高台から見下ろした海

津波注意報が出たらどうする?避難する・しないの基準は??防災士解説

2023/12/06
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

海に囲まれている日本では、たとえ国内で地震などが発生していなくても海外の地震や火山噴火によって津波注意報や津波警報といった情報が出されることがあります。

直近では2024年元日の能登半島地震で大津波警報や津波警報が広範囲に出されたほか、2023年12月には海外の地震の影響で太平洋側中心に津波注意報が出て、避難したほうがいいのか迷った人や、何をすればいいのか戸惑った人も多かったのではないでしょうか。

今回は、防災士・気象予報士の資格を持つライター・植松愛実が、いざというときに慌てないために情報を見るコツを解説します。

「津波注意報」とは?

女川の海

気象庁から出される「津波」とつく情報には、津波注意報、津波警報、大津波警報があります。

これらの違いは、予想される津波の高さです。
1メートル以下が津波注意報、1メートル超3メートル未満が津波警報、そして3メートルを超えたら大津波警報になります。

津波警報や大津波警報だとかなり危険そうですし、海に近い地域で避難が必要そうだというのはなんとなく想像てきますが、津波注意報となるととうすればいいかちょっと悩みますよね。
以下で詳しく見ていきましょう。

「津波注意報」で避難は必要?

石巻の海

津波注意報が出る場合に想定されている津波というのは、海の中で人が速い流れに巻き込まれてしまったり、養殖いかだが流失したり小型船舶が転覆してしまったりするような津波が来る場合です。

そのため、気象庁では「津波注意報が出たら、海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れてください」と呼び掛けています。
つまり基本的に津波注意報では、海の中にいる人や、海岸でレジャーや仕事をしている人以外は、避難の必要はありません。

ただし、市町村ごとの基準によって、津波注意報の段階でも避難指示を出すと決めているところもあります。
その場合はできるだけお住いの市町村の指示に従い、もし自宅がすでに高台にあるなど安全な場所である場合はそこを動かない、ということが必要になります。

「津波警報」が出たらできるだけ高いところへ

宮城の海

予想される津波の高さが高いところで1メートルを超え、かつ3メートル以下の場合には、津波警報が出ます。
また、もし事前に予測できなかった場合でも、実際にその高さの津波が観測された場合には発表されます。

津波警報が出るような津波がやってくると、標高の低いところでは浸水被害が発生し、もし人がその場にいれば津波による流れに巻き込まれてしまいます。
少なくとも、予想される津波の高さよりも海抜標高が低い場所に人がいると危険です。

そして、勢いの強い津波は斜面を遡上することもあり、たとえ予想される津波の高さよりも高い場所にいたとしても、海に近い場所からはできる限り離れる必要があります。
また、避難したあとも「ここなら安全」と思わずに、可能な限りより高い場所を目指すことが肝要です。

「大津波警報」は最大級の警戒を

松島

大津波警報は3メートルを超える津波が予想されるか実際に観測されたときに出されます。

大津波警報という名前だけだとちょっとイメージがつかみにくいですが、たとえば大雨のときに出される「大雨特別警報」と同じくらい"災害切迫度が高い"とされている情報です。
「大雨特別警報」が出るようなときは人命を奪うような被害が広範囲で発生することが多いですから、それと同じレベルということは「かなり大変な状況だな」と想像できますね。

大津波警報も津波警報と同様、できるだけ高いところを目指して逃げる必要があります。

また、たとえ津波が収まったように見えても、津波は何度も何度も来て後から最大波が来たり、最初が「引き波」で大したことないように感じても次が「押し波」だったりと、普通の感覚には当てはまらないことが起きるおそれがあります。
そのため大津波警報・津波警報が解除されるまでは避難を続けるしかありません。 

いきなり情報が出たとき慌てないために

頻繁に発表されるわけではない防災情報がいきなり出ると、どうしても焦ってしまって、避難しなくてもいいときに避難しようとしたり、あるいは誤った場所に避難してより危険な状況に陥ってしまったりすることも。

あらかじめ情報の意味を知っておいて、「自分の家の場所で考えたら、こういうときだけ避難が必要だな」というのを家族と一緒に確認しておきましょう。

余裕があったら、離れて暮らす親の家なども調べておいて、いざというときすぐに連絡できるようにしておきたいですね。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を中心に発信。

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