読むだけで前向きになれる!「応援小説」2選
こんにちは。
これまで1,000冊以上の本を読んできた読書マニアのあやをです。
突然の休校、卒業式の中止、予定していた旅行はキャンセルを余儀なくされ、レジャー施設は軒並み休園。混乱が続く日々の中で、何となく気持ちも沈みがち。
ただでさえ、春はこれまでの環境からがらっと変わり、新しい環境への不安が募る季節。
しばらく外出できない日々が続きそうですが、今回はそんな今だからこそ読みたい「前向きな気持ちになれるとっておきの本」を2冊ご紹介します。
落ち込んだ時に元気をもらえる、応援ソングならぬ応援小説2選
本日は、お日柄もよく/原田マハ
平凡なOL二ノ宮こと葉(27歳)は、長年片思いをしていた幼なじみの厚志から別の女性と結婚することを告げられ落胆する。しかし、最悪な気分で参列していた厚志の結婚式で、こと葉は衝撃的なスピーチに出会う。
それは、伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。久美の紡ぐ言葉に魅せられたこと葉は、弟子入りを決意。
スピーチライターという人生を歩みだすこと葉だったが、なんと「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢されて...
主人公の平凡な日々を変えた、たった一つのスピーチ。そして自らもその世界に飛び込み、様々な問題にぶつかりながらも「言葉の持つ力」を信じて進んでいく姿に勇気をもらいました。
何より、この小説に出てくるスピーチの数々が素晴らしい。
「困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している。」(引用:本日は、お日柄もよく (徳間文庫))
言葉の一つ一つがじんわりと心に染み入り、自然とあたたかな涙が溢れます。読み終えたあとには心が澄み渡り、自分も頑張ろう!と思える一冊。
サラバ!/西加奈子
僕はこの世界に左足から登場した。イランのテヘランで生まれた圷歩(あくつあゆむ)。
父の海外赴任先であったイランで、母と、風変わりな姉と暮らしていた歩だったが、イラン革命のため帰国し、大阪で暮らし始める。世渡り上手な歩とは対照的に、周囲に溶け込めず問題行動ばかり起こし孤立していく姉。
しばらくして今度は父がエジプトに赴任することになり、歩はそこでヤコブという少年と出会う...
力強くて、粗くて、真っ直ぐで、美しいお話。
子どもの頃からずっと、それなりにうまく生きてきた歩が、大人になるに連れ、劣等感に苛まれ苦しみ始めます。それは、歩がこれまで「人に合わせる」ことでその場をやり過ごしていたからでした。
一方でずっとうまく生きられなかった姉は、それでも自分に誇りと自信を持っていた。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」(引用:サラバ! (下) (小学館文庫) )
自分が信じるものは、自分で決める。子どもの頃からずっと問題児だった姉は、美しく、強い大人になっていたのです。
その姿に痺れました。そして、苦しんでいた歩もやがて、光を見つけて進み始めます。
最後は、訳も分からず拍手したくなるような、清々しいとはこのことか!というくらい気持ちの良い物語でした。自分の人生を生きるとはどういうことなのか?を考えさせられる力強い一冊。
上・中・下巻の大作なので、普段本をあまり読まない人にとってはハードルが高いかもしれませんが、文章の放つエネルギーに圧倒され、ぐいぐい引っ張られるように読めるので、読み終わる頃には「サラバ!ロス」になっているかも?!
一冊の本で前向きになれることがある
だれかのほんの一言で人生が変わることがあるように、ある一冊との出会いによって人生が変わることがある。筆者は「この一文に出会えてよかった」そう思える文章に、これまで何度も出会ってきました。その一文を心の中に持っている人生と持っていない人生は、きっと違うものになっていたでしょう。
これを読んでいる皆さんが「そんな一冊」に出会えたらいいなという気持ちを込めて、これからも素敵な本を紹介していきたいと思います。
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◆記事を書いたのは・・・あやを
インテリアも節約も収納も料理もそこそこな肩書き迷子。強いて言うなら暮らしにまつわるあれこれを幅広く執筆する「暮らし」のオールラウンダー。お金好きが高じてFP2級を取得。暇さえあれば本を読んでいる読書家。Instagramでも定期的に読んだ本を紹介しています。