ヴィーガンは本当に正義なの?ズボラエコ主婦の考えを語ります

2023/01/25
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
世の中には「ヴィーガンこそ正義」と主張するヴィーガン至上主義の人もいます。
SNSでそういった人達の投稿を見て心がざわついたことがある人もいるのでは?
ヴィーガンは本当に最良の選択なのかということを、ズボラエコ主婦の視点から考えてみました。

ヴィーガンとベジタリアンの違いとは

ヴィーガンとベジタリアン、似ていますが少し違います。
ベジタリアンは「菜食主義者」と訳されることが多いのに対し、ヴィーガンは「完全菜食主義者」。
ベジタリアンには乳製品や卵なら食べる人もいますが、ヴィーガンは動物性の食品を一切食べず、はちみつや白砂糖(動物の骨を精製のため使う)も避けることが多いです。

さらに、動物から搾取しないという思想から皮革、ウール、絹といった動物性の素材も避ける人もいます。
今回は、動物性のものに一切頼らない極端なヴィーガンの考え方について書いてみます。

ヴィーガンでも動物は犠牲になる可能性が

極端なヴィーガンの主張では、動物性のものは全て悪といった論理になりがちです。
「ウールを着るなんて羊がかわいそうだ。アクリルのセーターがあるじゃないか」といった発言がその最たる例。

確かに悪質な業者は存在するらしく、毛刈りの時に羊を雑に扱う作業員の動画も観たことがあります。
ミュールジングといって、清潔を保つためにお尻の皮膚を切り取ってしまう行為も問題となっています。
ミュールジングをしていないことを公表しているブランドのウール製品を選ぶことや、明らかに人件費を削っていそうな安いウールを避けることは必要ですね。

ですがウールのものを一切着ないとなると、冬は保温性の高いアクリルやポリエステルのフリース素材を選ぶことが増えるでしょう。
化学繊維には弱点もありますし、洗濯時に大量のマイクロプラスチックを放出する点が問題になっています。

繊維状のマイクロプラスチックはくせもので、下水処理をすり抜けて海にたどりつき、海水をろ過して有機物を食べる二枚貝などに深刻な影響を与えます。
さらに深海に沈みこみやすいこともわかっていて、今後深海生物の被害が増える可能性も。

家畜を守ろうとすれば海にいる生き物が犠牲になるかもしれないのです。
それを正義と呼ぶべきかは疑問。
また、家畜は人間が生殺与奪をコントロールするという条件で命をつないでいます。
絹も動物性繊維ですが、カイコが殺されるのがかわいそうだからと野に離してやれば全滅することでしょう。
足の力が退化して弱くなっているため、人間の飼育下でないと生きられないのです。

息子の幼稚園で飼育していたカイコを預かった時の記録。弱々しい生き物だと感じました。この後、無事に羽化したそうです。

植物性のものでも、たくさんの農薬を使い昆虫を殺して育てられる場合がほとんどです。
畑を荒らす害獣を駆除することもあります。
動物を一切殺さずに生きることは、不可能と言っていいでしょう。

大事なのはバランス!1つにかたよりすぎない視点を

「人類はみなヴィーガンになるべきだ」という主張を聞くと、この人達は「人間もまた動物」という視点を失っていないかと考えてしまいます。
サバンナのライオンに、「シマウマを追うな」とは言えませんよね。
人間も生きるために、他の生き物の命を奪わなくてはいけないという前提を忘れているのではないでしょうか。

私は動物から一切奪わないのではなくて、大切に育てて管理したうえで、命をむだにしないよう感謝の念をもって食べたり使ったりすることが大切なのではと思います。
もちろん、肉を食べすぎてはいけませんし、毛皮は残酷だからやめたほうがいいとは思います。
一番大事なのはバランス。1つのことに目を向けすぎると、他のことが見えなくなって知らず知らずのうちに好ましくない選択をするかもしれないのです。
全体を俯瞰(ふかん)する姿勢が必要ですね。

100%の正解はなかなか見つからないですが、中庸の精神をもって何ごともほどほどにしていくのが良いのではないかとズボラな私は考えています。

※参考文献
・シャンタル・プラモンドン ジェイ・シンハ『プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』2019年、NHK出版
・中嶋亮太『海洋プラスチック汚染―「プラなし」博士、ごみを語る』2019年、岩波書店

◆記事を書いたのは・・・danngo
物心ついた時から生き物大好きだった40代主婦。美しく平和な地球と子どもの未来を守りたいと考えています。面倒くさがりのため、できるだけ手抜きしてズボラでもできるエコ活動を模索中。

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