肉好きならいっそ観ない方が……食の安全を考えるドキュメンタリー映画

2021/03/24
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
肉っておいしいですよね。
でもその肉がどのようにして育てられて加工されるのか、ということを真剣に考えたことはあるでしょうか。
もしかしたら観ない方が幸せかもしれませんが、食の安全について考えさせられるドキュメンタリー映画をご紹介します。

『フード・インク』

「法人組織の」という意味のある「INC」という言葉が使われているこの映画。
巨大な企業が効率を重視してコストを徹底的におさえ、恐ろしい規模で農業や畜産業を営む様子が映し出されます。
そこから生まれる様々な問題を淡々と語る様子を見ると、事実であるだけにつくりもののホラーより恐ろしく感じます。

病原性大腸菌であるO-157がどのようにして生まれたかというのをこの映画で知り、ぞっとしました。
アメリカの低所得者層に糖尿病が多い理由も納得です。
畜産業の悲惨な実態はある程度知っていたつもりでしたが、映像で観るとまた違ったものがありました。
思ったことを全て書こうとするとここには書ききれないので、食べ物の安全性について知りたいという方はぜひご覧になってください。

私達にできることって?

この映画はアメリカのものですし、2008年に公開されたものなので現在の日本とは違うところもあると思います。
だからといって、「日本の食は安全」と過信するのは危険かもしれません。
日本は食材の多くを輸入に頼っていますし、国産の肉であっても外国産の飼料を食べていることが多いのです。
加工品の原材料に遺伝子組み換えのコーンを使っていても、表示義務はありません。

私達にできることは、「どのようにしてつくられたかわかる食べ物を選ぶ」ということではないでしょうか。
「トレーサビリティ」という言葉がありますが、生産者や生産地の情報などを知ることができるかというのは、すごく大切ですよね。

私は生協の宅配で、少し高くても良い肉を買うようにしようと思うようになりました。
最近買ったのは、遺伝子組み換え飼料を与えず自由に動き回れる飼育法でつくられた鶏胸肉。
普通の胸肉の3倍近くしましたが、鶏胸肉はもともと安いのでたかがしれています。

シンプルに蒸してサラダにしたところ、肉のうまみがしっかりしておいしく感じました。
普通の鶏肉に比べて硬い気もしますが、嫌な硬さではなく「身が締まっている」という表現がしっくりきます。

蒸した時に出た肉汁で野菜炒めをつくったら、これも美味。
みりんと塩コショウを少し足しただけなのに、鶏がらスープのもとを入れた本格中華の味になっていました。

地元の農家を応援するのも良いと思います。
20代の頃、厚木の温泉に行く途中で立ち寄った養鶏場をふと思い出しました。
明るく開放的な鶏舎の中で動き回る鶏を見て、「狭いケージに閉じ込められていない卵用鶏がいるなんて!」と感動したものです。
そこの卵は普通の卵の3倍近い値段でしたが、とてもしっかりした味がしました。
「安い」「おいしい」「見映えが良い」といった理由だけで食べ物を選ぶのではなく、どのようにしてつくられているかを考える習慣をつけたいですね。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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