本格的な暑さに備えよう!気象予報士が注目するカギは「暑熱順化」

2023/05/07
  • 気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を代行する出張料理人としても活動中。野菜ソムリエ、食育インストラクター、薬膳マイスターなどの資格や、東北~関西まで各地に住んだ経験から、健康や美容にうれしい食材や、いざという時に備える災害食にも詳しい。 もっと見る>>

まだ初夏だというのが信じられないほどの暑さにさいなまれる日々。
夏本番になったら本格的な暑さに体が耐えられるか心配…、そんな人も多いはず。
暑さに耐えるには体が「暑さに慣れる」ことが必要ですが、急激に暑くなる昨今はあらかじめ意識的に「暑さに慣れる」よう備えておくのがおすすめ。
今回は、気象予報士と料理人の2足のわらじを履くライター・植松愛実が、「暑さに慣れる」しくみと真夏に備えるためのコツを解説します!

「暑熱順化」とは?

毎年夏になると暑くなり、冬になると寒くなって、また夏が来ると暑くなるので、人間の体はその都度、暑さに慣れたり寒さに慣れたりというプロセスを繰り返しています。
このうち「暑さに慣れる」ことを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と言い、具体的には、うまく汗をかけるようになったり、外気温が上がっても体温が上がりすぎないよう調節できるようになったりします。

暑熱順化は何もしなくても季節とともにプロセスが進むので、もちろん自然に夏を待ってもいいのですが、最近は真夏待たずして急激に暑くなることが増え、あらかじめ意識的に暑熱順化を進めておくのがおすすめなのです。

実践は「ややきつい」を目安に

意識的に「暑熱順化」のプロセスを進めるのに有効なのは、少し汗ばむくらいの環境でややきついくらいの運動をすることです。
「ややきつい」には個人差がありますが、たとえば環境省の指標では、30分程度のウォーキングを2週間ほど続けると効果が出るとされています。

2週間もかかるの!?と思われるかもしれませんが、じつはこれでも通常なら1か月以上かかる自然のプロセスを短縮していることになるのです。
そのほか、ぬるめのお湯に10分ほどゆっくり浸かるのもおすすめです。

コツは「無理をしない」こと

暑熱順化をうまく進めるための一番のコツは、決して無理をしないことです。
無理をして体調を崩してしまうと、逆に暑さに弱い体をつくってしまうことになります。

そしてもう一つのコツは、本格的に暑くなる前にやっておくことです。
たとえば去年2022年の東京では、5月には1回しかなかった最高気温30度以上の日(真夏日)が、6月には9回、そして7月には23回もありました。
もちろん真夏日の回数は年によって増減しますが、本格的な暑さを迎える前に体の準備をしておきたいですね。

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