受援力 介護

20歳の頃から親の介護が始まった私が思う「受援力」

2025/03/19
  • 知って活用、暮らしに溶け込む健康づくりをモットーに東洋医学のセルフケアの知恵を取り入れやすく続けやすいように発信します。看護師・薬膳師・などの資格をもつ令和元年生まれの坊やのママです もっと見る>>

看護師で薬膳師の薬膳ナースけいこです。

私は、父の介護と仕事などの両立が上手くいかずに20歳の時に倒れてしばらく入院したことがあります。簡単に状況を説明すると、20歳で看護師として就職したその日に父が脳出血で倒れました。父は55才でした。

現在、私は40代半ばとなり、介護を続ける中で、介護と何かを両立させるためには「受援力」を高める必要があると気づきました。

受援力(じゅえんりょく)って何?

受援力(じゅえんりょく)とは、困ったときに助けを求めたり、受け入れたりすることができる力や心構えを指します。

困っているときに「助けて」「手伝って」と言える力をつけることで、身体的、精神的疲労を楽にすることができる。援助を受けた経験が、人や社会への信頼を育むことに繋がるなどのメリットもあります。

私は、受援力が低くて、介護と仕事などが両立できずに入院してしまいました。何に対する受援力を高めておけばよかったのか、時に足りてなかったなと気づいた「助けて」と頼る相手が3か所あります。

職場に対する受援力

就職して初めて病棟に出勤したその日に親が倒れて早退したので、はじめのうちは、かなり気にかけていただいていました。

ですが、私が倒れたのは、父が倒れた7か月後の1月介護をスタートしてしばらくたった頃です。20歳の頃の私は、上司から聞かれれば状況を話していましたが、「休日も手続きなどに追われて、体を休めることができていない」自分の私生活の都合を、再三自分から上司に話すことは心理的抵抗からできませんでした。

あれから25年以上たつと管理職の人の気持ちがわかります。
病棟の管理職は、その日1日だけでなく継続して病棟で安全に医療が提供できるように色々なことに目配り気配りします。「経験の浅い新人が休日休めていない、夜勤前に休めていない」ことはかなり把握しておきたいリスクです。

また、私が入院したことで1人スタッフが欠員になりかなり迷惑をかけることになりました。
私は、休めていない状況を報告して、勤務調整や、平日休みを多くするなどの調整をお願いするべきでした。

自分の生活のために仕事はやめられませんが、職場から協力を得られるとかなり楽になると思います。
各々の職場の状況で対応は変わってくると思いますが、協力してもらえることは無いか相談することは自分だけでなく、仕事の責任を果たすうえでも必要な受援力です。

入所する施設や病院に対して

半身まひになった父でしたが、若かったので職業訓練施設に入所することになりました。
往復3時間の場所だったので、1回行けば1日がかりになります。大変でした。

そんな時、スタッフの方に「もっと面会を増やして、外出や外泊を増やしてあげて欲しい」「リハビリを頑張っているのに若いのに気の毒です」と言われました。

本当に仕事熱心で入所者の方に対して誠実なスタッフの方、その人なりの正義が突き動かしたんだと46歳の私なら、わかるのですが、当時20歳で、倒れる直前の張りつめた心身の状態だったので「これ以上は、絶対に無理です」と感情的に言い返してしまったのを覚えています。

そのスタッフの方はすぐに上司の方とお詫びに来て下さっただけでなく、状況をヒアリングしてくれました。
なるべく1度の面会で色々なことが片付くように、電話連絡の時間帯など調整して下さいました。

介護は長く、ゴールが見えません。自分が倒れないために、自分の生活状況、できる範囲、できない事、やると無理がかかることなどを施設、病院の方に伝えて、助けてもらうことの大切さを痛感した出来事でした。

あの頃より、随分受援力が上がった今、施設の方に自分の状況、何時までは動けるなど、自分ができることと、できないことはかなり伝えてあります。

「介護する人」としての自分だけでなく「色々な役割をもった生活者としての自分」も守るために「厚かましいと思われたらどうしよう」と思わずに一緒に介護される人を守るパートナーシップの相手として、自分がやる部分、プロに任せる部分をわけることは、自分が倒れないためにも大切だと思います。

プロを頼るという受援力

それから、かなり時が進んで、後期高齢者になって弱ってきたため、父のアパートを引き払って施設に入所することになりました。

2LDKのアパートを引き払うことになったのですが…荷物の量も、ごみの量もすっごく多い!!車でアパートに行って捨てたりしましたが、らちがあきませんでした。

実家じまい、住居を引き払うサポートをする業者にぎりぎりになって助けてもらったのですが、想像していたより、はるかに安い値段で、短時間で全てやってくださったので、本当に、拝みたい気持ちになりました。

その時、業者の方に「かなり一人で処理した後の状況だなって見たらわかるんです。他にもやることがあって大変だと思うので今後は早めに頼っていただければ」と言われました。

早めに頼っていれば気力体力の消耗はかなり少なくて済んだはずです。早めにプロを頼ることも必要な受援力だと思います。

今回は、私の個人的な経験や受援力について実感したことをお伝えしましたが、追い詰められることの無いように、あなたらしく暮らせるように、必要な受援力を高めることを大切にしたいただきたいです。

◆この記事を書いたのは…薬膳ナースけいこ
看護師・薬膳師・経絡ヨガ指導者・薬膳茶エバンジェリストなど人の心身のケアに関わって25年
東洋医学、西洋医学、脳と心の仕組みを使って「大人女子の体と心の生命力がUPする」健康習慣をお伝えしています
プライベートでは、令和元年生まれの男の子の子育てに奮闘中です

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