日本茶

「新茶=5月」とは限らない⁉新茶はほかのお茶と何が違う⁇日本茶をめいっぱい楽しもう!

2024/04/14
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

新茶と聞くと、いつのイメージでしょうか。
「夏も近づく八十八夜~」という有名な歌詞もあり八十八夜は5月のはじめなので、5月のイメージを持つ人が多いかもしれません。

でも実際は、新茶には意外な一面も…!
食育インストラクターと気象予報士の資格を持ち、「味は狭山」で有名な狭山茶のアンバサダーも務めるライター・植松愛実が解説します。

新茶はいつ出る?

茶畑

じつはそもそも、お茶の収穫は年1回だけではありません。

たいていの地域では、年3~4回の収穫が行われ、それぞれ「一番茶」、「二番茶」、「三番茶」といった具合に呼ばれます。
そして、「一番茶」の時期に収穫された、その年最初のお茶が「新茶」と呼ばれるのです。

ただ、私たちがふだん飲む日本茶の生産地は九州から北陸にかけてかなり広い範囲に分布しているため、ひとくちに「一番茶」と言っても収穫の時期がずれます。
そのため「一番茶」つまり「新茶」は3月から5月頃にわたって出荷され、私たちは意外と長い期間、「新茶」を楽しめるのです。

「一番茶」はなぜ貴重?

茶畑

お茶に詳しくない人でも、「一番茶」と聞くと、贈答品などに使われるおいしいお茶のイメージがあるかもしれません。
実際にそのとおりで、昔から目上の人への贈り物などに珍重されてきました。

これは、ひとつには古くから「一番茶を飲むとその年は健康でいられる」と言われてきた、縁起物としての性質が挙げられます。

さらに、冬が終わったあと最初に収穫されることが、「二番茶」以降とは異なる味わいを生み出すという特徴もあるのです。

まろやかで旨味が際立つ

日本茶

お茶にはさまざまな成分が含まれていますが、そのうちおもに渋みを感じさせる成分が「カテキン」と呼ばれるポリフェノールの一種、そして旨味を感じさせるのが「テアニン」というアミノ酸の一種です。

じつは「テアニン」は紫外線が当たると「カテキン」に変化するという性質があるため、季節が春から夏へと移り変わって紫外線を浴びれば浴びるほど、茶葉に含まれる「カテキン」は多くなります。

そのため、冬が終わって最初に収穫される「新茶」つまり「一番茶」が、もっとも「カテキン」は少なく「テアニン」が多くなり、渋みが抑えられてまろやかな味わいになるのです。

ホットで飲む?それともアイス?

急須と湯呑

かつては温かい状態でばかり飲まれてきた日本茶も、今では冷たくしてアイスグリーンティーとして楽しむ人が増えてきました。
ホットとアイス、どちらにするかはもちろん好みで決めても大丈夫ですし、迷った場合は飲む時間帯で決めるのもおすすめです。

ホットのほうが渋みを感じる成分であるカテキンや、目覚めに役立つカフェインの抽出が多くなるため、たとえば朝、起きて間もないタイミングで飲む場合はホットにするとスッキリ起きられそう。
また、アイスだとそういった成分がおさえられて甘みを感じやすくなるので、仕事の休憩中などにリラックスしたいときはアイスにしても。

意外と長い新茶シーズン、好みや場面に応じて日本茶を楽しみながら味わってみてください。

■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

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