今年の桜前線は俊足!「マイ標本木」を見つけてお花見のタイミングをつかもう

2023/03/05
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

まもなく各地で咲き始める、日本の春を代表する花の一つ、桜。
今年の桜前線は例年より早く、駆け足で日本列島を北上していきそうです。
今回は、気象予報士と料理人の2足を履くライター・植松愛実が、お花見のタイミングを逃さないためのコツをまとめます!

今シーズンは桜が咲きやすい条件が揃い踏み

桜が咲くために最低限必要な条件は、「冬の寒さ」と「春先の暖かさ」です。
というのも、桜の花芽は夏の間に形成されて秋から冬にかけては休眠に入るので、休眠から花芽を目覚めさせてくれる「冬の寒さ」と、目覚めたあと開花に至らせる「春先の暖かさ」の両方が必要になるのです。

宮城県大河原町から柴田町にかけての白石川沿いに並ぶ「一目千本桜」(過去の様子)。残雪の蔵王連峰との雄大なコラボはまるで絵画のよう。

今シーズンは冬の間に何度も寒波を経験した記憶が新しいように、「冬の寒さ」は申し分ありません。
しかも、2月下旬から平年を上回る暖かさの日が多くなり、「春先の暖かさ」もばっちりです。
そのため、例年よりもかなり早く桜が開花する場所が多いと予想されています。
特に東京や高知、福岡など普段から開花の早い地域では、今年は3月中旬のうちに開花する可能性が高くなってきているのです。

「マイ標本木」を見つけよう

各地の気象台では、基準となるソメイヨシノの木を「標本木(ひょうほんぼく)」として観測し毎年開花や満開の発表を行っていますが、実は桜は開花までのつぼみの変化が見た目にわかりやすく、植物に詳しくない人でも観察しやすい花です。
特に開花1週間前くらいになると、毎日見た目が如実に変化してくるので、見ていて面白いです。

ソメイヨシノのつぼみの様子と開花までの日数の目安(作画:植松愛実)

仕事の行き帰りや、お子さんの学校や習い事の周辺で、「そういえばここは毎年桜が咲いているなぁ」という場所があったら、ぜひ「自分だけの標本木」=「マイ標本木」を決めて観察してみてください。
日本に植えられているソメイヨシノはすべて接ぎ木で増えたクローンなので、同じくらいの気温の場所にある木はほぼ同じタイミングで咲きます。
お花見に行く予定の場所と自宅近くの同じ県内で標高も同じくらいであれば、「マイ標本木」の咲き具合でお花見のタイミングをつかむことができるというわけです。
今はスマホで簡単に撮影ができますから、毎日撮っておいた写真をあとでお子さんなどと一緒に見返すのも楽しそうですね。

ソメイヨシノを含む無数の花が咲き乱れる福島市の花見山(過去の様子)。個人所有の山が花の季節には観光用に公開され、文字通り"桃源郷"を楽しむことができる。

見頃は開花から約1週間後

ソメイヨシノは通常、咲き始めてから見頃(7~8分咲き)の状態になるまで1週間ほどかかります。
そして、見頃が始まってからだいたい1週間は綺麗な状態が続きます。
つまり、例えば3月20日に開花した場合、3月27日頃から見頃となり、4月3日頃まで楽しめるということ。
そう考えると意外と余裕がありますよね。
あまり遠方までお花見をしに行く予定がないのであれば、開花のニュースを聞いてからお花見の日程を決定しても間に合いそう。
年度の変わり目の慌ただしい季節、無理しない範囲で春を楽しんでいきましょう!

香川県三豊市の紫雲出山(過去の様子)。咲き乱れる梢の向こうには穏やかな瀬戸内海の多島美が広がる。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を中心に発信。

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