関東と関西では大違い!転勤族一家が驚いた和菓子文化

2020/05/08
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

親が転勤族だった関係で、複数の都府県を移り住んだ経験のあるdanngoです。
小学生の頃、5年間住んでいた大阪を離れ東京に来た時には多くのカルチャーショックがありました。
中でも印象深かった和菓子にまつわる思い出を紹介します。

衝撃度1位:ところてん

初夏の光がまぶしいある日、私は尾瀬の湿原を歩いていました。
歩き疲れた頃、数少ない休憩所で私達は休憩。
その時母が「ところてん食べる?」と聞くので迷わず「うん」と答えました。
注文後しばらくして手元にやってきたところてんを見て、「ん?」と首をかしげた私。
「なぜ、このところてんには青のりやごまがかかっているのだろう……」
まあいいや、と一口食べて私はフリーズしました。
すっぱいのです。ところてんなのにすっぱいのです。

実は、関西のところてんは甘いものなのですよね。
関東のところてんは酢じょう油がかかっていてさっぱりとした味です。
それに対して、関西のところてんは黒みつがかかっています。
東京に引っ越してからも、母はしばらく別売りの黒みつを購入してところてんにかけてくれていました。
今思えば、関西風のところてんが手に入らないからそうしてくれていたのだと思いますが、小学生だった私は知るよしもなかったのです。
期せずして外で食べることになったところてんにより、関東風の洗礼を受けた私だったのでした。

衝撃度2位:くず餅

大学生になったある日、渋谷の地下街の一画に和風のカフェができました。(現在はありません)
日本茶が飲めるこのカフェを私はとても気に入り、なけなしのアルバイト代をはたいてよく利用していたものです。
普段はお茶だけ飲んでいたのですが、ある日スイーツも食べたくなり手元のメニュー表に書いてあったくず餅を注文しました。

出されたくず餅を見て、私は瞬時に違和感を覚えます。
「くず餅ってもう少し透き通っていなかったっけ?これ、やけに白く濁ってるな」
注文したのだからとりあえず食べてみよう、とフォークを入れると硬い手応えとともにブツッと切れました。
嫌な予感がしつつも口に運ぶと、もう驚いたのなんの。
少しおおげさに言えば、消しゴムを食べているようです。硬くて粘り気も足りません。

関東と関西のくず餅は、原料からして違います。
関東のくず餅は小麦粉を発酵させて作った小麦粉でんぷんから、関西のくず餅は葛の根から取り出した葛粉から作られます。
そのため関西のくず餅は粘り気が強く柔らかいのに対し、関東のくず餅は硬くて粘り気が少なくやや酸味があります。
今回撮影のために久しぶりに関東のくず餅を取り寄せてみましたが、やはり関西風の方が好みの味だと感じました。
ただ、写真のものは少し葛粉も入った高級なものだったらしく、過去に食べた関東風くず餅に比べると食べやすかったです。

衝撃度3位:桜餅

学校から帰って来ると、母の友人が遊びに来ていました。
「桜餅を買ってきてくれたわよ。食べる?」と母が言います。
どれどれとお皿をのぞいてみて、私は「え?」とつい言ってしまいました。
「これが桜餅なのだろうか……。私にはクレープに見えるけど」
食べてみると、中にあんこが入っているものの外側はクレープのような食感。
やはり餅ではありませんでした。

関西の桜餅は、道明寺粉と呼ばれるもち米を粗くつぶした粉で作られています。
普通の餅に比べると舌触りに特徴があり、餅とおこわの中間のような食感。
もちもちしていて、あんことの相性も良いのです。
写真左側が関西風、右側が関東風ですね。
関東では、関西風の桜餅は「道明寺」という名で売られています。
ちなみに、関東風の桜餅には「長命寺」という呼称があるのだとか。知っていましたか?
今では関東風の桜餅に驚かなくなりましたが、やはりつい桜の葉がついたクレープだと思ってしまいます。
「所変われば品変わる」。関東風と関西風、両方を楽しんでみるのもいいですね。

◆記事を書いたのは・・・danngo
料亭女将のDNAを受け継ぐアラフォー。料理上手ではなく、おいしいものを嗅ぎ分ける能力のみに特化。魚介類と甘いものに目がありません。お酒の味も好きですが、アルコールに弱くわずかしか飲めないのが悩み。

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