冬も食中毒に注意!食育インストラクターが実践する対策とは

2023/01/26
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

食中毒が発生しやすいのは夏……、そんなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょうか。
ところが実は、食中毒は年間通じてほぼ同じペースで発生しています。
今回は、冬に発生しやすいタイプの食中毒に焦点を当てて、食育インストラクターであるライター・植松愛実が特に気を付けていることをご紹介します!

季節ごとに食中毒の「原因」が違う!

毎年1万人ほどの人が苦しむ食中毒。その発生件数は、実はどの月でもあまり差がありません。
ただし、季節ごとに「発生しやすいタイプ」が違います。
私たちが普段「食中毒」と聞いてイメージしやすいのは、5月から9月頃にかけて多く発生する、大腸菌やサルモネラ菌といった細菌による食中毒。
これらの細菌が、暖かく湿った環境で増殖するためです。
一方、12月から3月にかけて多いのが、ノロウイルスなどのウイルスに起因する食中毒。
ノロウイルスは低温に強く、冷蔵庫の中でも死なないどころかむしろ長生きするため、気温の低い時期は特に注意が必要なのです。

ちなみに、きのこや野草などの自然毒による食中毒は春と秋、アニサキスなどの寄生虫による食中毒は年間通じて発生が多い。

牡蠣を食べなくてもノロウイルスに感染する!

ノロウイルスと言えば、牡蠣などの2枚貝をしっかり加熱せず食べたせいで発症する……と思われがち。
ところが実際には、2枚貝を食べて発症するパターンは全体の約2割で、残りの8割ほどは人の手指を介して発症しています。
そのため、2枚貝を食べる際にしっかり加熱すべきなのはもちろんですが、それ以外にも
■手をしっかり洗う
■調理器具は清潔に保つ
といった対策が毎日必要。
「そんなの知ってるよ!」と思われるかもしれませんが、実はこの「手洗い」に見落とされがちな危険がひそんでいるのです。

調理用手袋を使えば清潔!と思っていませんか?

挽き肉料理や離乳食のお団子などを作る際に便利な、調理用手袋。
私も自宅での家事だけでなく、出張料理の仕事を含め、日常的によく使っています。

でも手袋を使っている間、「素手より清潔だから」と思って手洗いの回数が減っていませんか?
実は手袋をしていてもいなくても、手洗いの重要性はまったく変わりません。
たとえば手袋を使っている間に「表面が脂っこくなってきたから新しいのに交換しようかな」と思って新しい手袋に付け替える際も、一旦手を洗う必要があります。

また、長時間同じ手袋を使い続けるのもNG。
いつも調理をする際に、何か作業がひと区切りつく毎に手洗いをする人も多いと思いますが、ちょうどそういうタイミングで手袋を新しく取り換えるのがおすすめです。
さらには調理中にトイレに行ったり、あるいはちょっと洗い物をするために手袋を外したりするときも、再利用せずに新しいのを使いましょう。
そして、手袋を取り換える際だけでなく、最終的に手袋での作業を終えて素手での作業に移るときも、もちろん手洗いが必要です。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

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