父の冗談が教訓に!幼い日に聞いた1円の話に思うこと

2023/08/12
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
私の父はくだらないダジャレや冗談が好きで、私が幼い頃からよく面白い話をしていました。
当時はただの冗談にすぎなかった話の中で、今になって考えてみると大切な意味を持つものがあります。
今でも心に残っている1円の話です。

ありえないと思っていた1円の話

私が小学生だった頃に父がよく言っていたお決まりの冗談がありました。
まずは唐突に「働かずに1億円を手に入れるにはどうしたらいいと思う?」と聞きます。
私が「さあ」と言うと、ニンマリと笑ってこう言いました。

「日本中を回って日本人全員に会って、1人1人に『1円だけください』と言うんだ。日本の人口は1億人以上いるから、それで1億円になるだろう?」
確かに、頭を下げてお願いすればほとんどの人が1円くらいはくれるでしょう。
当時の日本の人口は1億2千万人くらいだったと記憶していますから、6人中1人が断ってもぎりぎり1億円を超える計算です。
でも、日本中の人に会うための時間や交通費を考えると現実的ではありません。
私が「そんなのムリじゃない」と言うと、やはり父はニンマリ笑っていました。

SNSの発達で不可能が可能に

父の話を頻繁に思い出すようになったのは、大人になってから。
SNSの発達によって世界中の人に呼びかけ、見ず知らずの人からお金をもらうことが不可能ではなくなったためです。
そのことを強く実感したのは、コロナの流行により外出をひかえるよう呼びかけがあった時期でした。

私が青春の日々をついやした母校の馬術部が、コロナによる規制によりピンチに。
新入部員はほとんど入らず、試合もなくなり部活動も最低限のことしかできなくなりました。
外食できないので馬の世話をする部員は厩舎内で買ってきたものを食べるしかなく、部活動を支えてきたつながりも断絶し資金面も苦しく。
そこで、OB会の人に寄付を願えないかというLINEが回ってきました。
お金だけでなく、昼食用のレトルト食品なども必要とのこと。
近いうちに買いそろえて宅配便で送ろうと思っていたさなか、「募集終了しました」とのLINEが。

いくつかのSNSで募集をかけたところ、2、3日のうちに充分な寄付が集まったそうなのです。
これには監督も驚いていました。
数の力を実感したできごととして心に残っています。

どんなに防ごうと努力しても、起きてしまうのが災害です。
だからこそ困った人がいたら支援することが必要なのですが、少額の寄付ではあまり意味がないと尻ごみする人もいるのでは。
著名人1人が寄付した1億円と、1億人が1円ずつ寄付して集まった1億円、価値は同じです。
「1円ごとき何も役に立たない」ではなく「1円こそ集めやすく力となる」と、考えるのがいいのではないでしょうか。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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