動物VSプラスチック?サステナブルなファッションを考える

2022/04/14
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
SDGsに関連する情報がたくさん出回っている現在、混乱することもありますよね。
悩ましいのがファッション問題。
動物愛護団体が動物性素材の使用に反対する一方、海洋学者などはプラスチック繊維の使用に警鐘を鳴らしています。
どちらが正しいのでしょうか?

動物を苦しめる選択はできるだけ避けたい

過激な動物愛護団体の主張を見ると、「人間は一切動物から搾取してはならない。肉を食べるなどとんでもないし、ウールやシルクなど必要ない」といった言葉も目立ちます。
軽く検索するだけでも「ヴィーガンこそ正義」という主張は多く見つかるはずです。

私の祖父は僧侶なのに、魚をよく食べていました。
「なんでおじいちゃんはお坊さんなのに魚を食べるの?」
そう聞くと笑っているだけでしたが、生き物の命を奪うことでしか生きられないのが人間の業だとわかっていたのでしょう。
人としての業を背負いながらできる次善の策は「できるだけ苦しめないこと」だと思うのです。

毛皮は新しいものを買わない、飼育環境に配慮された原料のものを買うといったことならやりやすいと思います。
たとえば無印良品は、生きている状態から採取(ライフハンドプラッキング)されていないダウンを取り扱っています。

合成繊維は海の生物を苦しめる

「毛を刈られる羊がかわいそうだ。アクリルのニットを着ればいいじゃないか」
そういった意見を聞くと、海の生き物からの視点が抜けているなと感じます。

アクリルなどの合成繊維は、洗濯などで抜け落ちて自然界に流れ出ると海を汚染します。
石油由来のプラスチック繊維は自然界では分解されないので、いつまでも残り続けて半永久的に貝類、甲殻類、魚類、海生哺乳類などを苦しめることになるかもしれません。
はっきりとわかっていないこともありますが、えさと一緒にマイクロプラスチックを食べることで成長や生殖に悪影響が出ることも懸念されています。

植物性という落としどころ

動物愛護団体も海洋学者も納得させうる唯一の落としどころは、綿や麻などの植物性繊維を身にまとうことです。
綿は農薬や水を使いすぎるため、オーガニックコットンがおすすめ。
麻は農薬を使わずに栽培しやすいので、利用が増えるといいですね。
先日、私は財布を買いかえました。
本革は動物由来で加工に化学薬品を多く使う、合皮はプラスチックだから生分解性はないし劣化しやすい……悩んでいきついたのはコルクの財布。

コルクは1つの木を切り倒さず、時間がたてば再生する皮を何回もはいで使用するからサステナブルなのだそうです。
HIRYUという会社の製品で、税込7,600円でした。
持ってみるととても軽く、肌触りも良くて気に入っています。

最も避けたいのは大量生産・大量消費

ファッションロスという言葉を聞いたことはありませんか?
手に取りやすい価格で売られている服の多くは、大量につくることで1着あたりにかけるコストを下げています。
多くつくると当然売れ残りが出るので、セールでも売りさばけなかった場合は廃棄処分。

動物性であろうと植物性であろうと合成繊維であろうと、利用されないまま捨てることが最もむだでおろかなことだと思います。
服を買いすぎず、丁寧につくられた品質の良いものを買って手直ししながらでも着続ける、時には古着も利用するのが地球に優しい選択なのではないでしょうか。

※参考文献
・シャンタル・プラモンドン ジェイ・シンハ『プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』2019年、NHK出版
・チャールズ・モア『プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する』2012年、NHK出版
・田中めぐみ『グリーンファッション入門―サステイナブル社会を形成していくために』2009年、繊研新聞社

◆記事を書いたのは・・・danngo
物心ついた時から生き物大好きだった40代主婦。美しく平和な地球と子どもの未来を守りたいと考えています。面倒くさがりのため、できるだけ手抜きしてズボラでもできるエコ活動を模索中。

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