子供の教育

子どもの「困った行動」を変える力があるのは?<親子で楽になるペアレントプログラム②>

2020/03/18
  • 2人の食べ盛り男子の母。子育て支援の現場で働きながら手抜き&時短のごはん作りを楽しんでいます。もっと見る>>

 こんにちは(^▽^)今日もなんとか子どもたちにブチ切れずに済んだ(笑)アラフィフ主婦、サンキュstyleライターのみい太です。

 前回、子どもの行動の見方を変えることで親も子どももラクになる「ペアレントプログラム」についてお話させていただきました。
 では、実際にどのようなものなのでしょうか?

 今回はまず、子どもの行動が引き出されるプロセスについて、お話をさせていただきます。

子どもの行動を引き出している背景を考えよう

みい太作成ペアレントプログラム資料より

 たとえば、困った行動としておなじみの
「スーパーで子どもが駄々をこねて泣く」という行動を考えてみましょう。

 この行動が起こるには、「その子の個性」と「きっかけ」という、二つの要素があります。

 「きっかけ」…この場合は、「ほしいおもちゃを見つけた」ということですね。
 でも、これを見ても、すべての子どもが駄々こねて大泣きするわけではないですよね。理屈をこねて買わせようとする子もいれば、最初からあきらめたり遠慮しちゃって言えない子もいる。
 どれがいい、悪いではなく、その子の生まれながらの個性です。

 「個性」と「きっかけ」によって引き出された「駄々をこねて大泣き」という行動に対して、周り(主にお母さんですかね(笑))がどのように反応するかが、「行動に対しての結果」です。
 これも、
「お母さんが、ドカーン!とカミナリを落とす」
「泣かれたら困るので買ってあげる」
など、いろんな結果があると思います。

 実は。ここで知っていただきたいのは、
「『結果』は、次回以降の行動を引き出す力がある」
ということです。
 「泣けばまた買ってもらえる」と思えば、また同じことをします。また、気持ちを受け入れてもらえずにドカーン!と怒られたら、不満が積もり積もってまた同じ駄々こねが引き出されることもあります。
 これを「行動の強化」と言います。

 では、この困った行動をやめさせたい!と思ったら、どうしたらいいのでしょうか。

その子の個性を理解して対策をたてよう

 まずは、行動を引き出す「きっかけ」をなくすこと。つまり「予防」です。これも、その子の個性に合わせて考えます。
 ある程度年齢が大きくなっていて話が通じる子なら、スーパーに入る前に
「今日は買わない、お誕生日にほしいものを買ってあげるから」
と約束します。
 一方、まだ小さくて話が通じない子もいれば、「はーい!」といいお返事で約束できてもいざとなったら約束忘れて「買って買って~!」になる子も、普通にいますよね(笑)
 その場合はもう、
「スーパーに連れて行かない…ダンナさんなど誰かに子どもを見てもらってる間に買い物に行く、ネットスーパーを使うなど」という予防になります。ちなみに我が家はこれでした(笑)

 そして、「予防」のほかにもうひとつ、行動をなくすポイントがあります。
 先ほど
「『結果』は、次回以降の行動を引き出す力がある」
と書きました。そうです、行動に対する「結果」をどのように変えるかで、次回以降の行動を変えることができるのです!

親の注目には、子どもの行動を変える力があります!

 「注目」とは、どういうことでしょう?

 「注目」には2種類あります。
「ポジティブな注目…ほめる、認める、笑顔を返す など」
「ネガティブな注目…注意する、叱る、どなる、説教する、ため息をつく、眉間にしわを寄せる など」

 …要するに、子どもの行動に対して私たち大人が返している反応ですね。どうでしょう、皆さんがふだんやっていること、ありますか?どちらが多いかは聞きませんが(笑)

 反応のなかには、言ったり行動したりといった具体的なもの以外にも、笑顔やしかめっつらなどの表情や、ため息なども入ります。

 そして、ポジティブ・ネガティブ、どちらの注目も、子どもの行動を定着させたり増やしたりする力を持っているのです。

ネガティブな注目は、いい行動を減らし、困った行動を増やします

 具体的にお話すると…

 たとえば、子どもがお手伝いをしようとして、周りをビショビショにした…という行動があります。
 そこに
「ビショビショにしちゃダメでしょ!」
など、ネガティブな注目を与えると、どうでしょう?

