昆虫嫌いにこそ知ってほしい!虫がいないと人は生きていけない
こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
昆虫が嫌いな人が増えているようです。大手学習帳の表紙から昆虫の姿が消えたことに気づいた時はショックでした。
物心ついた時から昆虫が大好きだった私、生物多様性の観点から昆虫類の大切さを少し話したいと思います。
花が美しく咲くのはなぜ?
なぜ花は色も形も美しく、目立つように咲くのでしょう。
私達の目を楽しませるためでしょうか。
違いますね。
原始的な植物は花など咲かせませんし、風媒花(ふうばいか)といって風に花粉を運ばせる花は地味な姿をしています。
色鮮やかで美しい花は、虫媒花(ちゅうばいか)と呼ばれるもの。
虫の体に花粉をくっつけて運んでもらうため、より効率的に受粉を成功させられます。
もしミツバチがこの世からいなくなったら何が起こるでしょうか。
「ハチミツが食べられなくなる」という単純な問題ではすまされません。
農作物の多くが収穫困難となり、深刻な食糧危機が起きて人間は滅びるかもしれません。
種でふえる農作物の多くが、受粉の手段をミツバチなどの昆虫に依存しているからです。
人間がかわりに受粉をしたら効率は格段に落ちると言われています。
真の害虫など存在しない
ミツバチは益虫だから保護すべきだけれど、ハエやカ、ゴキブリなどの害虫は迷惑だから絶滅してほしい、などと思う人もいますね。
確かに、カはマラリアやデング熱を媒介し1年で83万人の死者を出しています。
「最も人を殺す動物」とされていますが、カは産卵に必要な栄養を補給するために人間の血を利用しているだけで悪気はありません。
カを大量に殺すのではなく、蚊帳やワクチンや薬などを途上国に普及させることが大事です。
ハエやゴキブリも細菌をまきちらす不衛生な虫として嫌われます。
そんな彼らも、生態系では大切な役割を果たしているのです。
カやハエは、トンボ、コウモリ、ツバメなどの飛びながら獲物をとらえる動物にとってかっこうのエサとなります。
カエルやヤモリ、クモなども上手に彼らをとらえてエサとします。
最も嫌われるゴキブリにもアシダカグモという天敵がいます。
そもそも家の中に侵入して害を及ぼすゴキブリは日本には数種しかなく、ほとんどが森林の中でひっそりと恐竜時代から変わらない生命の営みを続けているのです。
ゴキブリの主な食べ物は朽ち木や落葉、動物の死がいなどで、分解者の役割を担っています。
もしゴキブリがいなかったら倒木などがいつまでも土壌に還元されず積み上がり、森の中はゴミだらけになってしまうでしょう。
森の中で平和に暮らしていた彼らを、家の中に入れてしまった人間が悪いのです。
いくつかの種類のゴキブリにとって、快適な温度と豊富な食料のある人間の住居が適応しやすかっただけにすぎません。
殺すより共生する方法を
小さい頃、父が「最近草むらでヤブカを殺すために殺虫剤をまく人が増えたな。薬に慣れてカが簡単に死ななくなった」と嘆いていたのを思い出します。
殺虫剤を使うとその成分に抵抗性のある個体が増えていずれは効かなくなり、新しい薬剤を開発しまた抵抗性が生まれるというイタチごっこが続きます。
そこに巻き込まれて抵抗性を持つ前に絶滅してしまうあわれな動物達がたくさんいるはずなのです。
害になるものは殺せばいいという考えから、一刻も早く抜け出さなくてはいけません。
人間に害をなす生き物はいても、地球に害をなす生き物はいないはずです、人間以外には。
大事なのは野生の生き物の生活圏にできるだけ近づかないという住み分けの概念と、生き物と一緒に生きていく共生の概念です。
害虫対策については過去記事でもふれていますし今後も書く予定なので、よろしければ参考にしてみてください。
参考文献…『生物多様性 リオからなごや「COP10」、そして…』堂本暁子、2010年、ゆいぽおと
『大人も知らない!?SDGsなぜなにクイズ図鑑』笹谷秀光、2021年、宝島社
◆記事を書いたのは・・・danngo
物心ついた時から生き物大好きだった40代主婦。美しく平和な地球と子どもの未来を守りたいと考えています。面倒くさがりのため、できるだけ手抜きしてズボラでもできるエコ活動を模索中。