小学生も古文を習う時代!元古文教師が高学年の読書におすすめする古典文学3選
こんにちは。サンキュ!STYLEライターのdanngoです。
元古文教師の私、「どうすれば古文が得意になりますか?」という質問をよくされます。
文法などの基本を覚えることも大事ですが、それだけでは不充分。
英語と同じようにたくさん読むことも必要です。
最近はそのことをかんがみてか、小学校で古文を習うようになりました。
小学校高学年が長期休みに読むのに最適な、短くて読みやすい古文作品を紹介します。
旅行の記録だから読みやすい『土佐日記』
紀貫之が土佐(今の高知県)から京の都に帰るまでの記録を残した旅日記で、男性である貫之が自分を女性だということにして書いたとされています。
当時、日記と言えば漢文で記録されたものばかり。
私的なことを細かく書くにはひらがなを使うのが適していました。
そのため当時ひらがなを用いることが多かった女性のふりをしたわけですが、読んでみると貫之が書いていることはバレバレ。
船旅の途中で食べたもの、周囲の人との会話、船頭に対する悪口、天気の心配、海賊への恐怖など、人間くささあふれる記述ばかりでなんだかほっとします。
家族愛を感じさせつつ、だじゃれを含めたユーモアもちりばめられていて、気楽に読める作品となっています。
ユーモアにあふれた短編集『堤中納言物語』
『堤中納言物語』は1つの長い物語作品ではありません。
10の短編を集めた物語集です。
全ての短編を読むとそれなりの分量になってしまうので、どれか1つを選んで読むのがおすすめ。
小学生が読むのに比較的向いていると思われるのが、オチが斬新な『はいずみ』、昆虫好きなら共感できる『虫めづる姫君』、登場人物がほとんど子どもの『貝合』。
どれも平安時代の物語としては趣向が変わっていて、読者を飽きさせない面白さがあります。
歴史に興味があればはまるかも『方丈記』
鴨長明が記した随筆である『方丈記』は、短いので読むのに時間がかからない作品。
書いてある内容は、前半が災害や飢饉、疫病などの記録、後半が小さなわび住まいをかまえて隠遁生活をおくる様子です。
竜巻や地震などの天災の記述も恐ろしいですが、飢饉の描写はさらにひどいと感じます。
平氏の権力がゆらぎ、源義仲が台頭してきた時期と重なることを考えると興味深いものもあるでしょう。
歴史好きの子どもが読めば、いろいろ考えさせられるところがある作品です。
最初から最後まで通して読むことにこだわらなければ、『枕草子』『徒然草』『今昔物語集』など独立した細かいまとまりを持つ作品もおすすめです。
子ども向けに現代語訳された本が増えてきていますから、書店で一緒に探してみるのも楽しいでしょう。
◆記事を書いたのは・・・danngo
中高国語科教員免許を持つ、活字中毒気味のアラフォー。高学歴・高血糖・高齢出産の三高ライター。「家事は化学、子育ては文学」を信条としている。