「伝わるコトバ」を選ぶ技術 ―― サンキュ!明るいミライフェスに参加して

2023/03/10
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

3月8日に関東地方でのサンキュ!アンバサダーイベント「サンキュ!明るいミライフェス」が開催され、私も参加させていただきライター仲間の皆さんと楽しい時間を過ごさせていただきました。
当初、「こんなことがあって楽しかったんです!」という記事を書こうかなと思っていたのですが、すでに色んなライターさんが書いてくださっていて楽しさは十分伝わったと思いますので、少し違った視点から。
今回会場には様々な企業さんが商品やサービスのPRにいらっしゃっていて、その中にいくつか印象的な言葉があったので、「伝える仕事」に10年以上こだわってきた私の目線で、覚書としてまとめたいと思います。

違いを明確にする:エバラ焼肉のたれ「黄金の味」

エバラ食品さんから紹介されたのは、先月2月に新発売されたばかりの焼肉のたれ「黄金の味 濃熟」と「黄金の味 贅沢林檎」。

でも正直、見ただけではそこまで惹かれないんですよね……。
だって、焼肉のたれってすでにこんなにあるんです。

今さら新しいって言われても違いがわからない。
でも、そこへすかさずエバラ食品さんの説明が刺さります。
「新商品『濃熟』は、ニンニクを使わずに濃厚でコクのある味わいを実現」。
え、濃厚なのにニンニク使ってないの?ってなりますよね。
「濃厚」な焼肉のたれって、醤油と砂糖とニンニクをたっぷり使ってないとあり得ないと思っていたのに!
実はエバラ食品さんでは3年前にニンニク不使用の黄金の味シリーズ「さわやか檸檬」を発売していますが、「ニンニク不使用」で「さわやか」なら「そりゃそうだよね」とあまり印象に残りません。
一方、今回のように【ニンニク不使用】と【濃厚】という正反対の印象を与えるワードを組み合わせると、ぐっと魅力的に。
これはCMやキャッチコピーにもよく使われる、【ギャップ法】と呼ばれる王道テクニックです。

今回のイベントでは、2種類の新発売のたれ(写真右上の四角い容器)を食べ比べました。

さらに、
「お弁当に入れても安心」
というコメントも「うまい!」と思いました。
実際に何に使うか想像できると、買いたい気持ちにつながりますよね。

もう一つの新商品「黄金の味 贅沢林檎」の最大の特徴は、原材料の実に45%がリンゴであること。
今まで最大でも1/3だったのが、一気に半分近い45%まで引き上げられているという点です。
具体的にわかりやすい数字を使うのは王道ですが、効果抜群。

さらに効果的だったのが
「工場側から『これ以上は機械が詰まるから入れられない』と言われる限界までリンゴを入れた」
というコメントです。
「確かにすりおろしリンゴって機械が詰まりそう」と質感を想像できて「そこまでがんばってリンゴ入れてくれたんだ」と実感できますし、本社・工場間のやりとりという社外の人間が知り得ない情報を良いタイミングで入れ込んでいたのが印象的でした。

安い理由を合理的に説明する:ロート製薬「肌ラボ」

ロート製薬さんからは「肌ラボ」シリーズの化粧水「極潤」をご紹介いただきました。
ほとんどの人が聞いたことあるか薬局で見たり買ったりしたことがある商品だと思います。
それだけに、やっぱり今さら興味が沸きづらい。
「低価格で高品質」と主張されても、「確かに安いけど、薬局に行くと同じような感じのがいっぱい並んでるし……」と思ってしまう。

しかしロート製薬さんの説明で印象的だったのは、「安く作れる理由」。
目薬製造で培った半自動製造技術を利用することで低コストで生産できる、という説明でした。
確かにロートの目薬は子どもの頃から身の回りに当たり前のようにあって、それらを長年製造してきたノウハウと言われれば素直に納得です。
ただ単に安い(チープ)のではなく、合理的に安い(リーズナブル)ことを説得するための効果的な一言でした。

説得したければ「相手の頭の中」を想像する!

自分のおすすめを伝えたいとき、何か商品を売り込みたいとき、モノの特徴をそのまま伝えても、なかなか思ったように伝わらないことが多いです。
でも、ちょっと立ち止まって「相手の頭の中」を想像してみてください。
「このワードを聞いたらどんな印象を持たれるかな?」
「こういう名前って普通どういう中身を想像される?」
「この商品の説明として一番意外なワードは何だろう」
そうやって「相手の頭の中」を基準にすると、伝わりやすさがぐんと増します。
ぜひお仕事でも、そして日常の中でも試してみてください。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

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