「スマホをやめて勉強しなさい」⁈ちょっと待って、それって正しい?
チャイルドコーチングアドバイザーで、サンキュSTYLEライターの山名美穂です。
子どもがスマホやタブレット、ゲーム機ばかりを触っていると気になりますよね。つい「スマホばっかりしてないで、勉強しなさい」なんて言いたくなるときも。
でも、ちょっと待って。そのセリフって、あなたにとって「正しい」でしょうか。
スマホをやめて欲しいのか、勉強をして欲しいのか
当たり前ですが「スマホやゲーム」と「勉強」は全くの別物ですよね。イコールで結ばれるものではありません。
わたし達の頭には「スマホをやめて勉強をして」という思いがよぎりがちです。同時に、スマホをやめたら必ずしも勉強をするわけではないことも、理解していますよね。
このことばの中には
・スマホやゲームをやめて欲しい
・勉強をして欲しい
という、子どもに対するふたつの希望が含まれています。それに改めて気づきましょう。
そして「どちらを優先して伝えたいのか」によって、声のかけ方は変わってきます。
スマホ・ゲームをやめるのは「なんのため」?
子どもにスマホやゲームをやめて欲しいのだとしたら、それはなぜでしょう。
姿勢が悪くなるから、睡眠時間が減るから、夢中になりすぎて家族とのコミュニケーションに支障がでるから……、いろいろあると思います。
保護者が思う「スマホやゲームの時間を減らしたい理由」が、子どもに十分に伝わっていますか。
多くのお母さま方に共通するのが、「心身の健康を害す」という懸念なのではと思います。子どもから娯楽を取り上げたいわけではなく、健康でいて欲しいんですよね。
そしてスマホやゲームをやめるのが目的であれば、代わりに本を読んだり出かけてもいいはずです。「勉強しなさい」のひとことは、そういった選択肢を子どもから奪うことになります。
スマホを触らないなら、なにをするのか?子どもに考えてもらうチャンスでもあります。できれば任せてあげてください。
「勉強しなさい」と伝える目的は?
「勉強をして欲しい」気持ちがメインのときもあるでしょう。
ところで、なぜ子どもに「勉強をして欲しい」と思うのでしょうか。
・成績が下がって困って欲しくないから
・将来の選択肢を広げて欲しいから
そうお考えかもしれませんね。
それであれば大人として、今勉強をする有意性を伝えてあげてください。「しなさい」ではなくて「わたしは、こう思う」という言い方になるはずです。
一度に熱弁する必要はなく、繰り返し伝えていく心づもりでいる方が大事だと思います。
長期休みであれば、休みの終わりになって「手伝って」と言われるのがイヤなのかもしれません。
宿題の提出やテストの直前に、子どもの「勉強が終わらないイライラ」をぶつけられるのも、けっこうイヤだったりしませんか(わたしだったらイヤです)。
宿題の手伝いに時間が取られるから困る、イライラされることがストレスになる……。それらは保護者側の問題ですから、そういった状況を避ける策を自分で取ってしまえばいいです。
いろいろ制約はあるかと思いますが、できることがありますよね。
子どもに振り回されないように
・先に自分の予定を入れて、手伝えないようにしておく
・いらだつ様子が見られたら、すぐ他の部屋に行く
など。いくつくらい思い浮かびましたか。
「イライラをぶつけられるとイヤな気持ちになる」と、素直に子どもに伝えるのもアリです。「そんなことが起こると、誰も楽しくない。だから、早めに取り掛かって欲しいと思っている」と。
やるかやらないかは、子どもが決めること
「スマホをいつやめるのか・勉強をいつやるのか」、あるいは「やるのか・やらないか」は、子ども自身の問題です。
年齢にもよりますが、子どもの言動は常に親が決められることではありません。そして子どもを絶対的なコントロール下に置く危険性を、みなさん十分ご存じのはずです。
スケジュールを見直すなら、子どもと一緒に、本人が納得する形で行ってください。また、多少失敗してもいいと思えることはどれでしょうか。手放せるところから手放して、見守ってあげたいですよね。
「わたしだって休みたい!自由に遊びたい!」が、あなたの本音かも
もうひとつ、考えて欲しい大切なことがあります。
それは、子どもに対する「スマホをやめて勉強しなさい」に、「わたしだって休みたい、遊びたい」という本音が隠れていないか?ということです。
子どもが遊んでいる姿がやたらと目につくのって、自分に余裕がないときではありませんか。せわしなく家事で動いているときだったり、家族のことを一生懸命考えているときだったり。
「わたしは、がんばっている」が「わたしは忙しいのに」、それが「なんで、わたしばっかり!」になる。そして、家族が何もしていないように見えてしまう。
お心当たりがあれば、必要なのはご自身への労いです。がんばっている自分を認め、自分の時間を取ってあげてください。
一見、子どもに対する気持ちのように思えることも、実は内なる自分が発している「SOS」の可能性もあるのです。家族や他人に要求が増えるとき、真っ先に目を向けるべきは自分自身なのかもしれません。
自分を大切にし、余裕を持つこと。それが叶うと、子どもや家族への要求やことば掛けも変わってくるのではないかな、と思います。
■この記事を書いたのは…山名美穂
WEBライター。チャイルドコーチングアドバイザー(R)、全米・日本NLP協会NLPプラクティショナー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。サンキュ!STYLEでは、子育てや人間関係を中心に、主婦の身近なトピックを扱って執筆しています。