僧侶の孫娘が毎年続けるささやかな水子供養の儀式をお伝えします

2022/08/14
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
お盆の季節ですね。
我が家では、この時季にご先祖様の供養と合わせて水子供養もしています。
僧侶だった祖父の考え方を受け継いで、産まれてこられなかったわが子のためにおこなっているささやかな儀式をお伝えします。

子どもの頃のお盆の思い出

まずは先に、小さかった頃のお盆の話から。
九州の田舎村にある母の実家は小さな寺で、毎年夏休みは長期間そこに帰省していました。
8月のお盆がやってくると、信者さん参りのお手伝いをさせられます。
目の粗いカゴに蓮や菊の形の落雁が敷きつめられたものを、挨拶のついでに渡して回るのです。

大人でも両手で抱えねばならない大きなカゴを、従姉と交代で持ちながら歩きました。
私は道を知らないのでついていくだけでしたが、それでも大変だったのは覚えています。

最初に授かったのに産まれてこられなかったわが子

私は結婚した年の暮れあたりに妊娠し、2か月を過ぎた頃に流産した経験を持ちます。
染色体異常と言われたので手の打ちようがなかったのだと察しましたが、それでも産めなかったことへの後悔の念が強く残りました。
今の息子が1歳の頃に母の実家に遊びに行き(すでに寺の建物を取り壊し別の家を建てていました)、近くの寺にお参りして水子供養のためのお地蔵様を発見。

ベビーカーを押していたので少し離れたところから手を合わせました。
その時ふと、「家でも水子供養をしよう」と思ったのです。
僧侶だった祖父は比較的若いうちに他界し、無口だったためあまり一緒に話した記憶がありませんが、祖母を通して間接的に祖父の言葉を聞くことはよくありました。

「仏教的には怨霊というものはなく、たたりなんて存在しない。そんなの迷信にすぎない。でも魂というものは存在する。柔らかな光のようなものだ」
そんな話がありました。
会えなかった我が子が私を恨むことはないけれど、私自身が産めなくて苦しかったのだから魂を供養することで楽になれるかと思ったのです。

毎年お盆の時季に供養しています

水子供養はお寺でお願いしてやってもらうこともできます。
もちろんたたりを防ぐためではなく、水子の幸せを願い親自身の気持ちを楽にするためにおこなうものです。

絶対にやらねばならないものでもないので、我が家では産めなかった我が子をしのび今いる子ども達への感謝の気持ちを忘れないためにやっています。
お盆の先祖供養と一緒にやると決めてしまえば、うっかり忘れることもありません。
写真左側にある落雁と銀の杯に入ったコーヒーがご先祖用。

ボーロと麦茶が水子供養のお供え物です。
手を合わせて冥福を祈っています。

以前はボーロを皿に盛っていましたが、季節柄虫の被害が心配なので個包装のものに変更。
麦茶はストローマグに入れるようにしていたものの、蓋が壊れてしまい下の部分だけになっています。
気持ちが大切なので形にはこだわらなくて良いことに。
コーヒーと麦茶は夜に捨てて朝新しいのにかえています。

子ども達に「これ何?」と聞かれた時は、「あなた達のお兄さんかお姉さんになるはずだった人にあげているのだよ」と教えています。
きっと天国で、私たち家族を見守っていてくれることでしょう。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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