学校以外にも居場所はある!‥わが子が学校に行けなくなったら・2
思春期二人の息子たちに悪戦苦闘しているアラフィフ主婦、サンキュ!styleライターのみい太です。
それぞれちがった理由で学校がつらくなり、行けなくなった息子たち‥。彼らを見ていて、優先すべきは
「安心できる居場所」
を家庭以外に見つけることだと考えました。
今回は、小6の次男が見つけた居場所の話をさせてください。
「安心できる場所でこそ、成長できるんだよ」
次男が泣いて教室に入れなくなったとき、私はどうしたらいいのか…正解がわからなくて迷いっぱなしでした。学習障害のため勉強ができなくて自信をなくした長男とちがって、次男の場合は何をどう解決したらよいのか、見えなかったのです。
担任の先生や校長先生は、とても親身になって次男のことを考えてくれて、個別で学習を見てくれるなどの支援も、いろいろと考えてくれました。そして、
「少しずつ、学校に慣れていきましょう!」
と励ましてくれました。私も、それは本当にそのとおりだ、と思う気持ちもあり、これだけ丁寧に支援してくれるのだから頑張らないと、という気持ちもあり…。でも、毎朝、教室の前で立ちすくんで涙を流す次男を見ていると、
「これは、慣れるものなのかな…?かえって心を傷つけているだけではないのかな…?」
と感じていました。
そんなとき、私が発達支援を学んでいるワークショップに参加しました。そこでの話題として、私は
「息子が教室に入れなくて、毎朝涙を流しているんです…。どうしてあげるのが彼にとってよいのか、わからなくなってしまいました。」
と、参加していた先生方に相談したのです。
心理士や保育士など、発達支援を学んでいる先生方がかけてくれた言葉は
「そんなに不安なのに、慣れなさいっていうのは、きつくて痛い靴を無理やり履いて慣れなさいってこと、黒板をこすった時のたまらなく嫌な音をたくさん聞いて慣れなさいってことと同じじゃないかな。」ということ。そしてさらに私の心に響いたのが
「子どもは、安心できる場所でこそ、成長できるんだよ。」
という言葉でした。
その言葉で私の考えは決まりました。どんなに支援を受けていても、学校という場所は、次男にとっては不安な場所であることは変わらない。だったら、環境を変えてみよう。次男が安心できる居場所を見つけてみよう。そう決めたのです。
そこから、次男の居場所探しが始まりました。
フリースクールとは?
まず、フリースクールを当たってみました。
フリースクールとは、
「不登校の子どもを受け入れることを主な目的とする団体・施設を指す。(文部科学省)」
つまり、不登校の子どもたちの居場所です。一言でフリースクールと言っても、運営の形態は様々です。個人や市民団体が開いている居場所から、民間の企業やNPO法人が学校のような形で運営しているところがあり、そこで行われている内容も、子どもたちが集まって遊んだりいろんな体験をしたりして過ごすところから、勉強や療育を行っているところまで、多岐にわたります。
学校とのちがいですが、フリースクールは学校教育法で、公的な学校とは認められていないのです。そのため、小中学生は、元々通っていた小中学校に籍を置いたままフリースクールに通うことになります。
在籍している学校から認められれば、フリースクールへの出席を出席日数にカウントしてもらうことができます。
多くのフリースクールに共通しているのが、「他者との交流を行いながら自分の好きなことを自由に学ぶことができる場所である」ということです。季節の行事やレジャー活動、料理や課外活動など、体験を重視した様々な活動が行われます。
このように、自由や個性を重んじながら、スタッフや他の子どもたちと体験を通して交流することのできるフリースクールは、学校に行かない子どもたちにとっては「社会との接点を持つ場所」であり、社会参加に必要なソーシャルスキルのトレーニングの場ともなっています。
実は、長男が中学から通っているのが、フリースクールです。彼の場合は、発達障害児に特化していて、療育を行ったり、子どもの得意なことをとことんやらせてくれたり、といったフリースクールを見つけて、そこに決めました。
次男の場合は、そこではないな…と考えたので、市内にあるフリースクールを見学しました。活気のある楽しそうな所でしたが、次男にはピンとこなかったようで…。
そこで、次に考えていた「適応指導教室」に当たってみることにしました。
適応指導教室とは?
適応指導教室(教育支援センター)とは、
「不登校児童生徒等に対する指導を行うために教育委員会及び首長部局が、教育センター等学校以外の場所や学校の余裕教室等において、学校生活への復帰を支援するため、児童生徒の在籍校と連携をとりつつ、個別カウンセリング、集団での指導、教科指導等を組織的、計画的に行う組織として設置したものをいう。(文部科学省資料より)」
民間の施設であるフリースクールとのちがいは、適応指導教室は、教育委員会が設置・運営しているということです。なので、学費や参加費がかかりません。また、適応指導教室への出席は、在籍校の出席として認められます。学校の空き教室や公的な施設に設置されています。
そこでは、心理士や複数の指導員が、子どもたちと一緒に遊んだり、個別に勉強を見たり、相談や指導を行ったりします。
適応指導教室での指導の目的は「学校に通えるようになること」なので、そのために、集団への適応や情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善などを目指した指導や支援が行われます。
利用するためには、在籍する学校に相談して教育委員会へ利用希望を出し、手続きをします。
我が家も、担任の先生や校長先生に
「適応指導教室を使ってみたい」
と相談をして、学校から連絡を入れてもらってから、面談と体験に行きました。
そこの適応指導教室には、次男のように不安が強かったり、学校生活や集団に疲れてしまったりして学校に行けなくなったお子さんが、日に5、6人ほど利用しているそうです。子どもたちが安心して過ごせることを重要視している、と説明を受けました。
そこでは、指導員の先生が子どもにマンツーマンでつけるほどたくさんいて、困ったときはすぐに対応してくれます。また、子ども一人一人の気持ちを尊重しながら、少しずつ集団に入っていけるように、支援をしてくれていました。ゆるやかではありますが、個別学習の時間と集団活動の時間、自由時間、とスケジュールが組まれているので、見通しが持てると安心する次男には合っていたようです。
ただ、原則保護者の送迎が必要なので、仕事をやりくりしての送迎が大変です…。
そのようなあたたかな雰囲気のなかで、勉強を見てもらえたり、楽しく遊べたりするこの適応指導教室に、次男は
「ここなら通いたい!」
と顔を輝かせて言いました。
今は、週に3日、泣くこともなく楽しそうに適応指導教室に通っています。驚いたのは、そこに通うようになってから、在籍校のクラスにも泣くことなく顔を出せるようになったのです!
「安心できる居場所があれば、子どもは成長できる。」
ことを、身をもって実感することができました。
このように、学校だけが子どもの学び場、居場所ではないこと、いろんな居場所を活用していいんだということを、息子たちを通して知ることができました。大切なのは、
「安心できる場所」
であるか、ということでした。
でも、もしお子さんが疲れ切っている場合は、まずは一番の安心できる居場所である「自分の家庭」でゆっくり過ごし、充電することもとても大切だと思います。
焦らず、子どもにとって安心できる場所を用意することが、私たち大人の役割ではないでしょうか。