中高生の子供に薦めたい、アガる本
引っ越す時に調べるのは最寄りの図書館、三田とりのです。
マンガ小説エッセイ伝記にノンフィクション、面白そうな物はどんどん読みます。
そんな親と生きる子供が本を読むようになるかどうかはまだ未知数なんですが、これは子供が大きくなったら薦めたいな〜という本に出会う事があります。
親に薦められて素直に読むか、こちらが思うように楽しんでくれるのかは置いといて。
自分の子供が中高生だったら全力で薦めるなという本に出会ったので、ご紹介します。
この本は読むドーピングです
名作です。
SNSから有名になった方が作者なんですが、って書くと「あぁ……ハイハイそういうアレですよね〜」と思ってしまう親世代も多いのでは。
私はテレビ出演されていたのが初見だったのですが、まさにそういう感想でした。
ハイテンションでイマドキで奇抜な服装の若い子。
ところがどっこいしょ。
この本の中にいるのは「昭和の苦労人」です。
いつの時代の人の話? と思ってしまうエピソードの数々。
降りかかる受難、上手くいったかと思えば躓くでこぼこ道、向かい来る敵意。
SNSが産んだキラキライケメンという勝手に抱いたイメージをぶち壊し、何なら捻くれた青春を送った私がちょっと親近感を覚えちゃうくらいの内容でした。
そして、それらの壁を体当たりでボカンボカンぶっ壊していく勢いが素晴らしく元気をくれます。
人は、なんのために読むのか
私にとって本は、「教えてくれるもの」で、「逃げ道」で、「相棒」です。
情報として先に知っていれば、何かあった時に「ああ、こういう事か」と、知らないよりはショックが少ない状態で受け入れる事ができます。
対応策も出てくるし、傷を癒やす効果がある事もあります。
しんどい時に別の世界に連れて行ってくれるし、一時的にでも嫌な自分を忘れられます。
今までどれだけ助けられたか。
しかし「本を読んだ方が良い」と言われても、興味が無い人には響きません。
他に楽しい事が山程ある人に読書の時間を取らせるのは難しいです。
でも、魅力的な本は1ページ読めれば最後まで読めます。
たった1行の吸引力から読み進められる事も多いです。
だから、子供に本を読んでほしいなら、子供が魅力的だと感じるような本と出会わせてあげれば良いのではないでしょうか。
読ませたい本ではなく「読みたい本」に出会わせてあげる。
本って良い物なんだなという実感があれば、勝手に読みます(多分)。
何でも良い出会いって大事ですよね。
そこでこの本。
読みやすくて作者がキャッチー、思春期の子から見るとちょっとだけ大人が書いている。
同じ世代を生きているちょっとだけ大人、っていうのが良いんです。
言われる事に納得できるので。
「凄く大人」になってしまうと、上から目線だったり時代背景が噛み合わなくてズレがあったりと精神的に距離ができてしまう。
その点この本は2人きりで話をしていると錯覚するレベルの近距離感です。
「あれ、この人友達だっけ?」
と勘違いするくらい。
中高生から大人まで広くオススメしたいです。
文体が非常に砕けているので眉をひそめる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこで挫けず読み進めていただきたい。
読み終わる頃には「秒で〜」とか言い出しちゃうテンションになれます。
私にとっての名言は
「(自分に否定的な)意見を言ってくる人が家賃を払ってくれる訳じゃない」
これ、腹の底から
「だよね!!」
と同意しました。
生きてると色々言われます。
特に、前に向かって進もうとすると向かい風を吹かしてくる人って必ずいます。
でも、そういう人が相手の人生に責任を取ってくれる訳じゃないんですよね。
そして、ああだこうだ言われて止められるような事ならどうせいつか挫けるから、考え直した方が良かったりもする。
腹を括って家賃を稼いで生活していける道かどうか、自分で自分に責任を持たなきゃいけない。
怖いし悩むけど。
私はそこであっさり折れて逃げたタイプなので、ちょっと胸が痛いです。
進路について悩み始める年齢で読んだら、元気がもらえたかなと思います。
逆に追い詰められる子もいるかもしれません。
どうしていいか判らなくて苦しんでいる時に投げられるキラキラと前向きな言葉は、ナイフの切っ先を向けられるのと同じだったりするので。
でもこの本が素敵なのは、強くなれと押し付けてくるわけではないという所。
「あなたもこうであれ」
「これではいけない」
という空気が全く無いんです。
「自分もダメな所がある」
「でもこんな感じで頑張ってる、頑張っていく」
「だって自分はそうしたいから!」
貶さない、傷付けない、後ろを向かない。
苦しくないわけじゃないけど、絶対諦めない。
光だけじゃない、むしろ泥臭いくらいの努力型人間。
それでいて全然まったく暗くない。
読んでいて気持ち良いことこの上ないです。
早めの春休みも来ましたし
本を1冊読もうと思うと、そこそこ時間がかかります。
急に春休みが伸びた上に、人が集まるような場所には出られない現在。
読書は最高の娯楽になります。
暇潰しのために本を読むという選択肢を身につければ、一生読書を楽しめます。
そして、人生で1度か2度くらいは本に助けてもらう事があるかもしれません。
本を買いに行くのも無理でしょ、と思われるかもしれませんが、電子書籍という手もございます。
スマホ世代はむしろ、電子書籍の方が取っつきやすいかもしれません。
どうせスマホ見るなら面白い書籍を読んでみるのも良いもんです。
去年読んだ中で1・2を争う本でした。
「今」を生きる悩める思春期にぶつけてやりたい1冊。
オススメです。
◆この記事を書いたのは・・・三田とりの
年をとるにつれてノンフィクションが面白くてたまらなくなってきた2児の母。最近は軽くて安くて面白いので、新書もお気に入りな専業主婦。