元国語教師が教える執筆のコツ!文章が幼い気がするのはなぜ?

2022/05/20
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
文章が上手に書けない、幼稚な印象がぬけないという悩みがある人もいると思います。
プロの作家ではないから伝わればいいという気もしますが、あまりにも幼いと困ることもありますね。
元国語教師の経験から、稚拙な文章の特徴を考察しました。

「難しい言葉を使うと大人っぽい文章になる」は間違い

文章を書き慣れていない人がやりがちなミスとして特に多いのが、「大人らしい文章を書こうとして難しい言葉を使う」というもの。
単語のみに気を取られ、文章自体はないがしろになってしまうことが多いのです。
土台がいい加減な家を外装だけ飾ったような、ちぐはぐな印象に。
無理して背のびした文章を書こうとしているのが目に見えて、痛々しい感じがすることもあります。

では、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
主な注意点を3つあげてみます。

1.事実の羅列のみになっている

あさ七時におきました。まい日、うんどう会のけいこをしています。きょうはおかあさんについてかいものにいきました。おとうさんが八時三十分にかえってきました。テレビをみてねました

『兎の眼』灰谷健次郎、1998年、角川文庫

『兎の眼』という小説で、教師が小学2年生に作文の書き方を教えるシーン。
上記の引用文は、悪い例文として紹介されます。
教師は作文の構成要素として「したこと、見たこと、感じたこと、思ったこと、言ったこと、聞いたこと、その他」をあげ、「したこと」だけは悪いものだと教えるのです。
もちろん、「この世には悪いものも少しは必要」とつけ加えることも忘れません。

娘の小1の頃の作文を確認したところ、指導のかいあって(?)自分の気持ちも書けていました。

「したこと」だけでなく「日本の首都は東京だ」といった一般的な事実ばかりなのも良くないと思っています。
そこには、「あなた」というフィルターが通されていないからです。
自分の意見を書くと公平性を欠くと心配になるかもしれませんが、気にする必要はありません。
この世にはいろいろな意見があっていいのです。
批判を恐れて事実の羅列のみに終始すると無味乾燥な文章となり、「それくらいの情報なら探せば他にもある」と思われてしまうことでしょう。

2.文末がワンパターになりすぎている

終わりの部分がそろっていた方がきれいに見えるものもありますけどね。

先ほど紹介した小学生の文章、稚拙な印象を与える部分が他にもあります。
文末がほとんど同じなのです。
書くことに慣れていない子どもの文章に起こりやすい現象で、読む側が飽きてしまう原因にもなります。

一番簡単な解決策は「体言止め」を使うこと。
体言止めというのは、「です」「ます」といった助動詞や形容詞、形容動詞、動詞で終わらせず、文末に名詞をもってくる技法です。
他にも、「こんなことになるなんて……」というように最後まで言い切らない「言いさし」の表現も使えます。
目安としては、同じ文末表現を続けるのは多くて3回くらいまで、とするのがいいでしょう。

3.語彙が貧弱で具体性がない

難しい言葉を使う必要はないと言いましたが、かといって簡単な言葉を乱用するのも好ましくありません。
話し言葉の場合、短時間で伝わることが大事なのでシンプルな言葉だけでも許されます。
書き言葉では、単純な表現ばかりだとあまり考えて書いていない幼い印象になるのです。

よく見かけるのが「おいしい」と「可愛い」の言葉。
食べ物の味をほめる時に「おいしい」以外の表現はないのでしょうか。
「美味」という表現や、口語的ですが「うまい」という言い方、「ほおが落ちそう」「箸が止まらない」「幸せの味がする」といった遠回しな表現も。
また「おいしい」という言葉だけではどんな味かがはっきり伝わりません。
「シャリシャリとした食感」「鼻にぬける爽やかな香り」「後をひく優しい甘み」など、考えればいくらでも出てくるはずです。

「可愛い」は大きく分けると2つの意味があります。
古語における「うつくし(形が整っている)」と「らうたし(世話をしたくなる)」の意味です。
幅広い意味があり使いやすい反面、あいまいな印象になってしまう欠点が。
「可憐だ」「端正だ」「繊細だ」「はかなげだ」「いたいけだ」「いじらしい」など、別の表現で言い換えられないか考えることも必要です。

「自分の文章は幼い」とコンプレックスに感じている人がいるとしたら、それは文学的素養の問題ではなく書き慣れていないためコツがわかっていないだけかもしれません。
幼いというのは親しみやすいという長所にも変わるので、悩まず基本的なことだけ気をつけてみてはいかがでしょうか。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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