知られざる海上保安官のお金事情3選
広島県在住の元海上保安官で2児の母。夫の年収548万円で年間300万円以上貯めているサンキュ!STYLEライターの川崎みさです。
わたしの夫は現役の海上保安官。夫婦ともに海上保安官のお金事情に詳しいので、宿舎で一緒になった同期や後輩のパートナーの方から「よく分からないんだけど、どうなっているの?」と、よくお金の質問をされます。部署や乗っている船の種類によってももらえる手当や金額が変わりますが、基本給以外に発生するお金が海上保安庁にはあります。
航海日当
航海日当は、陸にいないことで生じる諸経費を補うためのもので、船に10日乗船したら10日分、20日乗船したら20日分と、実際に乗船した分の手当が支給されています。
航行区域や、階級で値段が変わりますが、わたしの夫(勤続15年目)で1日あたり約1,000円。1カ月に約20日分の航海日当があるので約20,000円が支給されています。
航海日当を「ちょっとしたお小遣い」に感じる方もいるかもしれませんが、「陸にいないことで生じる諸経費」である航海日当の使い道は、船酔いで嘔吐するためにポケットに忍ばせているエチケット袋の購入代金や、船酔いで嘔吐してしまい汚してしまった制服、衣類の洗濯代、人によっては船酔いを抑えるための薬代なども含まれているため、「好きに使えるお金」というワケではありません。
食卓料
食卓料は、航海中の勤務中の食事代を補填するためのものですが、乗船する船の大きさによって、食卓料の金額が変わります。
ちなみに、わたしが乗船していた大型巡視船は(15年前の話ですが)約1,000円、現在夫が船長をしている巡視艇(5人乗りの小さな船)だと約750円ほど。この金額は1食ではなく、1日分の食費です。
航海日当とは違って、勤続年数や階級によって支払われる金額が変わることがないので、いっぱい食べる年若い新人の頃には、上官と同じくらいの食事量を取ることができてとてもありがたかったです。
特殊勤務手当
特殊勤務手当が支給される業務は色々とありますが、海上保安庁の場合は「死体を取り扱う作業等」での支給が一番多いと個人的には思っています。
死体の収容等について1日につき1,000円の支給がありますが、もらっても全然嬉しくない手当です。行方不明者を深夜・早朝に捜索してヘトヘトでも、やっぱり生きて発見できることがベストだと海上保安官全員が思っています。
海上保安官の財布には必ず現金3万円程度が必要
海上保安官というと、「船に乗っているのでお金を使う機会はないのでは?」と思われがちですが、意外と現金を使う機会もあります。
内偵捜査や陸路での船溜まりの見回り時に、財布にほとんど現金が入っていない部下の昼食代などを払ったり、橋や高速道路の通行料(後で職場から支払われます。)など一時的に立て替えが必要になるお金があるので、夫の財布には3万円程度の現金をいつも入れています。
「今のご時世で現金を持ち歩くの?」と思われるかもしれませんが、クレジットカードやペイペイなどのキャッシュレス決済は、基本的に禁止されています。
理由は、公務で使ったお金なのに個人に「ポイント」がついてしまうから。取り締まる側の機関が、微々たるものであったとしても、不当に利益を得ることは許されないため、夫の財布に現金は欠かさないようにしています。
この記事を書いたのは・・・川崎みさ
元海上保安官で2児のママ。貯蓄術や時短術で家族の笑顔が増えるライフスタイルを模索中!