二人の小さな子供、おもちゃの上で戦う兄弟。ボールをめぐる子供たちの対立

ペアプロうまくいかない!それはこんなことではないですか?<親子で楽になるペアレントプログラム⑫>

2020/04/17
  • 2人の食べ盛り男子の母。子育て支援の現場で働きながら手抜き&時短のごはん作りを楽しんでいます。もっと見る>>

 こんにちは(^▽^)最近オンラインのおしゃべり会や会議にどんどん進出してる!アラフィフ主婦のサンキュstyleライターのみい太です。(ちなみに、機械オンチのワタシでもできました!皆さんぜひお試しくださいませ♪)

 子どもの行動の見方が変わることで、親も子どももラクになる「ペアレントプログラム」のお話、なんと12回目です!おつきあいくださっている皆様、本当にありがとうございます。

 前回までで、基本的なペアレントプログラムの考え方と、ペアレントトレーニングのテクニックをお伝えしてきました。

 ですが、「言われたようにやってるのに、うまくいかないんだけど!(怒)」という方も、たくさんいらっしゃると思うんです。実は、ワタシもそうでした(笑)
 前にも書きましたように、ペアレントプログラムは
「親の見方を変えることで、子どもへのかかわり方を変えていく。そのことによって親子の信頼関係を育み、その結果、子どもの行動が変わっていく」
というものです。なので、一度テクニックを試したらテキメンに子どもの行動が変わった!という「魔法の言葉」ではなく…時間がかかるものです。

 そしてもうひとつ、ペアレントトレーニングの手法がうまくいかない場合があるのです。今回は、それがどんな場合かをお話させてください。

行動の「結果」ではなく「原因」にはたらきかける

 ペアレントプログラムとは、
「行動の結果にどのような注目を与えるかによって、次回以降の行動をコントロールする」
ものです。好ましい行動には、ほめるなどの「ポジティブな注目」を与えることで、次回以降も引き出していく。逆に好ましくない行動、減らしたい行動には、「見て見ぬふり」をすることで減らしていく、というものです。

 ですが、どんな注目を与えてもうまくいかない行動もあります。その多くは、
「子どもの感覚に由来している」
行動です。感覚が原因の行動なので、どんな注目をもらっても、子ども自身にもコントロールできないのです。

 そのような場合には、
「行動の原因を解決する方法」
を考えてあげる必要があります。

行動を通して何かを訴えたい場合

 たとえば、すぐに友だちからおもちゃを取り上げたり、ちょっかいや暴力をしてしまうお子さん。親としては
「こんなことしちゃだめでしょ!」
と行動をやめさせようとしますよね。ですが、子どもがなぜこのような行動をとるのか…それが解決しないと、この行動をやめることは難しいです。

 この場合、
「相手に伝えたいことが言葉にできない」
ことが多いです。言葉自体がうまくでないのかもしれないし、言葉は達者な子だけど、伝え方を覚えてない又はまちがって覚えているのかもしれません。だいたいは
・逃避「~したくない、やめたい」
・要求「~したい」
・注目「ぼく(わたし)を見て、かまって、遊んで!」
という気持ちを行動で表しているのです。

 その場合は、
「言葉で伝えられるようになるためのフォロー」
が必要です。まずは
「仲良くしたかったんだね」「おもちゃを貸してほしかったんだね」
とその子の気持ちを代弁してあげます。そのことで子どもは
「この人は自分のことをわかってくれる!」
と聞く耳を持つようになります。そのうえで、
「そんなときは、『遊ぼう』って言ってみようね」
「『次に貸して』と言ったら貸してくれるんじゃないかな」
と、好ましい伝え方を教えます。この繰り返しで、少しずつできるようになっていくのです。

感覚を求めている、もしくは避けている場合

 子どもによって、ある感覚がどうしても苦手だったり、逆にもっともっと求めてしまう場合があります。例えば、
「動き回る、クルクル回ったりする」
のは、固有覚と言う感覚が「刺激が足りないよ、もっと動いて!」と指令を出してるから。
「爪切りを嫌がる、帽子のゴム紐や靴下を嫌がる」
のは、触覚が敏感すぎてその感覚が本当に辛いのです。音や光、食べ物の食感にもそのような過敏を持っている子がいます。
 その場合は、どんなに周りがやめさせようとしても難しいです。きつく叱ってやめさせても、別の形で感覚を求めたり過敏が出たりします。
 そこで、感覚にはたらきかけるフォローが必要になります。この視点は、小児科や専門家の先生に相談してみると良いでしょう。基本的には、求めている感覚は好ましい形で与えてあげる(動きたい→トランポリンやブランコ、指しゃぶり→ガムをかむ など)、苦手な感覚からは遠ざけてあげることが大切です。

