ぐっと我慢!元国語教師がタイトルにできるだけ使わない言葉

2022/09/08
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

国語科教員免許を持つサンキュ!STYLEライターのdanngoです。
元国語教師としてできるだけ正しい日本語を使うように心がけているものの、最近では言葉として間違っていなくてもひっかかる表現を多く見かけます。
使えばアクセス数が上がるのかもしれないけれど、タイトルにはあえて極力使わないようにしている言葉をお伝えします。

ひかえるワード1:「絶対」

話の中で何でも「絶対」という言葉をつける人がいますよね。
「絶対おいしい」「絶対面白い」など。
自分の感覚に確固たる自信があるからなのかもしれませんが、聞いている方としては「この人の話、ウソくさいな」と思ってしまいがち。

この世に絶対的な価値など、そうたくさんはないのです。
たとえ自分が強く感じたことでも、他の人はそう思わないかもしれないという可能性は常に頭の中に入れておいた方がいいでしょう。

もし、「絶対おいしい」と書かれているスイーツ記事を見て実際に食べ、「全然おいしくない」と感じた人がいたらどうなるでしょうか。
記事を書いた人、その記事を掲載するサイトへの信頼度が下がりますよね。

ただし、「電子レンジでアルミホイルを加熱する」など、危険性が高いためやってはいけないことに対して「絶対にダメ」「絶対やめて」と書くことはありだと思います。
逆に言えば「絶対」という言葉が使えるのは限定的なケースであり、軽々しく何でも使うのはおすすめできません。

ひかえるワード2:「~べき」

「べき」という言葉、タイトルによく使われるものの筆頭にあげられる表現という気がしますが、私は好きではありません。
「べき」というのはもともと「べし」という助動詞の連体形であり、「べし」には「推量、意志、適当、勧誘、命令、当然、可能」の意味があります。
「強い確信と証拠をもつ推量」が原義の言葉で、現在では「当然」の意味で使う人が多いですが「命令」の意味として受け取る人も。

言葉の性質からして押しつけがましい印象があるのは確かで、頻繁に使うとうっとうしく感じられてしまいます。
特に「買うべき」「行くべき」「捨てるべき」など、お金、時間、心理的な制約が大きくともなう動詞にくっつけてしまうと、人によってはかえって反抗してしまいたくなるかも。
「言うべき」「考えるべき」など、やる気さえあればすぐできる行動にくっつけるのならOKかなと思える表現です。

ひかえるワード3:「禁止」

世の中には「閲覧禁止」といったように、あえてタブーにすることでかえって見てみたくなる心理をつこうとするタイトルもあります。
他にも「悪用禁止」という、まるで悪用する人がいることが前提となっているような表現も多くあり、良い気持ちにはなりません。
「絶対ダメ」なども同様で、読者側に何かを禁じるような言葉は極力ひかえたいところです。

ただし、「レジ袋使用禁止の小売店」など、商品やサービスの説明に必要な場合に使うのは問題ないと思います。

その場限りのアクセス数より、読者の心に残る言葉を

私は他にも「ブス」「デブ」「オバ見え」「老け顔」など、ぱっと見て嫌な気持ちになる言葉はあまりタイトルに使ってほしくないなと思います。
国語の知識があるゆえに「おいしくてにやける」なんて表現も少し気になりますが、これは許容範囲。
日本語として完全に正しくはなくても、悪意の感じられないタイトルはすんなり読めます。

刺激的な言葉が並んでいるとなんとなく気にはなってしまい、アクセスが増える可能性はありますね。
でも、読んだ内容が読者の心に残るかは別問題です。
私は、できれば読んだ人の心に響く表現を心がけたいと思っています。

最近読んで、タイトルを考えるのに生かせそうだと強く感じた本です。
時間をかけて探した本なので簡単に教えていいものかと悩みましたが、ご興味がある方がいればぜひ。
どういうふうに言葉をとらえて伝えればいいのか、小手先のテクニックではない根本的な部分を教えてくれる良著だと思っています。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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