セオリーは無視!元国語教師が考えるタイトルづけのコツ3

セオリーは無視!元国語教師が考えるタイトルづけのコツ3

2024/03/14
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
文章を書くときにつけるタイトル。なかなか思い浮かばない、という人も多いことでしょう。
いつも同じようなタイトルになり、印象的にならないという悩みもあるかもしれません
元国語教師の私が、よく聞くセオリーと少し違うタイトルづけのコツをお伝えします。

韻を踏む

韻を踏む

漢詩を習ったときに、「押韻(おういん)」という言葉を教わったことがあると思います。
似たような音を何度もくり返すことで、リズム感を生み出す技法ですね。
その押韻と同じ要領で似た音をくり返すことを、「韻を踏む」と呼びます。
漢詩の押韻は句の末尾に似た音を配置し、詩の型によって何句目で韻を踏むかもきっちり決まっています。

タイトルづけではそこまで厳格に考えず、似た音を1つのタイトルの中に2回以上入れればOKとしましょう。
そうすることによりタイトル文の中にリズムが生まれ、印象に残りやすくなります。

入れ方としては2つ。
1つは「おいしい お菓子が 大安売り」といったように単語のはじめの音をそろえる(頭韻)もの。
もう1つは「花の都パリ 道行く二人 行ったり来たり」といったように単語の終わりの音をそろえる(脚韻)ものがあります。
より頭に残りやすいのは脚韻のほうで、ラップの歌の歌詞に使われることも多い技法なのでチェックしてみましょう。

ひらがなを減らす

ひらがなを減らす

ライティングのセオリーとしては、「漢字はできるだけ開いて(ひらがなにして)読みやすくする」というものがあります。
確かに漢字よりもひらがな多めの文章の方が考えずに読めて便利ですが、そこには大きな落とし穴があります。

目の前に看板があったとして「禁煙」と漢字で書かれている場合と「きんえん」とひらがなで書かれている場合、どちらがパッと見て意味がわかりやすいでしょうか。
おそらく漢字のほうでしょうね。
「きんえん」とひらがなで書かれていると、近縁種の「近縁」を思い浮かべる人もいると思います。小学生くらいなら「金色の円」だと言うかもしれません。

ひらがなは漢字に比べ視認性が低いのです。瞬間的に意味がわかるようにするには、効果的に漢字を入れるほうが賢い戦略となるでしょう。
カタカナもうまく使えます。
もともとカタカナは僧侶がお経を読みやすくするために使っていたもの。古い経の写真を見ると、右側に小さな字でびっしりカタカナが書き加えられているのです。
つまり、意味ではなく「音」を伝えるのに特化したのがカタカナ。
オノマトペ(擬音語・擬態語)など、音をダイレクトに表現したい場合にはカタカナのほうが印象的になります。

流行中の表現は避ける

流行中の表現は避ける

タイトルの表現にはある程度、はやりすたりがあります。
流行に乗って、よく見かける表現を使わないといけないような気もしますよね。
私の見解ですと、無理に流行の表現を使う必要はありません。
たまたま思いついた表現が流行していたものと同じだったとしたら使っていていいと思うのですが、わざと合わせていかなくても大丈夫です。

というのも、流行はいつしか飽きられるものだからです。
よく見かける表現を使うと、かえって目立たなくなるという場合もあります。
最近だと「ひかえめに言って最高」「考えた人天才」といった言い回しをよく見かけますね。
「最高」「天才」と単語レベルで切り取って使うならいいのですが、フレーズまるごと使うのは単なる模倣でしかなく芸がない印象もあります。
よく作文の授業で「自分の言葉で書きなさい」と指導されませんでしたか?それと同じことなのです。

流行の表現に近いニュアンスで別の言いかたはできないものかと、考えてみるといいでしょう。
「ひかえめに言って最高」というのはシンプルに「とにかくすごい」と言ってしまうこともできますし、「『最高』としか言えないのがもどかしい」とくわしく書くことも可能。
「考えた人天才」は少し視点を変えて「発明者に拍手」などとも言えます。
見慣れた表現に頼らず、自分で考える癖をつけるといいですよ。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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