【現役小学生も証言】勉強嫌いの子に言ってはいけない一言

2020/06/22
  • 二児の母。塾講師、学校教師の経験あり。甘いものと日本の古いものをこよなく愛しております。もっと見る>>

4年間、小学生を相手に中学受験指導をしていたdanngoです。
私自身、小学3年生の息子がいます。
子どもが勉強したがらない時、どんなふうに声をかけますか?
実は、多くの小学生が「言われると嫌だ」と思う一言があるのです。

「勉強しなさい」と言わないで!

子どもがぐうたら遊んでばかりいると「勉強もしないで……」と思ってしまいますよね。
つい口うるさく「勉強しなさい」と言ってしまっていませんか?
この言葉、言われてうれしい子どもはほとんどいません。
私は前年度まで息子の授業に付き添っていたのですが、国語の授業の時にこんな1コマがありました。
物語文の主人公の気持ちに共感するところや違うなと感じるところを発表した時のこと。
「親に『勉強しなさい』と言われてやるのは嫌だ」といったことが書かれている部分があり、ほとんどの児童が「自分も同じ」と発表したのです。

具体的には、「キーッてなる」「すごくむかつく」「ちょっと嫌な気分」などさまざまな表現がありましたが、「勉強しなさい」と言われた時に「そうだ、勉強しなくちゃ」と素直に思える子どもはまずいないようです。
だから「今やろうと思っていたのに!」と言い返す子どもが多いのですね。
親としては「勉強しようなんて思ってなかったくせに」と、怒ってしまいたくなるのではないでしょうか。

あなた自身に照らし合わせて考えると

小さい頃のことを思い出してみてください。親の「勉強しなさい」という言葉、わずらわしく感じたことはありませんでしたか?
割とまじめに勉強するタイプだった私でも、うるさく言われるのは好きではありませんでした。
1つ年下の弟は大の勉強嫌いで、「うるせえな!今やろうと思ってたんだよ!」と口答えばかりでしたね。

昔のことは忘れてしまったなら、今の自分に置き換えてみてください。
あなたが大好きなことをしている時、家族に「家事をしなさい」と言われたらどう思うでしょうか。
「うるさいわね……好きなことくらいさせてよ」と思うかもしれません。
他のことをしている最中に勉強や家事など、「しなくてはならないこと」を押しつけられたら、今自分がしていることを否定された気分になりがち。
親は「勉強しないと将来困る」「勉強するのが子どもの仕事だ」と正論をふりかざすこともあります。
その言葉は、勉強しない子どもの存在を否定して子どもに罪悪感を植えつける可能性も。
子どもも、「勉強しなくちゃ」と心のどこかでずっと思っているはずなのです。だから「今やろうと思っていた」と言うのですよね。
「勉強していろいろなことがわかるのが楽しい」という前向きな気持ちにさせるには、どうしたらいいでしょうか。

親が決めるのではなく、子どもに決めさせる

「家事をしなさい」と言われた例に戻って考えてみます。
その言葉、こんなふうに言い換えたらどうでしょう。
「そろそろ晩ご飯の準備をする時間じゃない?」
これなら、たとえ好きなことに没頭していた時でも「いけない、もうこんな時間!」と我に返るのではないでしょうか。
ここで大事なのは、「~しなさい」という命令ではなく、「~する時間」という事実を示した表現であること。
ここには「晩ご飯の準備をするかどうかはあなたの意志に任せる」というニュアンスが含まれています。
強制力はないのです。時間という厳然たる事実があるのみ。

つまり、子どもにも「勉強する時間」を前もって決めさせておくことが有効となります。
我が家では、おやつと晩ご飯の時間の少し前が勉強タイム。
「もうすぐ3時のおやつの時間だから、その前に教科書の音読やっちゃおうか」といった声かけをしています。
好きなことが待っている、と思うことで頑張れるからです。

「勉強」という言葉を使わないのもポイント。
「勉強」は「勉(つと)めて強(し)いる」と書き、中国語では「したくないことを無理にやらせる」という意味で使われる言葉です。
日本語でも「学習」という言葉に比べややきつい印象が。
「勉強」と言われても「何をやればいいのか」が具体的にわからず、ただ机に向かってぼんやりとしてしまう危険性もありますね。
「いつ」「何を」やるのかを子どもに決めさせ、あくまでも子どもの意志で机に向かわせるのが賢いやり方といえるでしょう。
物語の主人公もこんなことを言っていました。「自分でやろうと思って勉強するのは、とてもいい気持ちだ」と。

◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。

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