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茹でた野菜は水で冷やす?冷やさない!?今さら聞けないけど重要なコツを出張料理人が解説

2025/03/07
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

ほうれん草や小松菜など、野菜の調理においては茹でたあとに水で冷やすことが多いですが、ときどき「あれ?この野菜は水で冷やす必要あるんだっけ…?」と悩むものもあるのでは。
そもそも、なぜ野菜を茹でたあと水で冷やすのか、水で冷やす・冷やさないの判断の基準は何なのか、あらためて考えてみるとよくわからないことが多いですよね。

今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクターの資格を持ち、年間数十件の出張料理も担当するライター・植松愛実が、今さら聞けないけど重要な料理のコツを解説します。

そもそも何のために水で冷やすの?

なべ
出典:写真AC

ふだん何気なく、茹でた野菜を流水にあてたり冷水にひたしたりしていますが、そういえば何のため?と聞かれるとすぐに答えられないかもしれません。これは基本的には、緑色の野菜を色よく仕上げるためと、食感をよくするためにやっています。

緑色の野菜にはクロロフィルという色素が含まれているのですが、茹でて高温になったあとすぐに温度を下げることでクロロフィルが安定し、きれいな緑色に仕上がりやすくなります。また、茹でたあといつまでも温かいままだと余熱でさらに火がとおってしまい、本来の食感が損なわれることがありますが、冷やすことでそれを止めることができます。

また、ほうれん草や春菊、菜の花のようにアクが強い野菜の場合、流水にあてることでアクを洗い流すことができ、アク抜きの役割も兼ねています。

緑色でない野菜は基本的に水で冷やす必要なし!

にんじん
出典:写真AC

水で冷やすことの意味を考えてみると、そもそも緑色でない野菜については、茹でたあと水で冷やす必要がないことがわかります。たしかに、にんじんやじゃがいもを茹でたあとに水で冷やすイメージはありませんよね。

こういった野菜については、茹でたあとはザルなどに上げてしばらく置いておくことで冷ませばOK。もし余熱で火がとおってやわらかくなりすぎるのを防ぎたい場合は、茹で時間をほんの少し(20秒程度)短くすることで解決します。

緑色でも水で冷やさないほうがよい場合も…

ブロッコリー
出典:AC写真

緑色の野菜でも、茹でたあと水で冷やさないほうがよいものもあります。たとえば、ブロッコリーや水菜、枝豆、インゲンなどです。

というのも、これらの野菜は水で冷やすことによって、水っぽくなり食感が悪くなってしまうことが多いため。また、ブロッコリーや水菜に関しては生でも食べられるほどアクの少ない野菜なので、アク抜きの必要もなく、もともと水で冷やすメリットが少ない野菜です。

こういった野菜については、水で冷やすのではなくザルにあげてしばらく置くことで冷やすのがおすすめ。余熱で火がとおりすぎるのを防ぎたい場合は、茹で時間を少し短くするか、ザルにあげた野菜のうえに氷をいくつか置いて急速に冷ます方法もあります。

水で冷やすor冷やさないを理解していつもの料理をワンランクアップ!

茹でた野菜を水で冷やすかどうかは、ちょっとした違いに思えても、じつは料理の仕上がりに大きな差が出ることがあります。水で冷やす必要がない、あるいは水で冷やしてしまうと風味や食感が悪くなってしまう野菜を、正しい方法で冷やすことで、いつもの料理がワンランクアップすることも。

今回ご紹介したコツを押さえて、ぜひそれぞれの季節の野菜を存分に楽しんでくださいね。


■この記事を書いたのは・・・サンキュ!STYLEライター植松愛実
身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。

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