元国語教師が教える執筆のコツ!文章の冒頭末尾の考え方と書き方

2022/03/23
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

国語科教員免許を持つ、元国語教師のdanngoです。
書くことが決まっているのに書き出しの文章が思い浮かばない、一番言いたいことは書けたけれど最後の文章がまとまらない、そんなお悩みを時々聞きます。
文章の冒頭末尾を書くための基本の考え方、参考になりそうな文例をお教えします。

流れは大きく2パターン

論説文の書き方としてよく聞くのが、演繹法(えんえきほう)と帰納法(きのうほう)です。
できるだけシンプルに解説します。

演繹法は一般的なことがらを組み合わせて結論を導く方法。
たとえばこういったものがあります。
・赤くて丸いものは可愛い
・テントウムシは赤くて丸い
【結論】テントウムシは可愛い
といった具合です。
シンプルに論理を組み立て、スピーディーに結論にたどりつけます。
ここでは、「テントウムシの仲間には赤くないものもいる」という例外が無視されます。

帰納法は複数の事実を並べて、そこから推論をたてる方法です。
たとえばこういったものがあります。
・ナズナの花の花びらは4枚
・ダイコンの花の花びらは4枚
・ハクサイの花の花びらは4枚
・ナノハナの花の花びらは4枚
【結論】アブラナ科の花の花びらは4枚である
帰納法はいくつかのことがらを並べたてて説得力を出す論法。
演繹法より手間がかかり、得られる結論はその人の考え方によって変わることがあります。

結論にすばやく導きたいなら、演繹法のように単純な論理の組み合わせが良いでしょう。
商品の紹介記事など、ある程度結論を読者の判断にゆだねたいなら帰納法が便利。
まずはどういう流れにするか、ざっくりと決めておくと良いです。

書けるところから書く

流れが決まっても良い言葉が出てこなくてかたまってしまうというのなら、いきなり本題の部分から書いてしまうのも手。
頭や尻尾の形がぼんやりしているのなら、まず胴体部分の形をはっきりさせた方がうまくいくことがあるからです。
箇条書きにしてみてもいいので、まずは手を動かしてみることが大切です。

いくつかの文例を紹介!

印象に残る冒頭末尾にしたいなら、文章の上手な人の書き方をまねてみても。
気に入った文をコピーしてメモ帳などに貼りつけておくと良いかもしれません。
私もいくつか文例を考えてみました。

【冒頭】
・毎日コンビニスイーツのチェックをかかさない○○です。(自分の特徴を説明)
・皆さんは玄関の収納で困ったことはありませんか?(問いかけ)
・もうすぐ新学期。不安と期待が入り混じる季節ですね。(季節の話題)
・先日、○○でおしゃれなパーカーを買ってみました。(近況報告)
・可愛い北欧風の雑貨はつい集めたくなりますよね。(共感を誘う)
・今回は新ジャガイモのおいしい食べ方をご紹介します。(内容説明)

【末尾】
・近くの店舗で見かけた際は、試してみてはいかがでしょうか。(勧誘)
・部屋を整えるだけでこんなに良いことがあるなら、やらない手はないですね。(共感を誘う)
・それでもできない日はあります。無理せずできる時やるようにしましょう。(例外の提示)
・今は穏やかに過ごせています。支えてくれた家族に感謝です。(直近の状況)
・やりくりは母親だけで頑張らず、家族で分担することが大切です。(最終的な結論)
・薄手のアウターは春のお出かけに欠かせないなと思いました。(自分の感想)

避けたい言い方はこれ!

冒頭で気になることはないのですが、末尾の文章でひっかかる記事が時々あります。

・今回の記事は以上です。
・これで記事は終わりです。
この文章は、はっきり言って蛇足です。
記事が終わることは一目瞭然だからです。
スピーチの原稿なら話は別。
時間の流れにそって言葉を並べるスピーチは終わりが見えにくいので、「話はこれで以上です」と言ってあげた方が親切です。

・いかがでしたか?
私は「何が?」と思ってしまいます。
記事の内容の感想なのか、紹介した商品について聞かれているのか、さっぱりわかりません。
いかにもとってつけたような印象を受けます。
より具体的に「この商品、とても面白いと思いませんか?」といった問いかけならOKです。

・最後までお読みいただき、ありがとうございました。
読者に配慮しているのだと思うのですが、私はうれしく思いません。
「頼まれて読んだわけでもないのに、感謝されるのはなんだかなあ」という気持ちです。
毎回記事にこの文章があると「自分の記事に自信がないのだろうか」とも思ってしまいます。
ただ、私も何かの節目には似たような文を書くことも。
文章が長くなりすぎた時のおわびとして書く場合もあります。
「長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さった人が1人でもいれば本当にうれしいです」とか「最後まで読み切ったあなたは勇者です」とかですね。

語りすぎて、本当に長くなってしまいました。
最後まで読んで感想を聞かせてくれる人がいたら、小おどりして喜びます!

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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