今さら聞けない!プラスチックは何が悪いの?4つのポイントを解説
こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
脱プラスチックが進み、使い捨てプラスチックを規制する法案も成立している現在。
なんとなくプラスチックが悪者にされている感じがありますが、結局何がいけないのでしょうか?
大きく4つのポイントに分けて解説します。
ポイント1:生分解性がない
一般的なプラスチックには生分解性がありません。
「生分解性」とは、「微生物の働きによって二酸化炭素や水など、自然界ではこれ以上小さくできないレベルまで分解する性質」だと言えます。
プラスチックが紫外線や物理的な刺激で細かくなるのは生分解ではなく、たんなる微細化です。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの頭にある「ポリ」は「たくさんの」という意味を持つ接頭語。
ポリエチレンはエチレンという物質を大量に結合させた物質で、数千以上の分子量を持ちます。
長い鎖のような形をしていて、自然界には存在しない物質。
一部の生分解性プラスチックをのぞき、生物が分解することは難しいのです。
分解しなければ自然の中にいつまでも残り、間違えて食べてしまった動物が死にいたることもあります。
ポイント2:リサイクルしづらい
「使ったプラスチックはリサイクルすれば問題ない」と思っている人もいます。
そのリサイクル事情にも問題があります。
プラスチックは熱を加えてしまうと劣化するからです。
使用済みペットボトルを再びペットボトルとして利用できれば理想的ですが、実際にはフリースなどの繊維製品につくりかえられています。
日本では、サーマルリサイクルといって焼却し熱エネルギーを回収する方法が多くとられています。
国内で処理しきれないプラスチックごみを資源として海外に輸出もしています。
輸出先で適切に処理されず、一部は海に流れ出ていると考えられます。
ポイント3:気候変動に影響
一般的なプラスチックの原料は石油です。
燃やすと温室効果ガスである二酸化炭素が発生し、世界の気候変動に影響します。
石油は化石燃料なので、地下にたくわえられていた炭素を地上に放出することに。
植物からつくられたプラスチックなら、燃やしても新たに栽培された植物がその二酸化炭素を吸収してくれるのでベターです。
海面にただよっているプラスチックが日光をさえぎり、植物性プランクトンの光合成に悪影響をおよぼす可能性も指摘されています。
ポイント4:有害物質を運ぶ
海洋プラスチックは「化学物質のカクテル」と呼ばれています。
プラスチック製品をつくる時、難燃剤や可塑剤といった化学物質が加えられることがあります。
海に流れ出ると、海に残っているDDTなどの有害な化学物質を吸着して高濃度の化学物質を含んでしまいます。
それが魚に食べられ、その魚を人が食べてしまう危険性が考えられているのです。
良いところはないの?
プラスチックの悪い面だけ書いてしまいましたが、良い面がないわけではありません。
軽いため運びやすい、容易に使い捨てできるため衛生面を保ちやすいといったメリットもあります。
ただそれを上回るデメリットがあると言えるので、医療などどうしても必要なところでは使い、代替品でまかなえる部分ではできるだけ使わないようにしていくことが大切です。
※参考文献
・シャンタル・プラモンドン ジェイ・シンハ『プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』2019年、NHK出版
・中嶋亮太『海洋プラスチック汚染―「プラなし」博士、ごみを語る』2019年、岩波書店
・西岡真由美『ファーストブック 身近なプラスチックがわかる』2020年、技術評論社
・チャールズ・モア『プラスチックスープの海 北太平洋巨大ごみベルトは警告する』2012年、NHK出版
・池上彰『世界がぐっと近くなるSDGsとボクらをつなぐ本 ハンディ版』2021年、学研プラス
◆記事を書いたのは・・・danngo
物心ついた時から生き物大好きだった40代主婦。美しく平和な地球と子どもの未来を守りたいと考えています。面倒くさがりのため、できるだけ手抜きしてズボラでもできるエコ活動を模索中。