  子どもは、良かれと思ってしたことが否定されたので、
「どうせぼくなんて…」
となります。大人もそうですよね、がんばって作った料理を「おいしくないね」と言われたら、私ならお皿ひっくり返して次から作りません(笑)。
 お母さんは「ビショビショにした」ということだけを注意したつもりでも、子どもは「お手伝いした」という行動に注目してもらってないので、もうお手伝いをする気をなくすんです。…次回以降にお話しますが、実は「無視」「無反応」には行動を減らす力があるのですね。

 また、お子さんによっては、ネガティブな注目でもいいから大好きなお父さんお母さんの気を引きたいと思い、わざと叱られるようなことをする場合もあります。かまってもらいたい!という気持ちが人一倍強いお子さんだったら、ネガティブな注目さえ
「そうか、こうすればお母さんがぼくをかまってくれる」
と間違ったインプットがなされてしまうのですね。

 これらのことから、ネガティブな注目によって、子どもの中に
「大人は自分を信頼してくれない」
という思いが生じます。なので、あたたかい関係性が失われてしまう場合があるのです。

ポジティブな注目には、ポジティブな行動がかえってきます!

 では次に、ポジティブな注目について考えてみましょう。

 たとえば、同じ行動に対して
「そうじしてくれてありがとう」
と一度認めてあげてから、
「ビショビショになっちゃったね、すべって危ないから片付けようね」
という形で伝えたら、どうでしょう。
 同じ「ビショビショになって困るから片づけなさい」ということを伝えるのに、ネガティブな注目では子どもの意欲を失わせますが、ポジティブな注目では子どもの意欲を引き出すことができるのです。

 失敗はあったとしても、
「喜んでもらえたからまたやろう!」
とお手伝いを続けるうちに、上手になっていくかもしれません。また、その繰り返しで
「ぼくはお母さんに喜んでもらえる存在なんだ」
と、自己肯定感の根本となる、自分自身の存在への自身につながります。
 なにより、
「大好きなお母さん、ぼくを信頼してくれるお母さんの言うことなら、聞きたい!」
という信頼関係があることが、その他の「困った行動」を「好ましい行動」に変えていく原動力となります。


 …と言えばカンタンですが。
「ほめたり認めたりしたほうがいいって、そんなのわかってますよ!
でも、子どもが叱られることばっかりしてるんだから、ほめようがないじゃないですか!
ほめられるような子どもには、どうしたらなるんですかっ!」
というあまたのお母さんたちの声が聞こえてきそうです…私がそうでしたから(笑)

 ですが、そんな私も、だんだんとポジティブ注目ができるようになりました。
 子どもが変わる前にです。私の見方が、変わったのです。

 何をしたからなのか?次回、そのお話をさせてください。

~読んでくださりありがとうございました~

**ここでの「ペアレントプログラム」は、一般社団法人チャイルドフッドラボのペアレントプログラムに基づいてお話しています**
**掲載の体験談は個人の感想です**
**使用したスライドは、みい太作成の講座用スライドです。中のイラストは利用規約を遵守したうえで使用させていただいております**

■書いたのは…サンキュ!styleライター  みい太
大食漢のダンナさんと中2&小5の食べ盛り男子を満足させるのに悪戦苦闘!教員と保育士の資格を活かして子育て支援の現場で働きながら、手抜き&時短をモットーに日々のごはん作りを楽しんでいます。

元サンキュ!トップブロガー  公式サンキュグラマー 
元小学校▪特別支援学校教員 保育士
早期発達支援士
ペアレントプログラムリーダー

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