母と子の手によって覆われて心オブジェクト

私がつらい子育てから抜け出せたきっかけは?〈親子で楽になるペアレントプログラム①〉

2020/03/16
  • 2人の食べ盛り男子の母。子育て支援の現場で働きながら手抜き&時短のごはん作りを楽しんでいます。もっと見る>>

 こんにちは(^^)思春期男子二人を相手に日々試行錯誤しているアラフィフ主婦、サンキュstyleライターのみい太です。

 休校期間も長引くなか、長い時間お子さんと向き合い続けることで、息苦しさやイライラを感じているお母さんも多いのではないでしょうか‥なぜなら、私がそうだったので(笑)いや、今でもそうかな?

 子どものことは大事だし、愛情もある。でも、だからこそ、ずっと一緒にいることで
「この子はこれで大丈夫なのかしら?」
といろんなことが気にかかり、勉強しなさい、お手伝いしなさいと口うるさくなってしまう。その結果、反発されたり親子ゲンカになったりして、よけいイライラする‥。そんなことはないでしょうか。

 これから何回かに分けて、
「ペアレントプログラム」
についてのお話をさせていただきたいと思います。私はこれに出会ったことで、つらい子育ての日々を送っていた自分が変わったことを実感しています。

 今回は、ペアレントプログラムについての説明と、私がどのように変われたかのお話をさせてください。

 

ペアレントプログラムとは?

 ペアレントプログラムとは、保護者が「子育てがうまくいかない」と感じたり、子どもの発達が気になったりした段階での、最初のステップとして開発されたプログラムです。

1.「行動」で考える
2.「『うまくいかないことを叱る』のではなく、『できた行動をほめる』ことで対応していく」
3.子育ての仲間を見つける

という3点セットを基本的な理解としています。
(アスペ・エルデの会解説より)

 厚生労働省が取り組みを掲げている
「ペアレントトレーニング」
は、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 従来から、日本の伝統的な子育ては
「できないところを見つけて叱る」
ことが中心でした。逆に、謙譲を美徳とするので、
「あえてできること、いいところをピックアップしてほめることをしない」
という特徴もあります。
 もちろん、これがやる気スイッチを押して伸びる子どももいますが、一方で合わない子どもの場合は、自己肯定感を育てることができずに問題行動につながってしまうことも多いのです。

 そこで、
「子どものいいところに目を向けよう
子どもの行動への見方、捉え方を変えていこう」
と生まれたのがペアレントトレーニングやペアレントプログラムです。

 元々発達障害の子どもを対象に開発されたペアレントトレーニングは、行動分析学に基づき、
「子どもの行動を好ましい行動に変えていこう!そのための親の働きかけ方を学ぼう!」
というのがねらいです。

 対してペアレントプログラムは、子育てに悩むすべての親御さんが対象です。
子どもにイライラしちゃう親御さんに
「イライラするのは『子ども』に対してじゃないんだよ、その子の『行動』に対してなんだよ!」
と気づいてもらい、その困った行動をどう捉えるか見方を変えることで、親御さんのイライラを減らし、肩の力を抜いた楽しい子育てができるように、支援するのがねらいです。

 見方が変わるだけじゃ何の解決にもなってないんだけど!?子どもの困った行動を何とかしてもらいたいんだってば!
 …と思いますよね(笑)でも、実は「親の見方を変える」ことが、「子どもの行動を変える」第一歩なんです!私の体験談をお話させてください。

「どうしてこの子はこうなの?」「私はダメ親なのかな‥」自分もこどもも責める日々

 元々子どもが大好きで、教員をしていたときもやりがいを感じていた私。
 14年前、長男が生まれた時には、いろんな夢や理想を抱いていました。
「一緒にあんなことしよう、こんなことしよう」
「のびのび、その子の良いところを伸ばしてあげよう」
何より、
「いつも笑顔のお母さんでいよう!」
と。

 ですが。その夢は、子どもが1歳を過ぎたころから、私を苦しめるようになりました。
 長男は落ち着きがなく、すぐにどこかに飛んで行ってしまい、全然思い通りに動いてくれません。読み聞かせやお絵かきに誘っても興味を持ってくれない。公園に行けば、他の親子が遊具や砂場で楽しそうに遊んでいるのをしり目に石や葉っぱを並べてばかり。

