています。

一番上から
1.スピリチュアル(他者との関係性のこと)
2.自己認識(自分の役割・どんな存在であるか)
3.信念・価値観(信じていること・大切にしていること)
4.能力
5.行動
6.環境(身を置いている場所と時)

上に行くほど抽象的、下に行くほど具体的な概念になります。

このレベルを「部屋の片づけ」で考えると、こんな感じです。
*今回は最上位概念である「1.スピリチュアル」は省略します。

1.スピリチュアル → *省略
2.自己認識 → 「自分は価値のある人間である」
3.信念・価値観 → 「住まいは心地よくあるべき」「好きなものに囲まれて暮らすことが大切」
4.能力 → 掃除・整理整頓の能力
5.行動 → 部屋を片付ける
6.環境 → きれいな部屋(という環境)

注意するのは「環境」と「行動」だけ

子どもへの注意は、6つのレベルのうち下のふたつ「6.環境」と「5.行動」に対して行います。

子どもの部屋が散らかっていたら、指摘するのは「部屋が片づいていない(6.環境)」と「片づけない(5.行動)」だけ。

注意の例です。
例:
6.環境への指摘 →「おもちゃが出しっぱなしだよ」
5.行動への指摘 →「部屋を片づけよう」

上位レベルへの注意は「人格や存在の否定」になりうる

「6.環境」と「5.行動」以外、「4.能力、3.信念・価値観、2.自己認識」のレベルを指摘するとどうなるでしょうか。わたし達が一番避けたい「子どもの人格・存在の否定」になりえます。

例:
4.能力への指摘 → 「片づけられない子」
3.信念・価値観への指摘 → 「そんなものを捨てないなんて、おかしいよ」
2.自己認識への指摘 → 「ダメな人間」「あなたには価値がない」

こんなふうに伝わってはダメなこと、ご理解の通りです。そして改めて文字で書くと、想像以上のインパクトがありますね……。

子どもには、自分の「4.能力、3.信念・価値観、2.自己認識」が見えていないことも多いでしょう。そしてそれらは、親の影響を大きく受けて作られます。

親から「できない子」と言われ続ければ「自分には能力がない」、「ダメな子」と言われれば「自分は無価値だ」と思い込むようになります。ああ、怖い。

どのレベルで注意しているのか?把握する

自分の子どもを「存在の価値がない」「ダメな子」とは、思っていませんよね。ご存じの通り、尊い存在です。

そして子どもを叱るとき・注意するとき、ご自分が「なにを指摘しているのか」把握してらっしゃるでしょうか。

つっこみどころがいくつか重なると、勢い余って
「部屋は汚いし、宿題は終わってない。毎日ゲームばっかり……。いつもだらしない!」
「片づけなさいって、何回同じことを言えば分かるの?そんなこともできないの?」
なんて言いそうになること、ありませんか。

「いつもだらしない」「できないの?」は、上位レベルに対する指摘です。

「いつもだらしない」、本当にそうでしょうか。学校ではきちんとやっているかもしれません。だとしたら「いつもだらしない人」ではありません。

「できないの?」は「能力がない」と言っているようにも聞こえます。片づけをする能力、学習する能力、考える力……。今は十分に発揮できていなくても、お子さんは持っているはずですよね。

一度にたくさん注意しようとしたり、感情的になりすぎたりすると、わたし達は自分がなにを言いたいのか・言っているのかを見失うことがあります。

子どものどんな環境(状態)・行動を指摘するのか。まずはそれだけ明確にして、注意をしてください。そして「一度にひとつのことだけ、簡潔に」が望ましいです。

注意はしていい。ただし「環境」と「行動」だけ

ときに厳しくなろうとも、保護者として適切な注意はしたいですよね。

注意する・叱るときは、具体的な「6.環境」と「5.行動」のふたつに対して行う。そして「自分の子どもは、無限の価値と可能性を持った存在である」と認識する。それを常に胸に持っているみなさんなら、大丈夫です。

*NLP(神経言語プログラミング)は、「脳と心の取扱説明書」と呼ばれる実践的心理学。セラピー分野から生まれ、カウンセリングやコーチング等でも広く活用されている。

■この記事を書いたのは…山名美穂
チャイルドコーチングアドバイザー(R)、全米・日本NLP協会NLPプラクティショナー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。ウェブライター、ストーリーライターとしても活動中。サンキュ!STYLEでは、子育てや人間関係を中心に、主婦の身近なトピックを扱って執筆しています。

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