話は「聞き上手」より「引き出し上手」になろう
チャイルドコーチングアドバイザー(R)で、サンキュ!STYLEライターの山名美穂です。
「話し上手」より「聞き上手」がいい。分かってはいるけど、人の話を聞き続けるのって、案外疲れます。上手な話の聞き方とは……?
「聞く」のは大切、でも正直疲れる……
「人の話を聞く力は大切」、みなさんご存じのとおりです。
しかし人の話をずっと聞き続けて、疲れてしまうことはありませんか?同僚やママ友の長い話につきあって、うんざりした気持ちになった経験がある方、多いんじゃないかな。
「聞き上手」=「聞いてあげる」だと思ってない?
疲れるのは、話を「聞いて『あげる』から」ではないでしょうか。
受け止めなくちゃ!聞いてあげなきゃ!と思いながら、人の話に耳を傾け続けるのは、ふつうに辛いです。
それからほとんどの人は、聞いてくれる人がいれば自分の話をします。それもふつうです。相手は悪くありません。
加えて「聞いていただいている」と思いながら話をする人は、あんまりいません。あなたががんばって聞いてあげれば、努力に見合う感謝のリターンがあるかといえば、それも微妙です。
つまるところ、「聞き上手」を「辛抱強く聞いてあげること」と誤認すると、「がまんして聞いてあげたのに、相手からはなにも得られなかった」という不満足が起こるのです。疲れます。
逆を言えば「聞いてあげる」という感覚を手放せば、聞く苦しみから解放されるわけです。ハイ、両手を広げてください。
話は「聞く」より「引き出す」
わたしは、話の「聞き上手」より「引き出し上手」になるのがいいんじゃないかな、と思います。
人の話は「聞かせてもらう」と前提する。「聞いてあげる」という気持ちが入る余地を作らない。
あとは、相手からどれだけ聞かせてもらえるか?「引き出せる」か?です。グチや辛さを増長させるものではなく、双方が楽しくなるような話を引き出すのが大事!
「質問」で引き出す
相手から話を引き出すには、「質問する」のがいいです。
「仕事にも育児にも疲れちゃって。ひとりになりたいなぁ」と相手が言ったとします。
仕事でなにがあったのか聞けば、知らない仕事について知れる。育児のなにが悩みなのか問えば、同じ「母親」をしていても感じ方が違うと知れる。
さらに「学生時代は、ひとりの時間はなにをして過ごしてたの?」「もし、二日間ひとりで自由にすごせるなら、どこに行ってなにをする?」と質問すれば、相手がどんな人か知れるし、自分がやったことのないこと・行ったことのない場所について知れます。
当然ですが、人は自分の目を通したひとつの世界しか見られません。他の人が見る景色・感じることは別物で、人の数だけ「世界」があるわけです。
その、自分では見られない世界を知る一番簡単な方法が、人の話を聞かせてもらうこと。聞くだけで見識や知識が広がるんですよ。超お得じゃないですか?
たくさん話を引き出せれば、その分視界が広がります。相手に興味を持って、話を聞かせてもらってください。
もちろん、最初に相手の話を受け取ることが必要です。プライベートに踏み込みすぎたり、相手が嫌がる質問はNG。時には沈黙が必要なこともあります。
「今は聞かない」「聞いているフリをする」の選択肢◎
とはいえ、感情や好みがあるのが人間。苦手な話題や受け入れられない人の話を、わざわざ引き出す必要はありません。
時が経てはその人の話に興味が持てるかもしれないし、体調がよければ大丈夫かもしれない。「今の自分」は、聞きたいと思える状況じゃないんだな、くらいに流せるといいです。
「聞いているフリ」もいいと思います。
ヨシタケシンスケさんは「あつかったら ぬげばいい」の中で、「はなしがおもしろくなかったら ちいさいじぶんを そうぞうして あそんでいればいい」と書いていますね。
話をどんどん引き出そう
人の話を聞くのは、相手を知って仲良くなるため、そして自分の人生を豊かにするためです。誰かにいい人だと思わるためではありません。
「聞き上手」より「引き出し上手」。話を聞かせてもらうのに必要なのは同調やがまんではなく、好奇心と質問です。
人と話す機会があれば、いろんな角度から質問して、引き出して。自分が知らないステキな世界を、たくさん見られるはずです。
■この記事を書いたのは…山名美穂
チャイルドコーチングアドバイザー(R)、全米・日本NLP協会NLPプラクティショナー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。ウェブライター、ストーリーライターとしても活動中。サンキュ!STYLEでは、子育てや人間関係を中心に、主婦の身近なトピックを扱って執筆しています。