 いろいろがんばってるのにどうしてだろう…。自分を責め、子どもを責める気持ちにもなりました。
 それに、周りの目もすごく気になりました。こんな長男を見て、実家の親や周りのママ友たちは、私のことをダメな親だと思ってるんじゃないかって。
 その頃は夫も多忙で、私はほぼ一人で育児を背負い込んでいる状態。話さえあまり本気で聞いてもらえませんでした。

 孤独感と焦りからイライラがつのり、それをぶつけられるのは、目の前の子どもしかいません。笑顔でいようとガマンしてガマンして…最後にはどっかーん!とブチ切れて、子どもに当たる、という繰り返しの毎日。理想とは程遠い自分の子育てに、
「私はなんてダメなママなんだろう」
と落ち込む辛い日々でした。

 次男が生まれ、長男の発達障害がわかって小学校に上がっても、その状態は続きました。…そして、私自身が限界に達してしまったのです。
 長男が通っている通級指導教室の先生の前で、あるとき長男の相談をしながらワーッと泣き出し、今までの気持を吐き出しました。
 その先生は、私を責めたり指導したりすることなく、ただただ話を聞いてくれました。そして
「お母さん、よくがんばってきたね」
とほめてくれました。…その言葉に、どれほど救われたでしょうか。

 その先生のすすめで受けたのが、「ペアレントプログラム」との出会いでした。

 

「この子はこの子でいいんだ、私は私でいいんだ。」

 月に2回を3か月、計6回のプログラムを受けている間…実は私はとてもしんどかったんです。他のママが
「教わったことをやってみたら、こんなふうに子どもが変わりました!」
とニコニコお話する横で、
「うちの子は全然変わらないのに…」
と落ち込んでばかりの私。

 でも。3か月の講座を終えた頃。自分がブチ切れることが少なくなっていることに、ふいに気づいたのです。

 子どもは変わってなかったんです。でも、それを見守る自分が変わってたんですね。前ならイラッとしていたことも、
「まあいっか、死ぬわけじゃないし」「まあ、こーゆー子なんだよね」
と流すことができるようになっていました。

 また、前には気づかなかった、子どものいいところが見えてきて、
「ありがとう」「がんばったね!」ということが増えてきていたのです。

 それまで、子どもや自分をダメだと思い、責めてばかりでした。子どもの悪いところばかりに目が行って、なんとかしなくては、ということで頭がいっぱいになっていました。
 そんな私がペアレントプログラムを通していちばん変わったのは、
「この子はこの子でいいんだ、私は私でいいんだ」
と思えるようになったことだと思います。

 そのように私の子どもへの見方が変わったことで、イライラガミガミが減りほめる場面が増え、子どもたちと良い関係が築けるようになりました。
 すると、ペアプロで教わった
「子どもの困った行動を好ましい行動に変えるスキル」
が活かせるようになり、その結果子どもたちにもいい変化が生まれたのだと思います。
 
 そんな経験があったので…もし私と同じように苦しい思いをしている親御さんがいたら、以前の私がしてもらったように楽になってほしい、と思うようになり。
 臨床発達心理士の藤原里美先生と出会い、多様な発達の子どもたちや保護者を支援する「一般社団法人チャイルドフッドラボ」認定ペアレントプログラムリーダーの資格を取ったのでした。

 今は、市の主催するペアレントプログラム講座などで講師をしています。が、子育て中でなかなかそのような講座に出られない、自分の地域ではそのような機会がない、あっても気がひける、というように受けたくても受けられない親御さんもたくさんいると思います。
 そこで、次回から、一部ではありますが、ペアレントプログラムについて具体的にお話させてくださいませ。

~読んでくださりありがとうございました~
**掲載の体験談は個人の感想です**


■書いたのは…サンキュ!styleライター  みい太
大食漢のダンナさんと中2&小5の食べ盛り男子を満足させるのに悪戦苦闘!教員と保育士の資格を活かして子育て支援の現場で働きながら、手抜き&時短をモットーに日々のごはん作りを楽しんでいます。
元サンキュ!トップブロガー  公式サンキュグラマー 
元小学校▪特別支援学校教員 保育士
早期発達支援士
発達障害コミュニケーション初級指導者
ペアレントプログラムリーダー

計算中