残留農薬だけじゃない!化学農法に頼りすぎると起こるデメリット
こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
日本の農業では、農薬や化学肥料を多用した化学農法が主流。
一方、ヨーロッパなどでは農薬を多く使った野菜は売れないという話を聞きます。
「残留農薬だけならよく洗えば大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、実際にはほかの問題もあるのです。
問題1:気候変動の要因になる
農薬と化学肥料は基本的にセットで使われます。
土壌に豊富な微生物がいれば自然と植物に必要な栄養素をつくりだしてくれますが、農薬は微生物のバランスを変えてしまうことがわかっています。
そんな中でも効率よく植物を成長させるため、化学肥料が使われています。
植物が吸収しきれなかった化学肥料は、一酸化二窒素という温室効果ガスをつくりだします。
二酸化炭素に比べると量は少ないですが、温室効果は二酸化炭素やメタンをはるかに上回ります。
問題2:周囲の環境を汚染する
農薬や化学肥料は自然のものではありませんから、周囲の土壌や水質を汚染していきます。
農地から出た水が海に流れ、漁業に影響をおよぼしてしまうことも。
過去には農薬に含まれた水銀が問題に。今では使用が禁止されています。
問題3:作物の味や栄養素に変化
化学肥料は窒素やリンなどの無機物で構成されているので植物の栄養にはなりますが、土の中では微生物が分解できる有機物が減っていきます。
本来なら微生物が落ち葉などの有機物を分解し植物に必要な栄養素を供給できるのですが、微生物が減るとそれが難しくなってきます。
人間がプロテインバーだけ食べ続けて健康に生きられるでしょうか。
化学肥料を与えれば成長をはやめることはできますが、含まれる栄養素のバランスは変わってしまいます。
実際、親世代はしきりに「野菜の味が変わった」とぼやいています。
おいしくて栄養素のバランスがいい野菜を食べたいですよね。
問題4:ミツバチの減少
ネオニコチノイド系農薬というものが、近年よく使われるようになっているそうです。
昆虫の神経に作用し、異様に興奮させて殺すというよくわからないけれど怖い化学物質。
人間への毒性は少ないということがメリットですが、昆虫なら種類を選ばず効果を発揮してしまいます。
皮肉なことに、益虫とされるミツバチへの被害も深刻です。
ときどきミツバチが減ったというニュースを聞きませんか。
ミツバチが減ると、虫媒花(虫に花粉を運んでもらう花)への受粉が難しくなり、作物をつくる手間とコストが増大してしまいます。
コストが増えれば、野菜や果物の値段が上がるかもしれませんね。
問題5:耐性の獲得
農薬は万能ではありません。
長く使い続けてしまうと、取りのぞきたい虫への効果が薄れてしまうことがあります。
害虫が、農薬への耐性を獲得してしまうのです。
昆虫などの世代交代が激しい生き物は、短期間で新しい子孫をつくるためいったん耐性がつくとどんどん強化されてしまいます。
結果、害虫に農薬がきかなくなったのに害虫の天敵は農薬で死滅してしまって爆発的に害虫が増える、といった事態も。
こうなるともはや逆効果。新しく農薬をつくりだしてもいたちごっこが続くでしょう。
化学農法でつくられた作物は安く買えます。ただし代償もあるのです。
最近、オーガニックと名のつく野菜などがスーパーなどで買えるようになってきました。
目についたときだけでも、こういったものを買ってみるとよいと思います。
参考文献
レイチェル・カーソン『沈黙の春』2004、新潮社
水野玲子『知らずに食べていませんか?ネオニコチノイド』2014、高文研
◆記事を書いたのは・・・danngo
物心ついた時から生き物大好きだった40代主婦。美しく平和な地球と子どもの未来を守りたいと考えています。面倒くさがりのため、できるだけ手抜きしてズボラでもできるエコ活動を模索中。