〈愉しくオバさんを生きていく。〉”見る”と”する”を分けて考えたら肩の力が抜けた
- 1972年生まれ。『サンキュ!』創刊時(1996年)以来のカリスマ的人気読者。エッセイ集など著書を相次いで刊行したのち心理学を学び、現在はフリーランスの心理カウンセラーとして活動。『サンキュ!』では2007年から現在まで14年余りブログとエッセイを執筆。2021年10月より新連載「愉しくオバさんを生きていく。」をスタート(毎週月曜日午前9時更新)。趣味は旅行・ドライブ・ゴルフ・読書・スマホゲーム・お酒を飲むこと(1人で晩酌するのも大好き!)。もっと見る>>
1972年生まれの私は現在、49歳。若松美穂もオバさんと言われる年齢になりました。
今、若い頃に思っていたより、オバさんは気楽で愉しい!と感じています。
子育てがひと段落し、時間ができて自分のことをメインに考えて暮らせるようになってきたからかもしれません。「女子」ではなくなったことも、心地よさの理由の1つな気がします。
そんな私が、アラフィフのからだ・心・時間・旅・人間関係……もろもろを、個人的な視点で書いていきます。
「オバさんを生きる」。けっこう心地いいな。
そんな思いを込め、リニューアル新連載のタイトルは「愉しくオバさんを生きていく。」にしました。
毎週月曜午前9時更新。
おつきあいいただけましたらうれしいです
【必要なことは、自分の中におのずと残っていく】
例えば一冊の本を読んだとして、半年後、1年後、皆さんはどれくらいのことを覚えていますか? 私はその時には愉しくても、忘れてしまうことが多い。だから、それほど多くは頭に残らないのです。自分が書いた本ですら、「美穂さんこんなこと書いていましたよ」と、皆さまに教えてもらう始末(汗)。自分でもあきれる。
だから仕事で使う場合は何度も読み、付箋を貼って必要な箇所を記憶に残していく。
ただ、そんなことをことしなくても、いつまでも自分の中から消えない場面や言葉もあって……。それは私にとって、必要なことだからだと思うのです。
【自分には当てはまらない誰かの暮らし】
数年前、女友達とのおしゃべり中。私の気持ちを楽にしてくれた話があります。
「めっきり雑誌を読まなくなったな~」と、年上の友人。私の周りは、雑誌好きが多かったので「そうなの、どうして?」と聞いてみました。『ん~、誰かを参考にしなくなったからかな』。
彼女は言います。
「ある時までは、こんなキッチンや食卓が素敵!このインテリアも、あんな暮らしもいいなと思っていたような気がするの。車やファッション、もしかしたら夫までもね(笑)。
でも、結婚して15年以上が経った家の中を見渡したら、もう、目の前にあるのよ。家具も家電もお皿も揃っていて、物の配置も決まってる。古くたって、使い勝手のいいものがあるから、いくらいい情報があっても、そうそう買わないし、変えない。今は子どもにお金もかかるしね。それによく考えると、私も家族も困っていないから、今でいいかな~って思うようになったんだ」。
【大切なのは、「私と家族がOK」かどうか】
入り口は雑誌の話でしたけれど、「私も家族も困っていないから、今でいい」という彼女の言葉に妙に納得。そっか、他の人がどうであれ、大切なのは、『私と私の家族が、今、OKを出しているかどうか』なんだ。
逆にOKを出していないことがあるのだとしたら、我が家の場合考える余地のあること、変える努力をした方がいいことなんだな~と教えてもらったような気がします。それって、暮らし全般に当てはまりますよね。
【「その人流・我が家流」を優先する】
うちの家族。夫は「家の中を片付けすぎないで」と言います。殺風景な家は落ち着かないのだと。あれこれあるのが暮らしだから、手が届く場所に使う物がある、あちこちにお気に入りの物が飾ってある方がいいらしい。
一方で母は、目に見えないものは“ないもの”と判断しがち。こちらがスッキリさせたいからといって、キッチンで使うものをしまいすぎると、探し物が増えて手間取るみたい。
娘のうち一人は、書類やノート・ファイルが重なってごちゃついているように見えても、どこに何があるのか把握している人。他の人は触らないでね……というタイプ。
風水や何かで、玄関に靴は出しっぱなしにしない方がいいと聞いても、翌日また履く靴を片付けたら、我が家の場合、忙しい朝にはブーイングの嵐。もめごとの原因になります。
【”見る心地よさ”と”する・居る心地よさ”は分けて考える】
スッキリしている方が好みの私も、仕事道具に関しては別。
パッと見で「ここに○○がある」と把握できる方が作業が進む人。同じものでそろえればオシャレでスッキリ見えるかもしれませんが、すべてのファイルが同色や同じ入れ物で統一されているのは、無理。近くまで行かないと、タグや表示が見えないのも非効率的なのです。ちょっと雑然としていても、形や色が様々の方が好きです。
家族のカタチも、暮らしも、「見る心地よさ」と「する・居る心地よさ」は違うらしい。他の人や家庭がどうか……ではなく、私や家族の心地よさが大切。私は・我が家は今で良いと気がついたら、オバ美穂の暮らしは肩の力が抜けて、さらに気楽になったような気がしています。