新米の季節を満喫したい!岩手が誇る"金銀のお米"を食べ比べ

2022/10/27
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

お米大好きな私にとって心躍る季節、秋。
農家さんが手塩にかけて育ててくださったお米が各地から続々届き、スーパーには「新米」のポップが踊ります。
最近では毎年のように新しい品種が誕生し、コメの世界はまさに群雄割拠の時代。
どのお米を食べようか目移りしてしまいますが、今回はその中から、岩手県が誇る"金の米"と"銀の米"をご紹介します。

"ちょうどいい"感が嬉しい!手のひらサイズの真空パック

今回食べ比べるのは、いずれも岩手県産米の「銀河のしずく」と「金色(こんじき)の風」。
岩手県のアンテナショップ「岩手銀河プラザ」(東京都中央区)で購入しました。
いずれもここ5~6年の間に相次いでデビューした新しい品種です。
開発には約10年の歳月がかけられ、美味しいのはもちろん、病気に強く収量も多い品種を作るために多くの努力が重ねられました。
強いお米であることは、夏に冷たい風「やませ」が吹くことでお米の成長が妨げられてしまうおそれのある岩手県では、特に重要なことです。

手のひらサイズの真空パック。それぞれ3合分のお米が入っている。

今回購入したのは、写真のように3合分のお米が真空パックされたタイプ。
お米は精米したあと時間が経つと味が落ちてしまいますが、真空パックならそれをある程度防ぐことができます。
最近はこんなふうに、手ごろな値段でお試しサイズのお米が手に入りやすくなりました。
自分で食べ比べるにもちょうどいいし、パッケージにこだわっている商品が多いのでプレゼントにもちょうどいい、まさに優等生です。
アンテナショップはもちろん、現地のお土産屋さんや鉄道の駅でも売っていたり、一般的なスーパーでも見かけることが多くなりました。
個人的にはこういった商品が増えることで、普段あまりお米を食べない人にも興味を持ってもらえる良いきっかけになると思って期待しています。

いよいよ"金銀"食べ比べ!

軽やかで美しい「銀河のしずく」

今回、先に食べたのは「銀河のしずく」。
ひとくち頬張ると……とにかく、美味しい!
「コシヒカリ」に近い甘みはあるのですが、比較的甘さが控えめなので、おかずの味を邪魔しません。
またもっちり感も控えめで食べやすく、酢飯にしても美味しく食べられそうです。
開発過程では、軽やかな食感と米の白さにこだわったとのこと。
童話『銀河鉄道の夜』などで知られる宮沢賢治のふるさと・岩手県には「銀河」のつく商品がたくさんありますが、透明感のある白さが特徴のこのお米は、一粒一粒が本当に星のようで、ぴったりなネーミングです。

豊かな風味と甘み「金色の風」

次にいただいたのは「金色の風」。
遺伝子的には「ひとめぼれ」に近く、東北地方で多く生産される「ひとめぼれ」の特徴を引き継ぎつつ、「コシヒカリ」並みの食味を目指して開発されました。
実際に食べてみると、甘みと一緒にお米本来の上品な風味を感じます。
口いっぱいに豊かな風味が広がる、そんな美味しさです。
もっちり感はあるけど強すぎず、口の中でふんわり広がる食感がちょうどいい。
食べ続けても飽きないお米です。

軍配は…??

結論から言うと……、どっちも美味しかったです(笑)
敢えて言えば、お魚や野菜などあっさりしたおかずには「銀河のしずく」、お肉などしっかりした食事には「金色の風」の方が合いそう。
そして、酢飯なら「銀河のしずく」、おにぎりなら「金色の風」の方が美味しくなりそうだと思いました。
ちなみに、どちらもお米自体が美味しいので、私は晩ご飯のおかずを食べ切ったあともご飯だけおかわりして沢山食べました。
本当に美味しいお米って、それだけでも贅沢品だと思うのです。

努力の結晶!新品種たち

東北に住んでいた頃に撮影した、秋の田園風景。辺り一面が金色に染まる光景が、今も忘れられない。

各地の農業試験場では今も引き続き、新しい品種を生み出すための努力が続けられています。
お米が無事に育って食卓に届くためには、気温、水、土、日射、湿度、害虫、病気などなど、様々な条件をクリアしていく必要があります。
美味しいだけでは生き残れない、強さも求められる世界です。
何十万通りもある掛け合わせの中から、その地域の気候と土壌で一番美味しくなるお米を探求する品種改良。
そんな途方もないような、ちょっとロマンチックな過程を経て、私たちはたくさんの美味しいお米を食べることができるのだと思うと、感謝の気持ちと同時に、なんだかお米が愛おしく感じる気がするのです。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

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