
【防災士解説】火災の避難所って知ってる?いざというとき慌てないために知っておきたいこと
- 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>
毎年春は、火災が多くなる季節。乾燥や強風によって火災が延焼しやすく、広範囲で避難が必要になるほど炎が広がってしまうこともあります。
大規模な火災で避難することになったとき、「近所の小学校に行けばいいかな」と思っていると、じつは危ないかも!?今回は、気象予報士・防災士の資格を持つライター・植松愛実が、いざというとき慌てないために知っておきたいことをまとめます。
避難所なのに…火災時に行ってはいけない!?

避難所と言えば、近所の学校や公民館などを思いうかべる人が多いのでは。たしかに公共施設の多くは、災害時に避難所として使えるよう指定されていることが多いのですが、そのなかでも、大規模な火災時に行ってはいけない場所もあるのです。
じつはすべての避難所には、「どんな災害のときに使えるか」という災害の種類が指定されています。たとえば、土砂災害のときには避難できるけど、川が近いので洪水のときには使えない、といった具合です。
そして大規模な火災に関しても、延焼のおそれが高い建物や、輻射熱(ふくしゃねつ)といって火災の高温の影響を受けやすい場所については、避難所として使うことができません。そのため、パッと見で避難所のように見える公共施設でも、じつは大規模な火災時に近づくと危険な場所があるのです。
火災時の避難先はどうやって知る?

大規模な火災のときに避難できる場所は、インターネットで「〇〇市 火災 避難所」などと検索すると、一覧や地図形式で見ることができます。大規模な火災は大きな地震のときに発生することが多いため、地震の避難所とまとめて説明されている自治体が多いです。
また、小中学校や公民館などに掲示されている避難所看板を見ると、避難してよい災害の種類がピクトグラムで描かれているので、近くを通りがかったときにぜひ注目してみてください。
ちなみに「避難所」と「避難場所」の両方を見かけると思いますが、「避難所」というのは自宅が住めない状態になったときに一定期間生活する施設、「避難場所」は緊急的に逃げる場所です。「避難場所」は施設だけでなく、公園やグラウンドのように屋根や壁がない場所の場合もあります。また、学校や公民館などは「避難所」兼「避難場所」になっていることが多いです。
指定された避難所が変わる!?

大きな地震が起きて大規模な火災が引き起こされた場合、かなり多くの人が一度に避難所を必要とすることが想定されるため、あらかじめ「〇丁目に住む人は〇〇小学校へ」というふうに、行政によって避難先が指定されています。
しかし人口の増減や市街地の開発が多い地域だと、あらかじめ考えていた避難先の指定が、いつのまにか実情にあわなくなることも…。そこで、そういった変化の大きい地域では何年かに一度、指定避難所を見直すことがあります。たとえば東京都では、おおむね5年に1回の頻度で見直されています。
ということは、たとえ過去に一度、避難所をちゃんと確認したことがあっても、今現在では正しい情報ではないというおそれも。自分の避難所はすでに知っているよ、という人もぜひ改めて確認してみてください。
いざというとき慌てないために
大雨による災害で避難する場合と比べ、大規模な火災で避難することは少ないように感じるので、避難先を確認したことがなかったという人も多いのでは。しかし、天気予報である程度の予想が出る大雨と違って、火災は突然起きることが多いですし、とくに大規模な火災を引き起こしやすい大地震の際は、一刻を争うこともあります。
いざというときに慌てなくてすむよう、今のうちに避難してよい場所を確認しておきましょう。ついでに避難所へ向かうときにできるだけ延焼しにくい広い道を通って行くルートも、あわせてチェックしておきたいですね。
■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を中心に発信。