その子の個性に由来する場合

 小さいうちは、こだわりやかんしゃくが強く、本人にもコントロールが難しい子どもは普通にいます。脳の行動をコントロールする部分が、子どもによって成長の進み方がちがうからです。それは良い悪いではなく、またしつけや教育の問題でもなく、その子の個性です。だから放っておいていいわけではなく、必ず成長はするのでその子のペースでゆっくり見守ってほしい、ということです。
 なので、その子に合わせてかかわり方を変えていくことが必要です。かんしゃくを起こしてしまう子には、言葉かけは最小限にしてクールダウンを最優先してあげる。また、気持ちを切り替えられる行動やパターンを見つけておくことも大切です。うちの子がウキー!となったときは、水を飲んで一息いれてから、大好きなお笑いやアニメを短時間見ることで、気持ちを切り替えています。

落ち着かない、集中できない場合

 目や耳に入ってくるいろんな刺激に敏感で、どれに集中したらいいかの取捨選択が苦手な子がいます。なので、今は関係ないことに気をとられてしまうんですね。
 そのような子には、環境をととのえてあげることが有効です!集中してほしいときはテレビなど気が散るものをオフにする、部屋を片付けたり棚にカーテンをつけたりすることでおもちゃなどが目に入らないようにする、といったことです。

行動がすすまない、支度ができない場合

 明日のしたくがなかなか進まなくて時間がかかる子、片づけを始めたらいつのまにか遊び始めてる子…いますよね(笑)
 このような子どもたちの多くは、見通しを持つことが得意ではありません。何をしているのか、何を目指してるのか、目標がわからなかったり忘れてしまったりするので、目の前に面白そうなことがあったら、それを始めてしまいます。
 そのような場合には、
「朝のしたく…1 トイレ 2 きがえ 3 ごはん 4 はみがき 5 かおをあらう」
など、絵や写真、文字で、手順を目で見えるようにしてあげると効果的です(^▽^)口で言っても忘れてしまうので、忘れてしまったらすぐ目で確認できることが大事です。
 また、タイマーを用意して
「5分でおわらせようね、よーいどん!」
と目安を示してあげるのもよいでしょう。

学校や園に行きたがらない場合

 これは…難しいし、本当に親も子も苦しいですよね。私も、励ましたり叱ったりして、なんとかして行かせようとしてしまいました。
 ですが。子どもが学校や園に行きたがらないのは、必ず理由があります。その理由を解決しないで行かせようとすると、子どもを追いつめてしまいます。

 そこで、親がまずできることは、
「気持ちを否定せず、共感する」
ことです。子どもを安心させることです。
 そして並行して
「原因を見つける」
ことです。学校や園と話し合い、連携して、原因を見つけ解決を目指しましょう。


 …このように、
「この子の、この困った行動の原因はなんだろう?」
と考える習慣を、ぜひ身につけてみてください。それができるようになると、
「これは注目の力で変えられるかな」
「行動の原因を解決してあげよう」
と、どうしたらよいかが見えてくるようになりますよ!



~読んでいただいてありがとうございました~
 

**ここでの「ペアレントプログラム」は、一般社団法人チャイルドフッドラボのペアレントプログラムに基づいてお話しています**
**掲載の体験談は個人の感想です**
**使用したスライドは、筆者作成の講座用スライドです。中のイラストは利用規約を遵守したうえで使用させていただいております**

■書いたのは…サンキュ!styleライター  みい太
大食漢のダンナさんと中2&小5の食べ盛り男子を満足させるのに悪戦苦闘!教員と保育士の資格を活かして子育て支援の現場で働きながら、手抜き&時短をモットーに日々のごはん作りを楽しんでいます。

元サンキュ!トップブロガー  公式サンキュグラマー 
元小学校▪特別支援学校教員 保育士
早期発達支援士
ペアレントプログラムリーダー

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