月の模様って何に見える? ~今年最大の天体ショーを終えて~
- 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>
今日11月8日は日本で約1年半ぶりの皆既月食ということで、仕事帰りに空を見上げた方も多かったのではないでしょうか。
私は気象予報士そして星空準案内人としての意地で(!?)仕事の合間にデジカメをつかんで撮影を試みましたが、仕事やお子さんの都合で見られなかった人のために、天体ショーの夜空をおすそ分け。
そういえば小さい頃、「月の模様はうさぎの形だよ」と大人から言われてもどうしてもそうは見えず、納得できない気持ちを抱えていたのを思い出します。
皆さんは、月の模様って何に見えますか?
月が地球の影に入ることによって欠けて見える月食。
今夜の月食は18時台から月が欠け始め、19時過ぎにはすべてが地球の影に入る「皆既」状態になりました。
皆既状態では完全に地球の影に入っているので本来なら何も見えないはずなのですが、地球に大気が存在する影響で赤黒く見えるという、神秘的な現象です。
その後20時半頃には再び部分月食の状態となり、さらに22時少し前には完全な満月へと戻っていきました。
冒頭で月の模様についてお聞きしましたが、こうして月の表面を見ていると、クレーターの中でもひときわ白く目立つ、丸いくぼみがあることに気づきます。
下の写真だと、ちょうど中心から下の方に行って、半径の1/4くらい進んだところにある、ほぼまん丸のクレーターです(見づらいかもしれないので、さらに次の写真で点線で囲んであります)。
これは「ティコ」と呼ばれるクレーター。
なんと直径約85キロもある巨大なクレーターで、有名な天文学者ティコ・ブラーエにちなんで名づけられました。
これだけ大きいと現代的な望遠鏡がなくても観測することができ、すでに1600年代前半には知られていたとされています。
85キロというサイズもびっくりですし、300年以上も前に名づけられたクレーターを現代の私たちも見ているというのもなんだかロマンチックですよね。
月の表面には他にも、「静かの海」や「嵐の大洋」といった素敵な地名が沢山つけられています。
ちなみに、皆既月食自体が見られるのは日本で約1年半ぶりのことでしたが、惑星食(惑星が欠けて見える現象で、今回の場合は天王星食)が皆既月食に重なるのは442年ぶり!ということで話題を集めていました。
その天王星は6等星程度の明るさだったので肉眼で見るのは結構難しかったのですが、冒頭でご紹介したデジカメ写真では月の左下にちょこんと映っています。
天王星はこのあと、画面で言うと右上の方向へと動いて行って月の後ろに隠れました。
これが「天王星食」です。
次回の月食は来年10月。
明け方の空に部分日食を見ることできます(西日本ほど良い条件で見られます)。
そして次に皆既月食が日本で見られるのは、約2年半後の2025年3月です。
皆既状態のとき、月の色は地球大気の影響で赤黒く見えるとさきほど書きましたが、実はその日その時間の大気状態によって、オレンジ色に近かったり、かなり黒っぽかったりと、バリエーションがあります。
今回見ることができた人もできなかった人も、ぜひ次回の皆既月食の際、空を見上げてみてください!
■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を中心に発信。